2021.10.01

子どもの目を守ろう!近視予防のために大切なこと

Column

テレビやゲームに加え、スマホで動画を見ることが日常になってきている昨今、子どもの近視が深刻な社会問題になっています。「視力が低下したらメガネで矯正すればいい」と思われる人も多いかもしれません。しかし、近視が原因で失明する場合があると聞いたらどうでしょう。
10月10日は目の愛護デー。子どもの目の健康のことを、真剣に考えてみませんか。

小学生の3人に1人が視力1.0以下

文部科学省が毎年実施している学校保険統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の割合は、小学生で37.52%と、過去最多を更新(令和2年度の確定値)。近視の子どもの割合は学年が上がるごとに増加傾向となっており、小学1年生で約4人に1人、小学6年生では約半数という結果になりました。
また、ここ30年ほどの間に裸眼視力が1.0未満の小学生の割合は1.5倍以上、0.3未満の割合は3倍以上に増えている現状があります。

近視の主な原因

近視のおもな原因には、「遺伝」と「環境」の両方があるといわれています。小学校入学以前の強い近視は環境よりも遺伝が強く影響しており、両親ともに近視の子どもは近視になるリスクが高くなるという研究結果があります。
一方で、小学校入学以降の近視は、環境が大きく影響しています。環境要因において、近視の発症と大きく関係があるのが、手もとなど、近いところを見続ける作業「近業」です。子どもの生活行動に見られる近業には、以下のものがあります。

● テレビやゲームを近くで見る
● スマホやタブレット、パソコンの画面を近くで見る
● 本に目が近づきすぎる
● ノートをとったり絵を描いたりするときに前かがみの姿勢になり、目が近づきすぎる

このように、ひとつのものを長時間近くで見続けることで、視力は低下してしまうのです。

近視を防ぐ生活習慣は?

続いて、近視にならないための生活習慣をチェックしていきましょう。

1. 外遊びをする
2007年に欧米で行われた研究によると、両親がともに近視でも、屋外活動の時間が長ければ近視の発症リスクを抑えられるということがわかっています。1日2時間は外で遊ぶことが有効です。

2. 読書や書きものをするときは30cm以上目を離して作業する
近業が増えることで近視になる確率が高まるのは前述のとおり。目を使う作業をする際には、必ず30cm以上離すことを心がけましょう。

3. 30分に一度休憩をとる
読書、スマホでの動画視聴、テレビやゲームは30分見たら5分ほど休憩して、目を休めましょう。このとき、窓の外を眺めるなど、遠くを見ることがポイントです。

子どもの「IT眼症」って何?

IT眼症とは、パソコンやタブレット、ゲームなどIT機器を長時間使用することによって生じる目の病気や、その状態が誘引となって発症する全身症状のことをいいます。
IT眼症の症状には、ものが二重に見えたり像がぼやけて見にくかったり、頭痛がしたり、吐き気がしたり、習慣性便秘や食欲不振といったものがあります。症状が進行すると、自律神経の失調を引き起こします。IT眼症が懸念される場合は、早めに眼科を受診し、IT眼症の診断がついた時点で、IT機器から遠ざけるのが重要です。
また、IT眼症を防ぐためには、長時間のIT機器の使用を避けましょう。連続使用は30分まで、1日の使用は最長でも1時間以内などとルールを決めて、必ず目から50cm以上離して見る習慣をつけてください。

乳幼児のスマホ依存に注意!

レストランでの待ち時間やぐずったときのお役立ちアイテムとして、ついスマホに頼りがち……というご家庭は少なくないでしょう。ところが頻繁に使わせていると、いつでもスマホをせがんできたり、取り上げると泣いて暴れたりするように。
スマホの頻繁な使用は、こうしたスマホ依存の問題のほかにも、目の発達や言葉の発達の遅れ、体内時計の乱れなどが懸念されています。
お役立ちアイテムではありますが、できるだけ与えないこと。与えたとしても、使用時間を決めることを厳守しましょう。



子どもの視力は、生まれたときから、ものを見ることによって発達していきます。とくに3歳頃までは発育とともに目も急速に発達し、4〜6歳になると視力が1.0以上に。そして、7歳頃、目の機能が完成します。この大事な時期にどのような生活習慣を身につけるかで、視力は変わってくるといっても過言ではありません。
コロナ禍で自由に外出できない日々が続いていますが、わが子の目の健康のためにも、近場の公園での外遊びやアウトドアレジャーなど、目にいい環境づくりを考えてくださいね。