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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

ニュージーランドの大自然を物語るリヴァビー・エステート
ソーヴィニヨン・ブラン セミヨン2011
リースリング2011

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

名醸地マールボロ クラウディ・ベイに隣接する畑

リヴァビー・エステートは、ニュージーランドの名醸地マールボロにあるワイナリー。その名はこの地方を蛇行して流れるオパワ川に由来し、ワインのラベルには川で捕れたニジマスが生き生きと描かれています。

ワイナリーの当主であるマシューズ家は、100年以上も前からマールボロに住み広大な土地を守り続けてきた一家。現在彼らの土地の一部はクラウディ・ベイの畑にもなっています。ラベルのニジマスが象徴するように、オパワ川とともに生きた歴史をもち、ワイン造りもこの川に大きな影響を受けています。

オパワ川の氾濫を克服し世界的な葡萄産地に  

リヴァビー・エステートがあるマールボロ地区は世界に名の知れるニュージーランドワインの名産地。その中心のブレナムの街の周囲には、現在30以上ものワイナリーが点在し、ワインツーリズムを楽しむ観光地としても有名です。併設のレストランでは葡萄畑を眺めながら、ニジマスやラム肉、有機野菜など地元食材をふんだんに盛り込んだお食事が楽しめます。

このブレナムは1800年代後半にヨーロッパの入植者によって開拓され、当時は、葡萄ではなくサクランボやオリーヴ、小麦などを栽培していました。リヴァビー・エステートも100年以上も前からこの地に住み、広大な敷地で農業を営んでいましたが、大きな悩みは、たびたび起こるオパワ川の氾濫で畑が洪水にさらされてしまうこと。しかし1930年代になるとこの地域の人々は治水工事に励み、洪水が収まったことによって、将来性の高い葡萄栽培を始め、国内最大のワイン用葡萄産地として発展していきます。

川の恵みを享受する自社畑100% ドライと共に貴腐ワインも秀逸

リヴァビー・エステートも1989年に初めて葡萄を植えました。現当主のサイモン・マシューズさんは土木技師でしたが、大学で醸造学と葡萄栽培学の学位を取得。ニュージーランドの有名な醸造家ジョン・フォレストの助力を得て、10年後に念願のワインを造りあげます。

研究熱心なサイモンさんは、自分の土地に様々な葡萄品種やクローンを植えて、そのワインの出来をつぶさに比較研究していきました。結果、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、シラー、ピノ・グリ、ピノ・ノワール(クローン115、667、777)が厳選され、現在は世界中からオファーが来る素晴らしいワイン生産者として注目されています。

またリヴァビー・エステートの畑は川に近いため、オパワ川から頻繁に発生する霧によって、ボルドーのソーテルヌのように品質の高い貴腐葡萄も生まれます。貴腐ワイン「ノーブル・リースリング2008」はWINESTATE誌のワイン・オブ・ザ・イヤーに輝き、さらに初めて手がけた「ノーブル・ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン2011」も、ニュージーランド・インターナショナル・ワイン・ショーで金賞を受賞しています。

美しい山や川を守る自然農法

この地で長年暮らしてきたマシューズ家ですが、「美しい山や川を守り、豊かな自然と共存しながら健やかな葡萄を栽培することが私たちの使命です。そのためには葡萄の栽培から醸造までを一貫して行い、『持続可能なワイン製造計画(SWNZ)』のメンバーとなって、農薬、化学肥料、除草剤の使用を厳しく制限した自然農法を実践しています」と伝えます。

ラベルに描かれた生き生きと泳ぐニジマスは、リヴァビー・エステートが大切にする、豊かな自然と健全な葡萄栽培を物語っているかのよう。溌剌とした葡萄の力を感じる素晴らしいワインにも、しっかりと品質の高さが現れています。

(写真提供:輸入元アプレヴ・トレーディング)

東急フードショーのおすすめ

リヴァビー・エステート リースリング2011
(750ml) 2,376円

生産地:ニュージーランド・マールボロ
葡萄品種:リースリング
味わい:白・辛口・ミディアムボディ
輸入元:アプレヴ・トレーディング

ニュージーランド最大の葡萄産地であるマールボロでも、数少ない「自社畑100%」の葡萄で素晴らしいワイン造りを行うリヴァビー・エステート。中でもリースリングは、花、ハーブ、柑橘、リンゴのようなアロマ。フレッシュでリッチで力強く、美しい酸とのバランスが絶妙なミディアムボディのワインです。辛口ですが、繊細で豊かな果実味を備え、余韻には桃やはちみつのような心地よい風味が長く残ります。サーモンやホタテやエビなどのシーフード料理の他、ハムやソーセージ、豚肉やチキンを使ったお料理など幅広くお楽しみいただけます。

リヴァビー・エステート ソーヴィニヨン・ブラン セミヨン 2011
(750ml) 2,596円

生産地:ニュージーランド・マールボロ
葡萄品種:ソーヴィニヨン・ブラン65%、セミヨン35%
味わい:白・辛口・フルボディ
輸入元:アプレヴ・トレーディング

ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを一躍有名にしたクラディ・ベイに隣接し、土地の一部を譲渡しているリヴァビー・エステート。テロワールに恵まれる同社で造る、樽熟成のソーヴィニヨン・ブラン&セミヨンも非常に素晴らしく、ハーブ、シトラス、レモンのような柑橘系の香りと、フレンチオーク樽熟成由来のバニラ、アーモンド、ナッツのようなふくよかな香りを感じさせます。柔らかく凝縮感があり、ほろ苦い酸味と非常に美しい果実感が魅力のワインです。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。