2023.11.06

「ワンワン!を覚えたらいぬの絵本を読もう」

Column

 5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

 「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

 これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。 毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。
この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

子どもにとって身近な動物でもあるいぬの絵本

 夕方、愛犬と散歩をしていると、保育園帰りの子どもたちが指をさして「ワンワン!」と言って近くに来てくれます。愛犬も嬉しくて、しっぽをブンブン振って愛嬌を振りまきます。子どもが大きな声でひたすら「ワンワン!ワンワン!」と呼ぶ様子は本当に可愛らしいです。
ちなみに11月1日は「ワンワンワン」という犬の鳴き声にちなんで犬の日だそうです。そんな犬の日に読みたい絵本を紹介します。


 『わんわん わんわん』は、動物の鳴き声を楽しむ赤ちゃん絵本としてもぴったり。
左のページには「わんわん わんわん」「ニャーゴ ニャーゴ」などの動物の鳴き声が文字で書かれており、右のページにはその泣き声の動物の絵が描かれています。いぬ、ねこ、ぶたなど、いろいろな動物の鳴き声だけで進む絵本は、シンプルで何度でも楽しめます。

『わんわん わんわん』(高畠純/理論社)


 『こいぬの くんくん』は、ミッフィーでおなじみのディック・ブルーナさんによるいぬの絵本。
ちいさなちゃいろのこいぬ「くんくん」が、迷子の子どもを探しに行く物語。くんくんくんくんと鼻をきかせて探しに行くなど、犬の特性を描きつつ、ストーリー性のある一冊になっています。ブルーナさんの描く犬の絵もかわいくて、犬好きにはたまりません。

『こいぬの くんくん』(ディック・ブルーナ ぶん/え まつおかきょうこ やく/福音館書店)対象:2才~

海外ではファーストブックとしても大人気のしかけ絵本

 『コロちゃんはどこ?』は、ごはんなのにいなくなっちゃった子犬のコロちゃんを探しにいくママの物語。
「ドアのうしろかな?」「ベッドのしたかな?」と、ママの行く先々でドアやベッドのしかけをめくってみると、そこにはいたのは…。大きな文字とダイナミックな絵、単純な繰り返しの物語、しかけをめくったりひらいたりと、はじめてのしかけ絵本としても楽しめます。
子どもが自分の手を動かすだけでなく、作中に登場する家の中にある時計やベッドなどの名前、たくさんの動物の名前などを覚えるきっかけになるのも嬉しいです。

『コロちゃんはどこ?』(エリック・ヒル 作/評論社)

犬好きもそうでない方も楽しめる犬の本

 本屋では、犬のほっこり温かい物語から写真集まで、犬がテーマの本だけでも迷ってしまうほどたくさんあります。 そこで、今回は、愛犬家の方々にはもちろん、犬が好きな人もそうでない人も気軽に楽しめることば集と犬目線で綴られるユニークな犬エッセイを選びました。ただただ犬の可愛さを、そして犬のパワーと面白さをぜひ体感してみてください。


 『夢をかなえるゾウ』の著者たちによる『人生はワンチャンス!「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法』は、可愛い犬の写真と偉人たちの言葉が1ページになって紹介されています。
生き方、仕事、リフレッシュ、挑戦、幸せなど、犬が人生の大切なことを教えてくれます。こちらは1ページごとに切り取ることができるので、お気に入りのページを持ち歩いたり部屋に飾ったりもできます。
また、会社の同僚や部下、友だちや大切な人にプレゼントしたりするのもいいかもしれません。働くママたちを癒し、パワーをくれる、明日がたのしみになる一冊です。

『人生はワンチャンス!「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法』(水野敬也+長沼直樹/文響社)

 犬と一緒に暮らしている方であれば、一度は思ったことがあるのではないでしょうか。犬もしゃべれたらいいのになぁ、と。
『スピンク日記』は、プードルのスピンクによる日記エッセイです。小説家の主人・ポチと美微さん、兄弟のキューティー・セバスチャンやたくさんの猫たちと暮らす日常をユーモラスに綴っています。犬目線で観察する飼い主の様子や犬の本音など、ただただ面白く、共感しかありません。
穏やかな日常だけでなく、哲学的な名言が不意打ちで登場するのも魅力。スピンクとキューティーの愛くるしい写真にも癒されます。犬愛に溢れた一冊です。

『スピンク日記』(町田康/講談社文庫)

忙しい気持ちも落ち着き、穏やかに過ごせるように

 犬と暮らしていると言葉が通じない分、しつけも愛情も態度で示すしかありません。犬も飼い主の行動や表情をよく見ています。忙しさを理由に散歩の時間を短くしてしまったりすると、犬は露骨に荒れます。 でも、愛情たっぷりでたくさん撫でておしゃべりをして、遊んだりしていると、たちまち愛くるしい表情に変わってきます。そうしているうちに、不思議と時間に追われ焦っていた気持ちも落ち着いてきて穏やかな気持ちになります。
11月の忙しい日々、犬の絵本とエッセイで少しでも癒されますように。

 それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。

5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。