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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

娘の名前を冠した南仏ビオワインの傑作
ドメーヌ・ド・ガベラス キュヴェ・ジュリエット

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

明るい気候風土を表現したラベル

5月はスペイン国境に近い、陽光あふれる南仏ラングドックのワインをご紹介しましょう。その名は「ドメーヌ・ド・ガベラス キュヴェ・ジュリエット」。ジュリエットとは、ワインの造り手ドメーヌ・ド・ガベラスの当主の娘さんの名前。娘が4歳のときにこのワインを造り始め、現在ジュリエットは23歳になり、ラベルの女性のように美しく成長しています。

ラベルを描いたのは、パリ生まれでモンペリエ在住の画家ジャン・ポール・ボカイ氏。明るい太陽と温暖な気候風土を思わせるような、ビビッドな色彩に思わず目を奪われます。

オーガニック葡萄から生まれる極上キュヴェ

このワイナリーの大きな特徴は、長年、有機栽培で豊かな果実味を備えた健康な葡萄を育てていること。ワイナリーの女性当主ピエレットさんは、娘が生まれたとき、次世代に健全な土地を受け渡していきたいと、化学肥料や農薬を一切排除した有機栽培に転換。現在12haの畑全てが、フランス農務省制定の「エコセール」のオーガニック認証を取得しています。エコセールは毎年、ワインの品質検査や畑の土壌検査の他に、ワインの集荷や保管場所、苗や樹木の環境に至るまで厳しい検査を行い、それにクリアしたものだけに与えられる認証です。

南仏の歴史あるワイン産地サン・シニアン

ドメーヌ・ド・ガベラスがあるのは、南仏ラングドック地方のサン・シニアン。ここは南仏でも標高が高く、地中海から吹く風の影響を受け、病害を受けることなく健康な葡萄が育つ地域。また近郊には世界遺産であるカルカッソンヌ城や多くの修道院が点在し、中世からワイン造りが行われてきた歴史ある産地です。ガベラスも16世紀から代々続く家族経営の小さなワイナリーですが、有機葡萄を使った丁寧なワイン造りで知られ、驚くほどコストパフォーマンスに優れた傑出したワインを生み出しています。

ミネラルと微生物が生きる豊かな土壌

ピエレットさん一家は、畑を自分たちの手でよく耕すことで、土中の微生物の活動を活発化させ、ワイン造りで発生した葡萄の搾りかすやハーブを煮込んだ液肥を与えるなどして、化学肥料や農薬に頼らない自然農法で葡萄を栽培しています。そのため、ガベラスの畑の土壌は微生物が生きミネラルが豊富で、土地のテロワールが表現された元気な葡萄が育ちます。そして、生まれるワインもこの上なく香り高く、優しくピュアな果実味を備えています。


華やかな気品と豊かな包容力

この「キュヴェ・ジュリエット」もこうした葡萄の生命力を反映した素晴らしいワイン。ブラックベリー、カシス、リコリス、ハーブ、プラムなどの華やかな香りに、包み込むように優しくシルキーな果実味とタンニンを備え、新樽由来によるオークのニュアンスが絶妙に加わって、ワインに奥行きを与えています。シラー葡萄の出来が特に良い年にだけ造る特別キュヴェで、華やかな気品と優しい包容力に溢れた味わい。まさに母から娘へ、豊かで純粋な愛情が伝えられた逸品です。

東急フードショーのおすすめ

ドメーヌ・ド・ガベラス・キュヴェ・ジュリエット 2011
(750ml)2,592円

生産地:フランス・ラングドック地方サン・シニアンAOC
葡萄品種:シラー88%、グルナッシュ12%
味わい:赤・辛口 ミディアム~フルボディ

南仏サン・シニアンで造るビオワインの傑作。16世紀からワイン造りを行う歴史あるワイナリーで1995年から有機栽培に転換、厳格な審査のもと、フランス政府認定のエコセールのオーガニック認証を取得しています。また、化学肥料や除草剤、殺虫剤などに依存しない有機加工品を認定する、アグリカルチャー・ビオロジックの認定も受けています。「キュヴェ・ジュリエット」は、特に葡萄の出来が秀逸な年に造られ、葡萄の生命力とピュアな果実味をそのままワインに封じ込めた素晴らしいワイン。ブラックベリー、カシス、リコリス、ハーブ、プラムなどの華やかな香り、包み込むように優しくシルキーな果実味とタンニンを備え、新樽由来によるオークのニュアンスが絶妙に加わって、ワインに奥行を与えています。トマトソースのパスタや煮込み、牛肉のステーキ、スパイシーな中華料理、ローズマリーやタイムやバジルなどハーブを使った南仏料理、ハンバーグやカツレツ、肉じゃがや豚の角煮の和食、など幅広いお料理とお楽しみください。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。