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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

食欲の秋 和牛とローヌワインを楽しもう
アンドレ・ペレ シラー ヴァン・ド・ペイ コリーヌ・ローダニエンヌ2012

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

教皇が発展させた赤ワインの銘醸地

秋も深まり食欲も増す季節は、濃厚で芳醇なコート・デュ・ローヌの赤ワインと野趣あふれる肉料理とのマリアージュを楽しんでみてはいかがでしょう。今回は太陽が豊かに降り注ぐローヌ渓谷の急峻な畑で造られる、コストパフォーマンスに優れたローヌワインをご紹介いたしましょう。

コート・デュ・ローヌ地方はフランス南東部、北はリヨンから南はアヴィニヨンまで、ローヌ河沿いに広がるワイン産地です。その歴史は古く、約2千年前にローマ人が葡萄栽培を開始。13世紀にアヴィニヨンに法王庁が移されると、歴代の教皇が葡萄栽培に力を入れたことから、質の高い素晴らしいワインが生まれるようになりました。現在フランスではボルドーについで第2位の生産量を誇り、そのうち赤ワインが80%を占める銘醸地に発展しています。


有機葡萄の栽培面積はフランス最大

大きな特徴はローヌ河に沿って生産地が北部と南部に分かれていることで、それぞれに個性が異なるワインが生まれています。ローヌ渓谷から地中海にかけては「ミストラル」という風が南北に吹き抜け、このミストラルは冷涼で非常に乾燥した風であるため、雨後の畑をすばやく乾かし、葡萄の病気を抑える役割を果たします。そのため、ローヌ地方は普段から、葡萄を減農薬で育てることができ、さらに、農薬や化学肥料を使わない有機栽培の畑面積はフランスで最大。ここ3年間でも30%増となり、約250軒もの生産者がビオワインの認証を受けています。

ラベルには健全な葡萄とワインの雫が 偉大なる生産者が造るバリューワイン

さて、東急フードショーで一押しするローヌワインも、有機栽培の葡萄から生まれた素晴らしいワインです。ワイン名は『アンドレ・ペレシラーヴァン・ド・ペイコリーヌ・ローダニエンヌ 2013』。「素晴らしいワインは素晴らしい葡萄から造られる」という信念のもと、ワインのラベルには葡萄の赤い果実とそこから生まれるワインの雫が描かれています。

このワインの生産者アンドレ・ペレはローヌ北部のコンドリューで傑出したワインを生み、「ミスター・コンドリュー」と呼ばれるほど世界的にも有名な造り手です。元々ペレ家は葡萄の他にもアプリコットなどの果実を栽培していた農家でした。しかし1982年にアンドレさんが家業を継ぐと、葡萄栽培に専念してワイナリーを発展させ、わずか1.5haだった葡萄畑を11haまでに拡大しました。ただし、畑をむやみに広げるのではなく、テラス状になった日照や土壌に恵まれた優良区画のみを厳選。化学肥料や農薬を廃し、有機肥料のみで葡萄を栽培しています。

ローヌ河を望む急峻な優良畑ローダニエンヌ

このワインが生まれる、コリンヌ・ローダニエンヌの畑も素晴らしく、畑の格付けでは上から3番目のヴァン・ド・ペイですが、日当たりのよい畑は花崗岩と雲母が豊かな土壌で、格付け最高位のAOCに匹敵するほどの優良畑といわれます。ただしヴァン・ド・ペイであるため、価格においては2,160円ととても低く抑えられおり、コストパフォーマンスの高さでもうれしいワインです。さらに接木をしない自根の樹齢の高いシラーの葡萄から造られるため、土地の力をストレートに伝える深みのある味わい。ミネラル感も豊かで、スーッと伸びる美しい酸や、バラやスミレのような豊かなアロマを備えています


力強さとふくよかさ 南北で異なる個性

東急フードショーでは、他にも素晴らしいローヌのワインを豊富に揃えていますので、ぜひ一度手に取ってみてください。ローヌ地方北部は、エルミタージュ、クローズ・エルミタージュ、コート・ロティ、コルナス、コンドリューなど、とりわけ素晴らしいクリュ(特定地区)があり、ローヌ河沿いの急峻な畑で、シラーを主体に骨格がしっかりとし気品あるワインが造られています。

