晩夏におすすめのボルドーワイン

秋の訪れが待ち遠しい一方で、まだまだ残暑が残る９月は、ボルドーのGraves＆Pessac-Léognanグラーヴ＆ペサック・レオニャン地区のワインを楽しんではいかがでしょうか。ボルドーというと、重厚な赤ワインというイメージがありますが、この地区のワインは伸びやかな酸と洗練された味わいが魅力。特異なテロワールによって、他とは一線を画する高品質ワインが生み出され、いま大注目の生産地です。

傑出したワインを生む「グラーヴ」の土壌　

グラーヴ＆ペサック・レオニャン地区は、世界文化遺産としても有名なボルドー市の南、ガロンヌ川沿い45kmに3428haの葡萄畑が広がり、ガロ・ロマン期から栽培が行われてきた伝統ある生産地。そこは他の地区とは異なる特異なテロワール（土壌・気候）を備え、ボルドーの中でも傑出したワインが生まれることで知られています。

産地名のグラーヴGraveは「小石・砂利」という意味で、その名の通りこの地域は小石交じりの独特の土壌です。この土壌は高品質な葡萄栽培にとても適しており、日中は石が光を反射して、葡萄樹の下からも光が当たる効果があり、夜間は石が溜め込んだ熱を放出します。そのため、葡萄はよく熟しやすく、凝縮感のある果実味と緻密でしなやかなタンニンを備えたワインが生まれます。またこの土壌は、根が下に伸びやすく、水はけがよいため、酸が伸びやかでミネラル豊か、洗練された味わいのワインが出来あがります。

世界的にも注目、グラーヴ＆ペサック・レオニャン生産者来日

近年ワインの味わいの志向は、タンニンが強く重厚なものから、酸が伸びやかでエレガントなものへと変化しています。そのため、ボルドーの中でもこの地区のワインは、世界的にも注目を集めています。300もの歴史あるシャトー（ワイナリー）があり、グラーヴワイン委員会が構成され、今年6月には秀逸な九つの生産者が来日し、大きな話題となりました。

若い姉妹が造る優美な味わいのシャトー・シモンChâteau Simon、豊かなアロマと緻密なタンニンのシャトー・デュザChâteau d’Uza、スパイシーで力強い果実味のシャトー・オー・バカランChâteau Haut-Bacalan、スタイリッシュで気品あるシャトー・オー・ラグランジュChâteau Haut-Lagrange、白桃やバニラなど丸やかで気品ある白ワインが印象的なシャトー・ヴェニュスChâteau Venus、他にもシャトー・ド・シャントグリーヴChâteau de Chantegrive、シャトー・レ・ランパールChâteau Les Remparts、シャトー・ロッシュ・ラランドChâteau Roche-Lalandの素晴らしいワインが紹介されました。

王家ゆかりの百合の紋章 伝統から革新へ進化するスミス・オー・ラフィット

「シャトー・スミス・オー・ラフィット」はこれまで様々なオーナーに引き継がれ、格付けシャトーにふさわしいワインを生み出してきましたが、1990年、ダニエル・カティアールが新しくオーナーとなり、大きな革命期が訪れます。

カティアールは、かつてはスキーのオリンピック代表選手にもなった人物。引退後父から受け継いだ小さなスーパーを、チェーン展開してビジネスを成功させます。しかし1988年、スミス・オー・ラフィットのワインに魅せられた彼は、すべてのビシネス権と財産を投げ打ってシャトーを購入。さらに、伝統を受け継ぎながらも、より素晴らしいワインを造っていこうと、葡萄栽培と醸造の改革を次々と行います。

有機栽培と環境を配慮したワイン造り エレガンスを極める樽へのこだわり

農薬や化学肥料を排した有機栽培、二酸化炭素をリサイクルする環境保全型のワイン醸造、畑を小区画に分けて区画ごと醸造を行う、など様々な改革を行い、シャトーは名実ともにボルドーのトップクラスへ上り詰めました。

さらに彼は、ワインを熟成する樽の工房まで設立したのです。樽はワインのフレーバーを決める重要な要素であるため、オークの産地を厳選し、樽内の焼き加減、木材の乾燥方法にも細心の注意を払いました。こうして生まれた白ワインには、オーク樽由来の繊細でふくよかな果実味と気品ある風味が。さらに、赤ワインは凝縮された豊かな果実味と緻密でしなやかなタンニンを備えています。

東急フードショーのおすすめ

シャトー・スミス・オー・ラフィット2013
（750ml）15,120円

生産地：フランス ボルドー AOCペサック・レオニャン
葡萄品種：ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン
味わい：辛口・白・フルボディ

ボルドー最高峰の白ワインを生む、グラーヴ＆ペサック・レオニャン地区の中でも、特に優れた格付けシャトーが集まるレオニャン村に畑があります。有機栽培によって香り豊かで質の高い葡萄を生み出し、ワインのフレーバーを決める樽の製造にも注力しています。そのためワインは、力強く豊かな果実味と気品ある樽香がみごとに融合した風格ある味わい。時間がたつごとに、グレープフルーツ、メロン、白桃などのフルーツの芳香が現れ、生き生きとした酸とミネラル、優雅で気品ある味わいに魅了されます。

ドメーヌ・ドゥ・シュヴァリエ2005
（750ml）8,640円

生産地：フランス ボルドー AOCペサック・レオニャン
葡萄品種：カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ他
味わい：辛口・赤・フルボディ

レオニャン村にあるシャトーは、スタイリッシュで美術館の様な建物。同じくワインも非常にエレガントです。グラーヴ＆ペサック・レオニャン地区の中でもトップクラスのシャトーで、赤・白の両ワインが、グラン・クリュに格付けされています。コンポートしたカシスやブラック・ベリーのような凝縮した果実味、生き生きとした酸、樽由来のバニラやハーヴの芳香を備え、豪華で気品ある味わい。ヴィンテージ2005年は、11年の熟成を経て飲み頃に入り始め、ワインは複雑性を増し、完熟した果実、トリュフ、森の下草などの熟成香が現れ、エレガントな味わいを堪能できます。家族の記念日やお祝いに是非お楽しみいただきたいワインです。