2022.04.04

「明日のおべんとうが楽しみになる絵本」

Column

 はじめまして。5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

 「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

 これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

好きな食べものがいっぱいのおべんとう絵本

 新生活がはじまり、毎日のお弁当作りがはじまる方も多いと思います。春になると、数多くおべんとうの絵本も絵本売り場に並びます。どれも華やかでおいしそうで迷います。でも、やっぱりお弁当に大好物が入っていると嬉しいように、お弁当の絵本にも大好きな食べ物が表紙に描かれていると、それだけで嬉しくてついつい手に取ってしまいます。

 『おべんとう』は、まさに私が幼いころから絶対に入れてほしいベスト3の食材、ブロッコリーとにんじんと卵焼きが表紙に描かれています。もう、これだけで絵本を開くのがワクワクします。ごはんを詰めて、ミートボール、たまごやき、たこさんウインナー、ブロッコリーとにんじん、ポテトサラダを順に詰めて、最後に真っ赤ないちご。すべて好きな食材で、読むのが本当に楽しい一冊です。

『おべんとう』小西英子 作 福音館書店

 『おべんとうめしあがれ』は、さんしょくべんとう、おにぎり、ハンバーグべんとうなど普段のおべんとうだけでなく、てまりずし、おはなみべんとうなどのイベント時のお弁当なども彩り豊かなイラストで描かれています。華やかなおはなみべんとうは、花見シーズンのこの時期にはぴったりです。文字は少ないので、お弁当のイラストを見ながら、お子さまと「これはなにかな?」と話しながら読み進めるのも楽しいです。


『おべんとうめしあがれ』さく 視覚デザイン研究所 え 高原美和

 お弁当箱のふたを開ける時って、なんであんなにドキドキワクワクするのでしょう。『きょうの おべんとう なんだろな』では、どうぶつたちそれぞれが自分のおべんとうを「きょうはなにかな?」と楽しみながら開けます。やっぱり○○が入っていたとか、なんといちばんすきなもの!と喜んだり、それぞれに合わせて大きかったり小さかったりします。それをみんなでいっしょにいただきますというラストがこちらまで楽しい気分になります。


『きょうの おべんとう なんだろな』きしだえりこ さく やまわきゆりこ え 福音館書店

絵本とつながるおとなのための2冊

 お弁当を毎日作るのは容易ではありません。お弁当だけにバランスには一番気を遣いますし、朝に時間がなかったり、思ったよりもうまく出来なかったりと悩みは尽きません。そこで今回は、お弁当作りがしんどいときに、読みたくなる2冊を選びました。お弁当作りのヒントになるような面白い料理本と、丁寧にお弁当を作りたくなるお弁当屋さんの物語です。

 『ぱらぱら きせかえ べんとう』は、その名の通りまるで絵本のようにぱらぱらとめくって楽しめるお弁当本です。「忙しい朝でも作れる野菜のおかず」、「ごはんがすすむ肉と魚介類のおかず」、「もっとおいしくなる卵と煮物のおかず」、それぞれ15種類ずつがカード形式になってリングで綴じられています。いろいろな組み合わせを楽しめます。お子さまやご家族に渡してみると、自分では想像もしなかったような組み合わせのお弁当をリクエストされたりして、発見もあります。

『ぱらぱら きせかえ べんとう』野口真紀 アノニマ・スタジオ

 そして、もう一冊は忙しい合間にも読み進めやすい京都の仕出し・弁当屋を舞台にした連作短編集です。食品アレルギーのある息子のために、苦戦しながらも工夫を凝らし花見弁当を作る母親の物語をはじめ、どれも美味しそうなお弁当の物語です。季節感溢れるお弁当と、お弁当作りに役立つちょっとしたアイディアの数々。毎日は難しくても、時には丁寧にお弁当を作りたくなります。


『ちどり亭にようこそ~京都の小さなお弁当屋さん~』十三 湊 メディアワークス文庫(KADOKAWA)

明日のお弁当が楽しみになる寝る前の絵本時間

 お子さまにおべんとう時間を楽しんでもらうように、絵本時間にもおべんとうを楽しみませんか?夜、眠る前におべんとうの絵本を読むと、「明日のおべんとうに〇〇を入れてほしいな」、「今日のおべんとうのあれがおいしかった」といった思わぬ言葉が漏れるかもしれません。食べるひとだけでなく作るひとにとっても、明日のおべんとうが楽しみになるきっかけになればうれしいです。

 それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。

5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。