2025.06.16 NEW

産休に入る前にやるべきこと|引き継ぎ・あいさつ・配慮の心得まとめ

● 子育て

もうすぐ産休に入るというとき、仕事の引き継ぎや職場へのあいさつ、チームへの配慮など、気にかけることがたくさんありますよね。
「何から始めればいいのか分からない」と戸惑う方も多いかもしれません。
そこで、この記事では、産休前にやっておきたい基本的な準備や、職場との関係をスムーズに保つためのポイントをわかりやすくまとめました。安心して産休に入るために、ぜひチェックしてみてください。

「職場に迷惑をかけるかも…」という不安との向き合い方

産休前に多くの方が感じるのが、「チームに迷惑をかけないか」「復帰後、ちゃんと居場所があるかな」という不安。まじめに仕事に向き合ってきた人ほど、そう感じるのは自然なことです。
「復帰後、ちゃんと仕事と育児を両立できるのかな……」という不安もよく聞きます。でも実際は、「思っていたよりなんとかなった」と感じる先輩ママも少なくありません。すべてを完璧にやろうとしなくて大丈夫。休むときはしっかり休んで、必要なときは遠慮なく頼る。そうやって少しずつ、自分なりのペースで戻っていけたら、それで十分なんです。

先輩ママの声
「迷惑をかけないようにとがんばりすぎていたけれど、同僚が『気にしないで、元気な赤ちゃん産んでね』と言ってくれて。その一言で、ふっと力が抜けました。自分ががんばるより、“迷惑をかけない”より、“ちゃんと頼る”ほうが大事だったんだなって思います」
(M.Sさん/IT企業)

仕事の引き継ぎはもちろん大切ですが、それより大事なのは、任せることへの信頼と感謝の気持ち。「できるだけ迷惑をかけないように」ではなく、「気持ちよく任せられるように」に視点を変えてみると、気持ちがぐっと軽くなります。
また、「休ませてもらって申し訳ない」と感じる方もいるかもしれませんが、産休は、安心して子育てと仕事を両立するために用意された制度です。使うことに、引け目を感じる必要はありません。

心得のポイント
・完璧な引き継ぎより、「任せる姿勢」と「感謝の言葉」が信頼を育てる
・一人で抱え込まず、頼れる関係を築くことも大切
・産休は、安心して働き続けるための大切な制度。無理せず、気持ちよく使うことを大事に

産休のあいさつ、いつ・誰に・どう伝える?

産休前のあいさつは、これまでの感謝を伝えるとともに、周囲との信頼関係をより円滑にする機会でもあります。関係性や業務上の関わりに応じて無理のない範囲で行いましょう。早めに伝えておくことで、周囲も動きやすくなり、チーム内の不安も軽減されます。

<タイミングの目安>
・直属の上司:妊娠がわかった後、体調を見ながら安定期に入ったタイミングなど、なるべく早めに伝えるのが理想的
・チームメンバー・後輩: 引き継ぎの開始に合わせて、産休の2〜3ヵ月前を目安に、早めのタイミングで順次あいさつを
・関連部署: 産休に入る1ヵ月前までを目安に
・社外:関係性に応じて、最終出社の1ヵ月〜1週間前までに。必要に応じてメールでも可

先輩ママの声
「Slackでメッセージだけにせず、できるだけ直接伝えました。表情が見えるだけで印象が全然違うなと感じました」
(A.Nさん/メーカー勤務)

あいさつまわりについては、「全員に会っておかなければ」と構えなくても大丈夫。基本は、日頃関わりのある人を中心に行い、体調や業務状況を考慮しながら、無理のない範囲で行いましょう。
特にお世話になった方には、短くてもひと言直接伝えられると好印象です。関連部署や社外パートナーには、メールや社内ツールでの連絡も十分です。

心得のポイント
・あいさつは「業務連絡」ではなく、「感謝と信頼」を伝える機会ととらえる
・相手との関係性に応じて、無理のない範囲で丁寧に伝える
・一言でも、直接伝えることで気持ちが伝わりやすくなる

お菓子は必要? どんなものがいい?

