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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

夏の暑さを癒す ピュアな果実味とフレッシュな酸
コルテ・アダミ・ソアーヴェ2014

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

古代ローマから歴史ある生産地 ソアーヴェはイタリア語で「気持ちいい」

暑い夏には、果実味豊かでフレッシュなイタリアのワインを!今回はイタリアを代表する白ワイン「ソアーヴェ」の魅力と素晴らしい生産者、そして食事との楽しみ方をご紹介しましょう。

ソアーヴェは、『ロミオとジュリエット』の舞台にもなったヴェローナの東30km、中世の教会や古城が残る、緑豊かな丘陵地帯で生まれる白ワイン。2000年以上も前のローマ帝国時代から栽培されてきた、ガルガーネガという白葡萄品種から造られます。イタリア語で「気持ちいい!」の意味があるように、フレッシュな果実味と豊かな酸が魅力。その一方で長年、「歴史が長く知名度も高いが、味わいが淡白な大量生産型のワイン」とも見なされていました。

ワインルネッサンスで高品質に 技術力の高い若手生産者の活躍

ところが1900年代、ソアーヴェにワインのルネッサンスが興ります。栽培においては、減農薬や有機農法の導入、土壌に合わせた葡萄栽培や仕立ての改良、凝縮した果実を得るための収量制限など。醸造においては、ピュアな果実味を得るためのソフトプレスや低温発酵など、技術の向上がなされました。

さらに、ジーニ、カステッロ、ファットーリ、アンセルミ、イナマなど、高い意識をもつ生産者の登場により、イタリアで最高の白ワイン産地のひとつに発展します。また近年では、高い技術と革新的アイデアに満ちた、若く情熱ある生産者が活躍。今年6月にはソアーヴェ保護協会会員の若手生産者、Pagani、I Stefanini、Le Albare、Corte Mainenteなどが来日し、自らのワインを積極的に紹介しました。

次世代を担う「コルテ・アダミ」 ピュアな果実味と清冽な酸

こうしたソアーヴェの次世代を担う生産者の中でも、東急フードショーが一人でも多くのお客様に飲んでいただきたいのが、「コルテ・アダミ」です。非常にピュアな果実味と清冽で美しい酸が魅力のワイン。1,400円(本体価格)という高いコストパフォーマンスも驚きです。コルテ・アダミは2004年に家族でワイナリーを設立。4代目の長男アンドレアが若き醸造家として活躍し、素晴らしいワインを造っています。

アダミ家は元々、ソアーヴェ村の中心地に約30haの畑を所有し、共同組合に葡萄を販売する葡萄栽培農家でした。ところが18年前、父アンジェロが、「いつか息子たちとワイナリーを起こして素晴らしいワインを造りたい。そのためには、より良い葡萄が栽培できる畑を購入しよう」と決意します。そして探しあてたのが、ソアーヴェの歴史あるカステルチェリーノ地区の約7haのクリュ畑でした。この畑は標高350mの高地にあるため、昼夜の寒暖の差が大きく、暖かい昼間は葡萄に豊かな果実味を、冷涼な夜間は美しくフレッシュな酸をもたらします。また、特筆すべきは土壌の素晴らしさです。トゥフォと呼ばれる石灰質土壌が深層を占め、表土は黒い火山性土壌であるため、白い花のような香りと豊かなミネラルを備えた、秀逸なガルガーネガの葡萄が栽培されます。

ワイン造りへの揺るぎない自信 ラベルには畑を象徴する古い建物

コルテ・アダミ・ソアーヴェ DOCのワインラベルには、この素晴らしい畑を象徴するかのように、畑に元々存在していた古い建物の絵が描かれています。2004年にワイナリーを設立するにあたって、父アンジェロ、息子アンドレア、娘マルティナが「家族3人で力を合わせて、妥協のないワインを造って行こう」という想いを込めてこの建物をラベルに描いたといわれます。白いラベルに、銀色の文字で描かれたワイナリー名。飾り気のないデザインですが、統一感と包容力に富んだワインの味わい、そしてワイン造りへの揺るぎない自信を感じさせます。

