2021.09.24

わが子が健やかに小学校生活を送るために知っておきたい就学時健診のこと

Column

就学時健康診断(以下、就学時健診)とは、文部科学省の学校保健安全法の定めにより、翌年の4月に小学校・特別支援学校の小学部へ入学する子どもを対象にして市区町村が実施する健康診断です。
多くは10月上旬から11月上旬に学区域の小学校で行われるこの健診。お子さんの健康状態を知り、安心して健やかな小学校生活を送るために欠かせない健診です。 そこで、就学時検診の検査の目的や内容、注意事項などを先輩ママのコメント付きで紹介します。

就学時健診の目的は?

まずは、就学時健診についてチェックしていきましょう。就学時健診には、以下の目的があります。

1. 疾患や異常を発見し、適切な治療や必要な支援につなげるため
就学時健診で疾患や異常が発見された場合、適切な治療や生活習慣の改善指導が行われます。これにより、入学時までに健康状態が回復するよう促します。

2. 就学先の判断材料のひとつとして活用するため
小学校は通常学級、通級、特別支援学級、特別支援学校という選択肢があります。就学時健診でのお子さんの様子や知能検査の結果は、就学先を決めるうえで判断材料のひとつとなります。

3. 子ども自身とその保護者が、子どもの健康状態について関心を寄せ認識する
保護者だけでなく、お子さん本人も、自分自身の健康に気を配り、成長を実感できる機会になります。

就学時健診の流れは? どんな検査をするの?

まず、受付で健康調査票を提出します。健診は、お子さんのみで行う学校と、保護者も一緒についてまわる学校とがあります。
また、以前はお手伝いの小学生とともに健康診断へ向かう形が主流でしたが、昨今は新型コロナウイルス感染症流行のこともあり、お手伝いの小学生はおらず、密を避けて短時間で終わるよう配慮がなされています。

健診では主に以下の検査をします。
● 眼の検査
● 視力検査
● 聴力検査
● 耳鼻咽喉の検査
● 歯科検診
● 知的発達の検査
● アレルギー面談

お子さんが緊張せずに検査に臨めるためにも、検査をスムーズに行うためにも、お子さんには事前にどのような検査があるか伝えてあげるとよいでしょう。

先輩ママの声

「娘は、極度の人見知りで、慣れない場所が苦手。そのため、受付時に事情をお話しし、本来であれば児童ひとりで受ける健診を、保護者同伴で行わせてもらいました。特性がある場合は遠慮せずに伝えるといいと思います」
(Y.Rさん/小3の女の子のママ)

「牛乳のアレルギーがあったため、アレルギー面談がありました。アレルギーの対応はもちろんのこと、発作時の対応についてもしっかり確認できたので、安心しました」
(M.Iさん/小1の男の子のママ)

心配ごとや要望は学校側に伝えよう

お子さんの健康状態や発育に関して心配なことや要望がある場合は、健診時に学校に伝えましょう。

先輩ママの声

「自閉スペクトラム症で、すでに通級(※)のお世話になることを決めていました。でも、通常学級での授業が心配なので、できれば最初のうちは特別支援教育支援員の先生をつけていただけないかお願いしました。入学後、1ヵ月ほどの間、通常授業でも支援員の先生がそばで見守ってくださったおかげで、息子は落ち着いて過ごすことができました。特性に応じた配慮をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです」
(R.Mさん/小4の男の子のママ)

※通常学級に籍を置きながら、一部の授業について障がいに応じて別の場所に通い、特別の指導を受けられる仕組み。東京都では、在籍校で特別の指導を受けられる「特別支援教室」の全校導入が終了している。

「子どもに障がいがありますが、当初、通常学級に通わせたいと思っていました。学校ではどの程度対応が可能か聞いたところ、個別対応は難しいこと、特性に応じた指導で子どもの能力を伸ばせるとのことで、特別支援教室を勧められ、一部の授業は校内にある“すまいるルーム”で受けることになりました。
通常学級の授業が進むにつれて、“文字を読むことはできるけれど、書くことが苦手”という新たな特性がわかり、特別支援教室では、息子のペースに合わせながら書くことに向かわせてもらっています。とても時間がかかりますが、最近は漢字も書こうとする意欲が出てきたのは、根気強く指導いただけたからだと思っています」
(A.Mさん/小3の男の子のママ)

健診で病気や異常を指摘されたら?

就学時健診で病気や異常を指摘された場合は、入学前に専門の医療機関を受診しましょう。お子さんが健康に安心して小学校生活を送るためにも、早めの受診が大切です。

先輩ママの声

「就学時健診で弱視が見つかりました。右眼は1.5あるのに、左眼は0.1とのことで、普段目が見えにくそうな様子はなかったので驚きました。入学前にわかったおかげでメガネ生活にも慣れ、授業に支障をきたすこともなく、よかったです」
(C.Yさん/小1の男の子のママ)



就学時健診は、就学前にお子さんの健康状態を知るための大切な機会です。また、初めて学校と接触する場でもあり、これから通う小学校の様子もわかります。心配ごとや要望を伝えるチャンスでもあるので、事前に話したいことを整理しておくといいでしょう。
そして、学校までの行き帰りは、ぜひ、お子さんと一緒に通学路の危険箇所をチェックしながら歩いてくださいね。お子さんの中にも、春から小学生になる意識が芽生えるはずです。