2025.06.02 NEW

「好きな食べ物と出会える絵本」

● 子育て

5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。
毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。
この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

食べることがもっと楽しくなる

好きな食べ物があると、それだけで食べることが楽しくなります。食事中、つい良かれと思って「体にいいから」「疲れが取れるから」などと言ってしまいがち。でも、やっぱり食事は純粋に「おいしい」と楽しく食べてもらうのが一番。世の中にはこんなにおいしいものがあるのかと、食への好奇心が刺激され、食べることの楽しさにつながります。
そこで今回は食べることが楽しみになり、大好きな食べ物と出会う絵本を紹介します。


大人気シリーズ第二弾『すきなたべものおしえて』。
くまさんが「すきな たべもの おしえて くーださい」とみんなに聞いていく物語。うさぎさんはにんじん。パリパリ、シャクシャク。ゴリラさんはバナナ。ムグムグ、モニュモニュ。繰り返されるインタビュー形式でリズムもよく、食事の音は思わず声に出してまねしたくなります。離乳食を終えて食べられるものが増え、話し始めるタイミングで読みたい一冊です。

『すきなたべものおしえて』 新井洋行 作・絵/偕成社 対象:1歳〜

本屋の絵本売り場で、こんなにおいしそうなオムライスを見つけたら絶対手に取りたくなるはず。
『できあがり』は、オムライスをはじめホットドッグやおにぎり、うどんまで、子どもたちが大好きな食べ物が登場します。やさしい色合いと本物のようにリアルでおいしそうな食べ物の絵は木版画によるもの。あまりにも精巧なイラストで、何度も見返したくなります。ロールパンにレタスとウインナーをはさんだホットドッグ。ごはんをぎゅっとにぎってのりをまいたらおにぎり。読み終えたら、一緒に作って食べてみるのもいいかもしれません。

『できあがり』 彦坂有紀 もりといずみ さく/福音館書店 対象:2歳〜

五感をつかって、作る喜びと食べる楽しみを

ベストセラー『とびきりおいしい おうちごはん』は、子どものための料理本。
まさに食育のための必読本です。道具や調味料などの準備。卵、肉、魚、野菜などのおいしそうなお料理の数々。料理の工程は、細分化され丁寧なイラストがあるので、子どもでもわかりやすい一冊。食べることは生きること、命をいただくこと、食育の基本的概念まで学ぶことができます。
ゆで卵や目玉焼きから始まり、からあげ、オムライス、やきそば、ラーメンなど子どもの大好物が盛りだくさん。料理があまり得意ではない大人にもぴったりな料理本です。

『とびきりおいしい おうちごはん』 野村友里・著/小学館クリエイティブ 対象:小学生〜

「好きな食べ物は何ですか?」の最適解とは

子どもの好きな食べ物ならすぐにいくつでも答えることができる。でも、自分の好きな食べ物を聞かれると、パッと思いつかなかったりしませんか。
周りの反応を気にして本当に好きな食べ物を言えなかったり、逆に好きと言ってしまったがゆえに深堀りされても面倒だったり、何よりその時々の気分で結構変わったりもしますよね。
そこで、好きな食べ物を改めて考えるきっかけをくれる二冊をご紹介します。


「あなたの好きな食べ物はなんですか?」果たしてこの問いの最適解は? 『好きな食べものがみつからない』は、自分の好きな食べ物を探し求めた日々を綴ったエッセイ。アボカド。おはぎ。オムライス。鯖寿司。お餅。「自分がどうありたいか、それが問いの本質なんだ」と、徹底的に自意識と向き合った結果、著者にとっての最適解は何になったのか。軽快で読みやすく、気づけば自分も好きな食べ物についてあれこれ考えさせられる一冊です。


『すきな食べ物がみつからない』 古賀及子/ポプラ社

イラストレーター・井田千秋さんによるおいしいコミックエッセイ『ごはんが楽しみ』。
好きなごはん。お茶やおやつ。近所のランチ。特別ブランチ。お気に入りの食器。ダイニングテーブル。在宅の著者ならではの、生活に寄り添った食にまつわるあれこれがとってもおいしそう。やさしくて温かなイラストに心癒されます。夜、寝る前に読めば、次の日のごはんが楽しみになるはず。おなかが空いてくるのでご注意を。おうちごはんも、外食も楽しみになる一冊です。

『ごはんが楽しみ』 井田千秋/文藝春秋

家族の好きな食べ物は何ですか?

好きな食べ物は、うれしいことがあったときにはご褒美に、落ち込んでいるときには励ましにもなります。きっと、それは子どもも大人も一緒。これらのおいしそうな本を読み終えたら、改めて家族みんなの好きな食べ物について話し合ってみませんか。もしかしたら意外な食べ物が出てきたりして、盛り上がりそうです。家族みんなの好きなものを自由に食べるというのも楽しそう。たまにはそんな特別な日があってもいいですよね。

それでは、明日の朝ごはんを楽しみに、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。

5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。