一方海に近い南部は、温暖な海洋性気候の影響から、グルナッシュ、シラー、カリニャン、ムールヴェドルなどの様々な葡萄品種が栽培されるため、それらをブレンドして、シャートー・ヌフ・デュ・パプ、ジゴンダス、リュベロン、リラックなど、果実味豊かでふくよかで芳醇なスタイルのワインが造られています。

和牛とのマリアージュを推奨するローヌワイン委員会

さらにこの秋、これらのローヌワインと楽しんで欲しいのが和牛です。ローヌワイン委員会では、日本の和牛とローヌワインを合わせるセミナーをこの秋開催。そのマリアージュの魅力を推奨しています。

ローヌワイン委員会会長アルノー・ピニョルさんは「地元ではローヌワインは鴨や鹿肉などのジビエや、ナヴァラン・ダニューという子羊のトマト煮込み、牛ホホ肉のワイン煮込み、など肉料理と楽しみますが、日本にはこの国が誇る和牛という素晴らしいブランド牛があります。和食が世界遺産に認定されたことで、和牛の美味しさは世界でも注目を集めており、ローヌワインの芳醇な果実味と緻密で豊かなタンニンは、和牛の甘く上品な脂と繊細な肉質と非常によく合います」と伝えます。

さらに「和牛にもフィレ、ロース、タンなどさまざまな部位があり、添えるソースも、バーベキューやトマトソース、コチュジャンなどのピリ辛味噌、ポン酢醤油、塩、胡椒、などさまざまアレンジすれば、個性豊かなローヌのワインと一層楽しめますよ」と話します。


ホームパーティでは様々なソースと楽しんで

たとえば美しい酸と緻密なタンニンを備えたクローズ・ド・エルミタージュは、同じく酸味が心地よいポン酢醤油で和牛を食すととても美味しく感じられます。熟した赤い果実味が感じられるふくよかなジゴンダスは、コチュジャンのようなピリ辛みそを添えて和牛をいただくと、お互いの味わいをよく引き立てます。

ホームパーティなどでは、様々なソースを用意して、シンプルに焼いた和牛に付けながら、数種のローヌワインと味わってはいがかがでしょう。他にも、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ハンバーグステーキなど、この秋はぜひ、様々な和牛料理とワインをお楽しみください。

東急フードショーのおすすめ

アンドレ・ペレ シラー ヴァン・ド・ペイ コリーヌ・ローダニエンヌ2012
(750ml)2,160円

生産地:フランスコート・デュ・ローヌ
葡萄品種:シラー100%
味わい:赤・辛口・ミディアム~フルボディ

コート・デュ・ローヌ北部コンドリューの第一人者アンドレ・ペレ・が造るシラー100%ワイン。ミネラル感と果実味とのバランスに優れ、なめらかなタンニンと繊細な酸が特徴。バラやスミレのような華やかなアロマ、ミントのような清々しさも感じられます。チャーミングな口当たりながら、アンドレ・ペレの手腕と、彼が愛するコリーヌ・ローダニエンヌの畑のシラーの可能性を十分に感じさせるワイン。クリュ畑を凌ぐほどポテンシャルの高い畑から造られますが、現在はヴァン・ド・ペイの格付けであるため、非常に価格が抑えられコストパフォーマンスに優れた逸品です。和牛ステーキ、ローストビーフ、ハンバーグ、ビーフシチュー、トマト煮込み料理、すき焼き、など肉料理との相性は抜群です。


ジャン・ルイ・シャーヴ セレクション コート・デュ・ローヌ・ルージュ モンクール2013
(750ml)2,700円

葡萄品種:シラー50%、グルナッシュ50%
味わい:赤・辛口・ミディアムボディ

葡萄栽培に対する真摯な姿勢、たぐいまれなる醸造技術と偉大な畑を所有、人間性にも優れたジャン・ルイ・シャーヴは、今では北ローヌの神と呼ばれるほど神聖化された造り手です。 私の心を意味する「モンクール」と名付けられたこのワインは、自社畑の葡萄ではなく、彼の目で厳選された買い葡萄から造った、いわゆるネゴシアンワイン。北部ローヌの偉大なテロワールを活かしながらも、誰もが手軽に楽しめる価格でワインを楽しんでほしいという造り手の「心」がこもった逸品です。果実味、酸、タンニンのバランスが非常によく、赤い果実の柔らかな口当たりが魅力です。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。