2026.04.02 NEW

「新生活のお守り絵本」

● 子育て

5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

新生活、子どもに寄り添う絵本

4月。子どもの入園・入学など、新生活がはじまる方も多いと思います。
喜びや楽しみでいっぱいの新生活。一方で、大きな変化は大人も子どもも不安や緊張もあります。ましてや子どもは、急激に成長していく心身の揺らぎに戸惑ったり、うまく言葉にできなかったりするかもしれません。
そんな新生活に、緊張や不安を和らげ、高揚した気持ちを落ち着かせ、安定した気持ちで心地よく過ごせるような絵本を備えておきませんか。


幼稚園が楽しみな子どもも嫌いな子どもにもぴったりの絵本『ぐるんぱのようちえん』。
ぐるんぱは、ひとりぼっちでくらすとっても大きなぞう。ビスケット屋、靴屋、ピアノ工場など、働きにでてみても失敗ばかり。しょんぼり、がっかり。そんなとき、12人の子どもの世話をするお母さんとの出会いをきっかけに幼稚園を開くことに。幼稚園で遊ぶ子どもたちは、とっても楽しそう。さみしかったり、失敗してしまったりするときもあるけれど、やっぱり幼稚園は楽しいと感じる一冊です。

『ぐるんぱのようちえん』西内ミナミ 作 堀内誠一 絵/福音館書店

新一年生の子どもには、『一年一組せんせいあのね こどものつぶやきセレクション』。鹿島和夫さんと担任した小学一年生たちとの<あのね帳>からセレクトされた、一年生のことばたち。ヨシタケシンスケさんの絵と共に楽しめます。
大人が驚くほどのしっかり者。思わずクスッと笑ってしまうような幼さ残る子ども。人を傷つけてしまい心を痛めている子ども。本質を突く哲学的な考えの持ち主。詩のような言葉を紡ぐ感性豊かな子ども。一人ひとりの個性が光る言葉たちに、笑ったり、ホロリとしたり、気づかされたり、同じ子どもだからこそ通じるものがあるかもしれません。

『一年一組せんせいあのね こどものつぶやきセレクション』鹿島和夫 選 ヨシタケシンスケ 絵/理論社

新生活のお守りにはパディントンを

長年愛され続けている名作パディントンシリーズの第一作『くまのパディントン』。小さい頃に読んだことがあるというママもいらっしゃるでしょうか。
冒険大好き愛されキャラ・パディントンの物語。初めてのおふろに初めての海水浴など、初めてのことが大好きで、何事にも一生懸命なパディントン。初めてのことだらけで緊張し、失敗がつきものの新生活。落ち着かない気持ちが続く夜、あったかいココアをお供に5分間だけ親子でこの本を読んでみませんか。

『くまのパディントン』マイケル・ボンド 作 ペギー・フォートナム 画 松岡享子 訳/福音館書店

ママの不安と緊張に寄り添う育児小説

正直言うと、子ども以上に緊張と不安でいっぱいなのは親のほうかもしれません。新しいコミュニティでの人間関係や、本格的にはじまる仕事と子育ての両立。自分のことだけでもいっぱいいっぱいなのに、子どものことが気になって気持ちが落ち着かない。そんな余裕がないときでも、読みやすく手っ取り早く気分転換できて、なんとなく役に立つ育児小説をご紹介します。どちらも連作短編集ですのでご安心を。


『くまのパディントン』や数々の名作、おいしい焼き菓子と薫り高い紅茶が登場し、疲れた心をほぐしてくれるのは『紅茶とマドレーヌ』。
名門女子高出身、会社経営をする夫と一人娘とタワマンに住んでいたが、突然夫の会社が倒産した上に愛人と逃亡。夫も家も失くし、一人娘を抱えた四十一歳・専業主婦だった姫乃は、得意の焼き菓子づくりを活かして英国風ティールームの開店を目指すことに。「人生はなにが起こるかわからないわ。失敗は成功のもとかもしれない。そう考えたらわくわくしてこない?」とどんなときでも前向きで一生懸命な姫乃の姿に、晴れやかな気持ちになります。他にも、仕事と家事に忙しくイライラするママ、ママ友と夫の家族と上手く付き合えない自信のないママなど、共感できるママと出会えるかも!?

『紅茶とマドレーヌ』野村美月/角川春樹事務所

『たのしい保育園』は、保育園に通う2歳のももちゃんとお父さんの二人の日常が父親目線で描かれています。冒頭、保育園に父親と向かうももちゃんが「お母さんがよかった」と、離れていくお母さんの方に向かって泣き叫ぶ場面に胸がキュッとします。季節の移ろいとともにももちゃんの成長を一瞬も逃すまいと記録するお父さん。
子どもの成長を通して味わう感動、喜び、さびしさ。子どもを通して広げられる父親の世界。みずみずしく、鮮やかに切り取られた育児小説です。数々の絵本でもおなじみの100%ORANGEさんの装画に気分も上がります。カバーを外せば、名前の「も」の字を書けるようになりはじめたももちゃんの字と思われる「も」も可愛らしい。ぜひチェックしてみてください。

『たのしい保育園』滝口悠生/河出書房新社

無理なく、心地よく、家族みんなで迎える新生活

忙しいとどうしても心の余裕がなくなり、家の中にはギスギスとした雰囲気が広がります。お茶を飲むことや読書することは、忙殺される日常を止めてくれます。食事のときは意外と忙しく、ゆっくりと家族で話せなかったりします。でもそのあと、数分だけ家族が自分の手を止め、お茶を飲んだり本を読んだりしませんか。そんなときにポロッと家族の本音が出てきたりします。子どもが何を感じているのか。親は何を思っているのか。そういうことを家族でシェアする時間になるなら、数分はかけがえのない時間に変わるかもしれません。子どもも、大人も、無理なく心地よい新生活を。

それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。



5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。

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