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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

真紅のダッシュが繋ぐきずな カンヌ映画祭やアカデミー賞の公式シャンパーニュ パイパー・エドシック・エッセンシエル・エクストラ・ブリュットNV

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

1785年創業の歴史をもち、王妃マリー・アントワネットに献上されたシャンパーニュとしても知られる「パイパー・エドシック」。近代においてはカンヌ国際映画祭やアカデミー賞の公式シャンパーニュ・メゾンとして華やかなシーンを演出しています。さらに2018年には新たに若く才能溢れる最高醸造責任者シェフ・ド・カーヴが就任。サステイナブル農法を実践するなど、環境保全と高い品質管理にいっそう注力しています。今回は、華やかなシャンパーニュの世界で、更なる躍進を続けるパイパー・エドシックの魅力をお伝えしましょう。

初代ブランド・アンバサダーは王妃マリー・アントワネット

写真:マリー・アントワネットに献上され、優美で気品ある味わいで魅了した。
真紅の華やかなラベルで知られる「パイパー・エドシック」。そこに描かれているメゾンの文字「PIPER‐HEIDSIECK」に注目してみましょう。PIPER とHEIDSIECKの間は赤い「ダッシュ〈‐〉」で繫がれています。ここにはメゾンの様々な歴史と絆が込められているのです。

1785年、フローレンス=ルイ・エドシックは「王妃にふさわしい高貴なシャンパーニュを造りたい」という大志を抱いてエドシック社を創業。最初のキュヴェをマリー・アントワネットに献上すると、彼女はその優美で洗練された味わいに魅了され、初代ブランド・アンバサダーとなります。そして瞬く間に宮廷で人気のシャンパーニュとなったのです。

人・もの・こと 赤いダッシュ〈〉が繋いだ歴史と絆

写真 上:王妃にふさわしい気品あるシャンパーニュを目指した創業者フローレンス=ルイ・エドシック。
写真 下:現在のメゾンの華やかな外観
フローレンスの死後、甥のクリスチャン・エドシックがメゾンを引き継ぎますが、不幸なことに継承後すぐに亡くなってしまいます。メゾンを引き継いだのはその妻で、やがて彼女はメゾンで長年働いていたアンリ・ギヨーム・ピペと結婚。それによってメゾンは二人の名前を冠した「PIPER‐HEIDSIECK」に改名され今の名前となりました。

こうした歴史から中心の赤いダッシュ〈〉は二つの家系をつなぐアイコンであり、同時に「ダッシュ・オブ・セダクション」というメゾンのブランドコンセプトをも表現しています。それはメゾンの歴史をつなぎ、さらに「人」「もの」「こと」をもひとつに繋ぐセダクティヴ(魅惑的)なシャンパーニュであることを意味しているのです。

さらに、再びこのエッセンシエル・エクストラ・ブリュットの表ラベルにご注目ください。そこには、ロット・ナンバー、澱引きを行ったデゴルジュマンの年、醸造責任者のサインを記載。さらに裏ラベルにもセラーに入れた年も記載し、確かな品質管理と高品質で特別なシャンパーニュたる履歴が明確に記されています。

ピノ・ノワール主体の優美で気品ある味わい 歴代の醸造家たちが繋ぐ偉大な功績

写真:新ヴィンテージ2012(写真右端)は、よく晴れ乾燥した夏が続いたことで、美しく完熟した果実感、凝縮したアロマ、力強くもエレガントで完璧な調和をもつ。
パイパー・エドシックは、モンターニュ・ド・ランスからコート・デ・バール地区に至る広大な葡萄畑を所有しています。その中から100あまりの畑の葡萄を厳選。ピノ・ノワールを中心に、シャルドネとピノ・ムニエをブレンドし、リザーヴワインを10~15%加えます。このリザーヴワインによって、優れたバランス、フレッシュで上品な芳香、フルーティな果実感をもつ、美しい黄金色のシャンパーニュに仕上げられます。

前任の最高醸造責任者であるレジス・カミュは、インター・ナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)でスパークリング・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを通算8回も受賞した偉大な醸造家でした。こうした先人の功績を受け継ぎ、昨年2018年には、若き才能溢れるエミリアン・ブティヤが新たに最高醸造責任者に抜擢されました。

