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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

力強さとエレガンスを極めるチリワイン
名門エラスリス家が誇るスーパープレミアムワイン
セーニャ2011

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

チリワインの最高峰を目指したい!その思いを「象徴」するセーニャ

カベルネ・ソーヴィニヨンの新聖地とも謳われ、ワイン造りの桃源郷ともいわれる南米チリ。豊かなテロワールに恵まれ、芳醇で果実味豊か、そしてコスト・パフォーマンスに非常に優れるチリワインは、日本でも多くの人々に愛されています。今月はその中でも、チリの最高峰ともいえるスーパープレミアムワイン「セーニャ」をご紹介しましょう。

セーニャは、1995年から造られ、チリの名門エラスリス家の当主エデュアルド・チャドウィック氏と、カリフォルニアの雄ロバート・モンダヴィとの、ジョイント・ベンチャーによって生まれたスーパープレミアムワインです。セーニャは英語ではサインで、「象徴」や「合図」を意味する言葉。世界に名を馳せる素晴らしいグランヴァンを目指し、新しいチリワインを象徴する最高峰のワインとなることを願って名付けられました。

ロバート・モンダヴィが切望した新聖地 アコンカグア・ヴァレーとエラスリス家

1980年代末、カリフォルニアのロバート・モンダヴィが、シャトー・ムートン・ロートシルトとのジョイントワイン「オーパス・ワン」の成功を受けて、次に向かったのは南米のチリでした。チリは葡萄栽培に恵まれた気候とテロワールによって害虫の侵入を受けにくく、フィロキセラの被害に遭っていない世界唯一の国。1990年代にはワインの品質が飛躍的に向上し、フランスのボルドーやカリフォルニアのナパに負けない、カベルネ・ソーヴィニヨンの新聖地として脚光を浴びます。

中でも1860年代から7代に渡って、アコンカグア・ヴァレーで素晴らしい葡萄栽培とワイン造りを行ってきたのが名門エラスリス家。モンダヴィはその素晴らしさを世界に知らしめたいと現当主エデュアルド・チャドウィック氏とコラボレーション。初ヴィンテージのセーニャ1995を生み出し、世界的脚光を浴びます。

4年の歳月をかけて探求した セーニャ専用のグラン・クリュ畑

その後二人は更なる品質の向上を目指し、アコンカグア・ヴァレーの中でも最上級の、セーニャ専用の畑を4年もの歳月をかけて探します。その畑「セーニャ・ヒルサイド・ヴィンヤード」は、太平洋から内陸に40kmの場所に位置し、土壌は小石を含む粘土石灰質土壌。気候は、乾燥して温かく爽やかな海風が吹く、葡萄栽培に適する海洋性気候。日中葡萄は豊かな太陽を浴びる一方で、標高250mから500mの高地ゆえに夜間は涼しく、豊かな酸と果実味を備えた凝縮感のあるミネラル豊かな素晴らしい葡萄が生まれます。

さらにこの畑は、カベルネ・ソーヴィニヨンは勿論のこと、カベルネ・フラン、カルメネール、メルロ、プティ・ヴェルド、と全ての品種においてトータルに素晴らしい葡萄が生まれることも大きな特徴で、それによってワインは真にグレートな品質となります。成熟した葡萄を厳選して収穫後、さらにひと粒ひと粒丁寧に選別、100%フレンチ・オーク樽で気品あふれるワインを造り上げてゆきました。


ボルドーの五大シャトーに圧勝 2005年にビオディナミに完全移行

こうした努力が実を結んだ2004年、ベルリンにて世界の名だたるジャーナリストやソムリエを迎えて行われたブラインド・テイスティングでは、ボルドーのシャトー・ラフィット、マルゴー、ラ・トゥールを抑えて、セーニャ2001は世界2位を受賞(ちなみに1位は同じくエラスリス家が造るヴィニエド・チャドウィック2000でした)、その名声を世界に轟かせたのです。

さらに、セーニャでは2005年からビオディナミの自然農法に完全移行しました。この農法は農薬や化学肥料などを一切排し、自然の堆肥のみで土中の微生物を活性化。堆肥作りや収穫などの農作業は月や星の運行に従って行うことで、宇宙の力を葡萄栽培に活かしていく農法。それによって、葡萄はより力強く健康になり、ワインも更なる進化を遂げてゆきました。

最も大切なのは生産者の情熱 ラベルに込められた思いとは

今年3月に来日した当主のエデュアルド・チャドウィック氏は「素晴らしいワインを造るためには美しい自然を守りながら葡萄栽培を行い、人間の高い技術力によってワイン醸造を行うことが重要ですが、何よりも大切なのが生産者のパッション、情熱です。セーニャのラベルに描かれている四葉のマークは、宇宙、大地、人間性、情熱の4つの要素が一つに結びつき、素晴らしいワインを造っていこうという強い意志を表わしています。またマークの赤色は情熱を、周囲の青色はチリ名産の宝石ラピスラズリーを表現しています。チリが誇るファインワインの象徴として、これからも素晴しいワイン造りに励んで行きたいと思います」と笑顔で語ってくださいました。

まさに、ボルドーのグランヴァンをも凌ぎ、チリワインのエレガンスを世界に知らしめるセーニャのワイン。大切な人との記念日やお祝いの贈り物に。また20年以上の長期熟成能力も備えるため、大切に保存して子供の成人を祝う誕生日ワインとしてもお楽しみいただけます。生涯においてぜひ一度お楽しみいただきたいスーパープレミアムワインです。

東急フードショーのおすすめ

セーニャ2011
(750ml)10,800円

生産地:チリ アコンカグア・ヴァレー
生産者:ヴィーニャ・エラスリス
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン58%、カルメネール15%、メルロ15%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド7%
味わい:赤・辛口・フルボディ

セーニャ誕生から17回目を迎える2011年ヴィンテージは、深み、エレンガンス、複雑さを増し、ますます磨かれた気品ある味わい。ボルドーのグランヴァンを凌ぐ気品とエレガンスを備えながら、チリならではのふくよかで芳醇な豊かな旨みに溢れています。2011年は例年より夏がやや涼しい気候であっため、葡萄の粒が引き締まり、凝縮された果実感と美しい酸、そしてシルクのように滑らかなタンニンが特徴です。すっと伸びた骨格と引き締まった美しい筋肉を感じさせ、グラスからは完熟したブラックベリーやカシス、カカオやハーヴといった複雑で濃厚な香りが溢れます。
チリならではの驚く程のコスト・パフォーマンスの高さ。熟成させたらさらに凄いワインとなることを感じさせるポテンシャルを備えていますが、今でも十分に楽しむことができる旨みとしなやかさ、バランスのよさも魅力です。現在飲まれる場合は2時間ぐらい前に抜栓し、デカンタージュをしてお飲みすることをお勧めいたします。17年という歴史の中で磨かれたチリワイン最高峰のセーニャ。ぜひ大切な方との記念日やお祝いに、成人したお子様の誕生日などにお楽しみにいただきたいワインです。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。