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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

美食の宝庫フランス南西地方 食と楽しむ喜びのワイン
ドメーヌ・ド・タリケ・クラシック2014

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

ワインと美食のグルメ地帯シュッド・ウエスト

かつてはワインといえば赤!という人が多かったのですが、近年では、健康志向の高まりから食もライトになり、それに合わせてワインも白を好む人が増えてきました。今回は高品質でコストパフォーマンスが高く、さらに季節を問わず毎日の食卓にもぴったり。フードフレンドリーなフランス南西地方(シュッド・ウエスト)の白ワインをご紹介いたしましょう。

そのワインの造り手は、ドメーヌ・ド・タリケ。フランスは南西地方、アルマニャックのブランデーで有名なガスコーニュ地域にある、家族経営のワイナリーです。ボルドーのほぼ南に位置する南西地方は、9世紀に巡礼道に沿って建立された教会からワイン造りが発展した古い歴史をもち、フランス随一の美食地帯ともいわれます。偉大な料理人アラン・デュカスの故郷でもあり、フォアグラ、トリュフ、ロックフォールチーズ、バスク豚の生ハム、鴨の郷土料理、ワインにブランデーなど美食グルメの宝庫です。

中でもタリケがあるガスコーニュはガストロノミーの中心地。地元の市場には、フォアグラのパテやリエット、新鮮なカヴァイヨンメロンやラズベリー、種類豊富な羊乳チーズなど、地元農家が作る豊かな食材がずらりと並んでいます。さらにガスコーニュ地方はフランス最古のブランデーの産地ですが、近年では高品質な白ワインの名醸地へ、華やかな変貌を遂げています。

ブランデーからワイン産地へ 華麗なる転身

ガスコーニュの高品質白ワインのパイオニアとなったのが「ドメーヌ・ド・タリケ」でした。ガスコーニュでは、昔からユニ・ブラン種やコロンバール種から、非常に質の高いブランデーが造られていました。しかしこれらの品種でワインを造ると、なぜか美味しいものができないといわれていました。というのも、ユニ・ブランはブランデーなどの蒸留酒には適した品種ですが、ワインにすると酸が高く、旨みやアルコール分が低いものになってしまいます。

コロンバールは、逆にアルコールは高くなるものの酸が低く、単独ではバランスに欠けたワインになってしまいます。実際にこれらの品種で白ワインも造られていましたが、1970年代まではあくまでも地元でがぶ飲みされるような低いレベル。フランス国内でも“田舎のあかぬけない地酒ワイン”という認識でした。

完熟葡萄と高い醸造技術 白ワインの歴史を変えた伝説のパイオニア

こうした土地で、ガスコーニュの未来のために「どこまで質の高い白ワインが造れるだろうか」と、悩み挑戦したのが、タリケの当主イヴ・グラッサでした。彼は「完熟した葡萄を使うこと・葡萄の収量を抑えて優れた葡萄のみを厳選すること・収穫から醸造まで酸素を遮断してワインを酸化させずにタンクで保存すること」など、当時としては革新的な方法で高品質ワインの生産に励みました。また、地元の固有品種だけでなく、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、シュナン・ブランなどの国際品種を新たに植えて、これらをブレンドしてエレガントなスタイルのワイン造りに挑戦します。

数々の栄誉ある受賞 ガスコーニュを牽引世界的な名産地へ

歴史あるブランデーの生産者から転身し、あらゆる努力を重ねた1982年。タリケは初の白ワインをリリースします。そのワインは、モンペリエのテーブルワインコンクールでなんと見事優勝。その後も様々な賞を受賞し、1987年にイヴ・グラッサは、栄誉あるフランスの「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に選出されます。さらに、こうしたタリケの挑戦に触発され、多くの生産者が質の高いワインを造るようになり、現在ガスコーニュは、国際的にも高評価を獲得する白ワインの名産地となっています。


フレッシュで花やシトラスの香り 食と楽しむ喜びのワイン

タリケのワインの中でも、今回おすすめするのが「ドメーヌ・ド・タリケ・クラシック 2014」。販売価格1,404円というコストパフォーマンスの高さで、当店でも人気の白ワインです。これは、記念すべき1982年に初リリースされて以来、32年間造られて続けてきたタリケの代表ワイン。ラベルには歴史あるワイナリーとその周辺に広がる、のどかな葡萄畑が描かれています。花やシトラスや南国のフルーツの風味をもつ辛口で、目の覚めるようなフレッシュさとともにアロマティックでふくよかな気品も感じられます。

現在ガスコーニュ地方では『食と楽しむ喜びのワイン』をキャッチフレーズに世界に広くアピールしており、このワインにもそのコンセプトがしっかりと感じられます。地元では名産のフォアグラのテリーヌ、牡蠣、バスク豚の生ハム、アスパラガス、などと楽しみますが、和食、イタリアン、エスニック、エビやカニなどの魚介類に加え、ポークソテーやフライドチキンなど豚や鶏肉料理、さらにこれからの季節は鍋料理にもよく合います。高いコストパフォーマンスも非常にうれしく、まさに毎日の食卓に「喜びをもたらすワイン」としてお楽しみいただけることでしょう。

東急フードショーのおすすめ

ドメーヌ・ド・タリケ・クラシック2014
(750ml)1,404円

生産者:ドメーヌ・ド・タリケ
生産地:フランス南西地方IGPコート・ド・ガスコーニュ
葡萄品種:ユニ・ブラン、コロンバール
味わい:白・辛口
輸入元:株式会社八田

タリケは熊使いとしてスペイン国境に近いピレネー山中に暮らしていた家系が祖先。ガスコーニュ地方のガストロノミーと豊かな気候風土に魅せられ、現在のドメーヌがあるバ・アルマニャックに移り住み、たった7haの葡萄畑からスタート。高級アルマニャックの生産者として歴史をかさね、1982年に念願の白ワインをリリース。1987年にはワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。初リリースから32年間造られ続けるこのクラシックは、フレッシュでクリーンな果実の旨みがストレートに広がり、白い花やシトラスの気品ある香りと美しい酸が感じられます。果実の旨みは和食の出汁にもよく合い、和洋中華、エスニック、牡蠣、甲殻類、白身の肉など料理を選ばない、フードフレンドリーなバランスに優れた味わいが魅力です。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。