シャトー・マルゴーでビオディナミを学び サステイナブル農法を実践

写真:最高醸造責任者に任命されたエミリアン・ブティヤ氏
エミリアンさんは、シャンパーニュ出身で父も醸造家。モンペリエ農業大学でワイン学と農学の学位を取得。シャトー・マルゴーで研鑽を積み、さらにニュージーランド、カリフォルニア、チリなど世界のワイナリーでワインメーカーとして経験を重ねてきました。そのルーツと国際的なキャリアを生かし、枠組みにとらわれない多様なアプローチを実践しています。

エミリアンさんは今年7月に日本に初来日、就任発表会見で次のように伝えています。 「私のワインメイキングの哲学はパイパー・エドシックの伝統とスタイルを永続させること。さらに品質への妥協は一切認めず、そのためには葡萄栽培のあらゆる面に注力していきます。その中でも最も大切なことは、環境に優しい葡萄栽培を追求し“サステイナブルな農業の実践”を行っていくことです」

減農薬の厳しい認証を取得 次世代に繋ぐ美しい畑と自然

写真:除草剤を90%排し、減農薬農法を実践する畑。
現在メゾンの畑の90%では除草剤を使用せず、雑草の除去には太陽光発電で動くロボットを導入。また減農薬農法(リュット・レゾネ)の認証である「農務省公認のリュット・レゾネ(HVE)」と「シャンパーニュ地方独自のリュット・レゾネ(VDC)」のふたつを取得しています。

脈々と続くメゾンの歴史、先人から受け継いだ卓越した技術、そしてシャンパーニュ地方の美しい畑と自然を次世代に繋ぐべく躍進していくエミリアンさん。まさに赤いダッシュが繋ぐ新世代の到来ともいえます。残暑がまだまだ続く夏は、更なる進化を続けるパイパー・エドシックに注目いただき、フレッシュで気品ある味わいをご堪能くださいね。

東急フードショーおすすめ

パイパー・エドシック エッセンシエル・エクストラ・ブリュットNV
(750ml) 7,020円 [写真:左]

生産地:フランス・シャンパーニュ地方
葡萄品種:ピノ・ノワール主体 ムニエ、シャルドネ
タイプ:白・発泡・辛口(ドサージュ6g/ℓ)
輸入元:日本リカー

カンヌ映画祭やアカデミー賞公式シャンパーニュとして映画界をサポートし続け、また女優マリリン・モンローが目覚めの一杯に愛飲したことでも知られるパイパー・エドシック。このエッセンシエルは定番のノンヴィンテージのブリュットよりも、さらに長い4年に及ぶ瓶内熟成を行い、ドサージュも1ℓ当たり6gに抑えています。それによって、より繊細な泡立ちと、果実の凝縮感、そして優美な気品を醸し出しています。
白い花やフレッシュな果実の香りと共に、長期熟成によるアーモンドやフルーツケーキのような優雅な香気が魅力。力強くも気品高く多くの受賞歴を誇り、中でもデカンター・ワールド・ワイン・アワード2017ではベスト・ノンヴィンテージ・シャンパーニュのプラチナ賞を受賞。アペリティフや牡蠣をはじめ、あらゆる料理に柔軟に寄り添うバランスに優れたシャンパーニュです。


パイパー・エドシック ロゼ・ソヴァージュ
(750ml) 8,100円 [写真:右]

生産地:フランス・シャンパーニュ地方
葡萄品種:ピノ・ノワール主体 シャルドネ、ムニエ
タイプ:ロゼ・発砲・辛口(ドサージュ10.5g/ℓ)
輸入元:日本リカー

メゾンが誇るロゼ・シャンパーニュは、ピノ・ノワールを主体とし、ムニエとシャルドネ、さらに赤ワインを約20~25%ブレンド。それによって鮮烈な赤の色彩としっかりとした果実味を表現しています。爽やかさと熟した甘美な果実の香りが感じられ、凛としたたたずまいの気品あるロゼ・シャンパーニュ。アペリティフはもちろん、食中酒として鴨や赤身のお肉ともお楽しみいただけます。ムンドゥス・ヴィーニ金賞受賞、インターナショナル・ワイン・&スピリッツ・コンペテション2017銀賞受賞。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。