産休前のあいさつにお菓子を添えるのは義務ではありませんが、「ありがとう」の気持ちをさりげなく伝える手段として、取り入れる方も多くいます。かしこまりすぎず、自分らしい形で感謝を伝えたいときに、ちょうどよいひと工夫です。

<選ぶときのポイント>
・個包装&配りやすいもの(衛生面や受け取りやすさを考慮)
・職場で食べやすいもの(仕事の合間でも気軽に食べやすい)
・常温保存できて日持ちするもの(休暇や出張で当日不在の人にも配れるように)

先輩ママの声
「産休前ごあいさつに、焼き菓子を配りました。個包装に『お世話になりました』のメッセージを添えただけですが、“こういう気づかい、○○さんらしいね”って言ってもらえてほっとしました」
(R.Iさん/出版社勤務)

感謝の形は人それぞれ。気負わず、自分らしいスタイルで伝えることが、何より気持ちの伝わるポイントです。

心得のポイント
・お菓子は義務ではなく、感謝を伝えるための“+α”の工夫
・かしこまりすぎず、自分らしいスタイルで選ぶことが大切
・渡す相手や職場の雰囲気に合わせて、無理なく用意すれば十分

引き継ぎで意識したいポイント

引き継ぎは、産休前の大きな山場のひとつ。限られた時間の中でも、相手にとってわかりやすく、実務に活かせる内容を残すことが大切です。丁寧な引き継ぎは、信頼にもつながります。
産休直前にまとめて対応するのではなく、余裕をもって段階的に準備を進めましょう。
また、誰が見ても理解できるような資料を作成することもポイントです。可能であれば、産休前に一度、後任の方に実際の業務を担当してもらうと、より安心です。

<引き継ぐ側として意識したいこと>
・業務リストを棚卸しし、日次・週次・月次などに分けて整理すると全体像がつかみやすくなる
・「何を、いつ、誰に、どこまでやるか」が明確に伝わるよう、資料は具体的に
・万が一のトラブルに備えて、対応フローや連絡先の記載もあると安心

先輩ママの声
「引き継ぎ資料だけでなく、メモやチャットの履歴もそのまま残すようにしました。『これがあると助かる!』って言ってもらえました」
(K.Mさん/広告代理店)

内容だけでなく、丁寧な言葉と感謝を伝える姿勢も、円滑な引き継ぎには欠かせません。「助けてもらう立場」であることを意識すると、自然と協力しやすい雰囲気になるでしょう。

心得のポイント
・「引き継ぎやすいかどうか」の視点を意識して整理する
・完璧を目指すより、実際に“使える”情報を丁寧に残す
・資料だけでなく、日々のメモやチャット履歴も役立つ

先輩ママの引き継ぎ&あいさつのリアルボイス

ほかにもこんなエピソードを聞かせてもらいました。

早めの引き継ぎが、復帰の安心感に変わった
「何かあったときのために……と、早めの引き継ぎを心がけていたら、最終出社日の2週間前には何もやることがなくなってしまいました。でも、後任者からは『余裕があって助かりました』と言ってもらえたのと、焦らずに丁寧なあいさつや感謝を伝える時間に使えたことで、復帰後も“戻りやすい空気”ができたかなと思います」
(R.Iさん/出版社勤務)

先輩ママからの保活アドバイスラッシュ
「女性スタッフの多い部署にあいさつに行くと、先輩ママたちが一斉に保活や復帰後の生活のアドバイスをくれて。ありがたいんだけど、『申し込みは秋までにね!』『慣らし保育は地獄だから!』と、情報の波に圧倒されました。でもそのおかげで、実際に保育園探しが始まったときにすごく助かりました」
(A.Nさん/メーカー勤務)

“お互いさま”と思えたら、気持ちがラクに
「復帰したら、ちょうど同僚が産休に入るタイミングで、今度は私が“引き継ぐ側”に。自分がしてもらってありがたかったことを思い出しながら引き継ぎを受け取るうちに、“お互いさま”なんだなと自然に思えてきて、あの産休前の後ろめたさが少し成仏した気がします。気持ちも軽くなりました」
(K.Mさん/広告代理店)

「おいしかったよ」のひと言が、じんわり沁みた
「リモートの社員も多いので、あいさつのお菓子は、箱に『感謝の気持ちを込めて』とメッセージが書かれたものをネット注文して共有スペースに置きました。産休中、お菓子を食べた先輩から『おいしくいただきました〜!』と写真付きでLINEが届いて泣けました」
(M.Sさん/IT企業)

産休前の準備に“これが正解”という形はなく、立場や状況によって戸惑うこともあるかもしれません。でも、完璧を目指すよりも、自分とまわりが気持ちよく過ごせる工夫をひとつずつ重ねていくこと。それが、引き継ぎやあいさつを通して信頼につながり、産休中の安心や、復帰後の支えにもなっていくはずです。

文/羽田朋美(Neem Tree

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