食育のヒント 6月 干したけのこのピリ辛うま煮
~やっぱり家(ウチ)で食べるのが好き~
干したけのこ、という美味しさ
「この美味しさを知っただけでも、この講座に参加させていただいた甲斐がありました!」乾物の5回連続講座の最後に、ある受講生の口からでた感想です。その美味しさとは「干したけのこ」。
干したけのこは九州では一般的な食材のようですが、なぜか他の地域ではあまり作られていません。たけのこは九州以外でも採れるのに、不思議ですよね。収穫したたけのこは適当な大きさに切ってから茹でて乾燥させるのが一般的なようですが、生のまま、あるいは塩漬けにしてから乾かしているものもあります。「実家の母が自家製を送ってくれるんです」という九州出身者も多いので、それぞれがやりやすい方法で作っているのかもしれません。
干したけのこは、鍋にかぶるくらいの水とともに入れて一度沸騰させたらそのまま7~8時間おくとしっかり戻ります。戻ったら、刻んで炒め物にしたり、炊き込みご飯にしたりして楽しむと九州出身の友人からききました。生のたけのことは別モノ、しっかりした食感、質感が魅力です。
先日、中国の安徽省を旅してきました。どの店に入ってもたけのこ料理が必ずメニューにありました。聞けばこの地域の名産とのこと。街を歩くと店々にありました、干したけのこも!それも、穂先の部分、胴、そして姫皮だけ集めたものなど、部位ごとに分けて売られています。店の人によれば、どれも日本の干したけのこ同様一晩かけて戻し、刻んで肉と一緒にじっくり煮てスープにしたり、ちょっと濃いめの炒め煮にしたりするのだそうです。
姫皮だけを集めたものには日本では出会ったことがありません。買い求め、早速戻して適当に刻み、肉と炒めてピリ辛味にしてみました。
ところで、干したけのこはメンマとは違います。メンマは、たけのこ(麻竹という種類のたけのこ)を乳酸発酵させた後に乾燥して作られています。以前、食品関係の商社に勤める友人から乾燥メンマをいただいたことがあります。自分で戻して食べればその食感は絶品。とはいえ、水を変えるなどしながら戻すのに丸2日、なかなか手がかかります。ラーメンには欠かせないメンマも、専門店でも乾燥メンマから戻すところはあまりなさそうです。
干したけのこが出回るのは、生のたけのこが出た後のこの時期。とくに関東では出回る量も少ないからでしょう。夏にはなると入手は難しくなります。もし見つけたらぜひ一度トライしてみてください。「この美味しさ!」に目覚めるのは今度はあなたの番かもしれません。
#150 干したけのこのピリ辛うま煮
材料(2人分)
干したけのこ15g、きくらげ3g、鶏もも肉100g、A[醤油、酒各小さじ1/2]、こんにゃく50g、豆板醤小さじ1/2、生姜みじん切り1/2かけ分、B[鶏ガラスープ100cc、紹興酒大さじ1(なければ酒)、醤油大さじ1弱]、片栗粉小さじ1(水大さじ1で溶く)、油適量、ゴマ油少々
- 作り方
干したけのこは、たっぷりの水と共に鍋に入れ、火にかける。沸騰したら火をとめ、そのまま一晩おく。
きくらげは、水に15分ほどつけて戻す。
鶏肉は一口大に切り、Aで下味をつける。
こんにゃくは食べやすい大きさに切り、茹でる。
中華鍋に油を熱し、鶏肉をよく炒め、一度取り出す。
5に油を足して弱火にし、豆板醤と生姜を加えて香りをたてる。
サカイ 優佳子
一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。
関連リンク
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著書
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「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」
(世界文化社)1,296円 -
「からだイキイキ!簡単でおいしい ヨーグルトでもどす乾物レシピ」(まる得マガジン)
(NHK出版)617円 -
「ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ 」(主婦の友生活シリーズ)
DRYandPEACE・佐藤 秀美 監修(主婦の友社)864円 -
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「乾物Every Day」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
1,728円 -
「米粉食堂へようこそ」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「いそがしママの楽しい食卓レシピ」
サカイ優佳子著(サンマーク出版)
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「感じる食育 楽しい食育」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「世界の料理」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(ポプラディア情報館)
7,344円 -
「しぜんをたべよう!げんきなカラダをつくるたべものたち」
サカイ優佳子他 監修(農山漁村文化協会) -
「米粉ランチ―パスタに、チヂミに、どんぶりになる米粉のレシピ40」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(農山漁村文化協会)
1,404円