夏の和食によく合うソアーヴェの楽しみ方

さて、食欲が落ちる夏は、爽やかなソアーヴェを旬の素材を生かした和食と楽しんでみましょう。ソアーヴェワイン保護協会会長は「イタリアでは、魚介のカルパッチョやフリット、バジルやルッコラなどのハーブ、アスパラガスやズッキーニやトマトなど、新鮮な魚介や野菜を使った料理と合わせることが多いソアーヴェ。同じく寿司や刺身、季節野菜や魚貝の天ぷら、など新鮮な魚菜を盛り込んだ日本料理ともよく合います」と伝えています。

ソアーヴェは柑橘系の果実味と豊かなミネラルも特徴なので、刺身や天ぷらは、お醤油よりも、塩やレモンを軽く振っていただくとより美味しく楽しめます。夏の食彩である、鮎の塩焼き、アナゴの天ぷら、タコときゅうりの酢の物、鯛のお刺身、枝豆ごはんなどにもぴったり。シソや茗荷など、夏の薬味ともよく合うので、お料理のアクセントに使ってみましょう。

またソアーヴェには、歴史ある丘陵部の畑から生まれる「ソアーヴェ・クラッシコ」、アルコール濃度が12%以上の「ソアーヴェ・スペリオーレ」といった、ワンランク上のワインもあります。これらは、まろやかなコクと深みを備え、焼き鳥や豚の味噌漬け、西京焼きなど、味わいのしっかりとした日本食ともよく合います。暑い夏はぜひともソアーヴェを和食と楽しみながら、爽やかな食卓を演出してみてはいかがでしょうか。

東急フードショーのおすすめ

コルテ・アダミ・ソアーヴェ 2014
(750ml)1,512円

生産地:イタリア・ヴェネト州 ソアーヴェDOC
葡萄品種:ガルガーネガ90%、トレッビアーノ10%
味わい:白・辛口
輸入元:株式会社ファインズ

アダミ家は代々、素晴らしい葡萄を作る栽培農家で、2004年にワイナリーを設立。このワインは、ワイナリー周辺の畑の葡萄とソアーヴェDOCの中でも特に秀逸なクリュ畑、カステルチェリーから生まれます。ガルガーネガの葡萄を手摘みで収穫。葡萄を優しくプレスし、樽を使わずステンレスタンクで発酵・熟成することで、テロワール由来のミネラル感と美しい果実味をストレートに表現しています。抜栓直後は、レモンの風味やソーヴィニヨン・ブランを思わせるグリーンノートを感じますが、時間とともに、黄色いリンゴ、白桃、バナナなど、完熟した果物のまろやかな芳香へと変化してゆきます。暑い夏をリフレッシュさせる、シャープな酸を備えながらも、葡萄の高い熟度を思わせる長い余韻が魅力。コストパフォーマンスに優れ、どんな料理とも相性がよく、魚介のカルパッチョ、生ハムサラダ、魚のハーブソテー、魚介のパスタの他に、アジやアユなどの魚の塩焼き、塩とレモンで食す天ぷらや寿司など、ぜひ和食ともお楽しみください。

ジーニ・ソアーヴェ・クラッシコ・サルヴァレンツァ2011
(750ml)5,400円

生産地:イタリア・ヴェネト州 ソアーヴェ・クラッシコDOC
葡萄品種:ガルガーネガ100%
味わい:白・辛口
輸入元:テラヴェール

ソアーヴェでも古い歴史をもつ生産者ジーニ。このワインは、葡萄栽培に古くからの歴史がある丘陵部のソアーヴェ・クラッシコで生まれ、ワンランク上の長期熟成も可能なソアーヴェ。有機栽培を行うサルヴァレンツァの畑の、樹齢70年を超える葡萄から造られ、果実の凝縮感、豊かなミネラル、まろやかで深い味わいを感じさせ、穏やかな佇まいの中にも風格が漂います。白い花や白桃の香りを備え、果実と柔らかな酸のバランスに優れるため、ホタテや海老やカニなどの甲殻類、鳥のからあげや手羽焼きなど鳥肉料理、塩とレモンで食す豚肉などの白身の肉、穴子やアスパラガスの天ぷら、鯛の塩焼きなどの和食にもよく合います。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。