藤本:「文章題が解けない」というお子様が多いようで、文字を読むことはできても問題文の意図を理解できないという基礎的な能力にお悩みの保護者様が増えています。これは国語だけでなく算数にも当てはまり、問題文に出てきた数字を順番に式に置いていくようなお子様もいらっしゃるようです。
—そのような子どもたちが増えてしまった原因はなんだと思いますか
藤本:メディアやコンテンツが昔よりも圧倒的に増えていて、情報を動画や音声で受動的に聞くことに慣れてしまっているような気がしています。学習アプリなども適当に答えても○×で判定してくれるので、じっくり問題の意味を考える機会が減っているのかもしれません。これは勉強だけでなく娯楽も同様で、ひとつひとつの文章や動画も流しているのに理解した気になってしまう。
そういう傾向は時代としてあると思います。
—そんな時代背景にあって学研が子どもたちのために重要視していることは
藤本:学習指導要領は時代によって変遷を経ているのですが、2020年度の新学習指導要領で国が掲げているのが「生きる力」の育成です。
昔は言われたことを言われた通りにすることが正解とされたのですが、今の時代では、課題は何か?そのための解決策は何か?を自分で考えることが求められています。学研は教室を始めて40年以上ですが、「生きる力」というのは実は立ち上げ当初からテーマとして掲げています。
コロナ禍にオンラインレッスンとして新たにスタートさせた「ことばパーク」は、「生きる力」につながる「非認知能力」と「読解力」の育成を重要視しているのですが、そのカリキュラムにも学研教室で培ったノウハウが活かされています。
—「ことばパーク」では非認知能力においてどんな能力を身につけることができるのでしょうか?
藤本:集中力や相手の気持ちを理解する力、コミュニケーション能力というものが挙げられると思います。「ことばパーク」の影響で子どもがお友達との会話をより楽しむようになったなどの声があります。
—では読解力を身につけることで得られる力とは
藤本:読解力とは情報を理解、解釈して自分らしい行動や表現につなげるための能力で、友達とのコミュニケーションにも必要な基礎能力です。「ことばパーク」を受講されているお子様の保護者様からは文章への興味が深まった、スポーツクラブのコーチの指示に対する理解が早くなったという声をいただいています。
—非認知能力も読解力も積極的に身につけることを意識するのは大切なことですか
藤本:いつかは身につくものだという考えもあるとは思いますが、それが「いつ」になるのかは分かりません。例えば中学受験など、人生の大きな岐路に立つ時期までに身についていると、その後、自分で納得しやすい道へ進めると思いますが、そうじゃない可能性もあります。大人でも質問の回答がずれたりすることもあるぐらいで、いずれも学力の土台となる力でもあります。
だからこそ幼少期からの育成はすごく大切だというのが学研の考えです。
「ことばパーク」はスタートして3年目ですが、受講者は年々増えています。
—「ことばパーク」のカリキュラムについて教えてもらえますか
藤本:「ことばパーク」は1回25分で月3回のオンラインレッスンです。
メモを取ることはなく、講師との対話のみで聞き取り、音読、読解、ことば集めを行っていますがメモを取らないスタイルは講師からの出題を頭で覚えて、質問に答えることで子どもたちの「聞く」、「話す」、「読む」力を伸ばすためです。
「自分から本を読むようになった」、「学校で作文を褒められた」など、効果を感じている保護者様も多くて、「ことばパーク」を毎週の習慣化にしたいので月4回に増やして欲しいといった要望もあります。
ただ、月3回というのも「生きる力」の育成に最も効果的な回数というデータがあるんです。回数を増やせばそれだけ能力が高まるということでもありません。
—学研として「こんなお子様には「ことばパーク」をおすすめしたい」というのはありますか
藤本:ひとつのきっかけとしては「ひらがなを読めるようになった、けれども言葉の意味を理解せずに読み飛ばしている」と感じたら「ことばパーク」を活用いただけたらと思います。英単語は読める、でも意味はわからないというのに近い状況です。月3回の受講日時は自由に決めることができ、平日は夜の最終受付が20時までなのでお仕事をされているママでも予定を組みやすいという声をいただいています。「ことばパーク」を受講中のお子様の様子や反応を横で眺めているという保護者様は多いようで、カリキュラムだけでなく、
お子様の成長過程を温かく見守っていただくことも「生きる力」の育成には大事なことだと思います。