2024.07.01

「親子で一緒に楽しむオリンピック絵本」

● 子育て

5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。
毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。
この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

まねして、学んで、楽しいオリンピック絵本

7月26日から、パリオリンピックがはじまります。
セーヌ川を舞台に開催されるという開会式。選手たちのパレードはセーヌ川の水上パレードというから、どんな開会式になるのかワクワクします。エッフェル塔や凱旋門など、華やかなパリ市内でたくさんの競技が行われるとのことなので、競技も美しい景色も今から楽しみです。
そこで今回は、オリンピックをより楽しむための絵本をご紹介します。


オリンピックが始まる前にまず読みたいのは、『パンダ オリンピックたいそう』です。
「うでを のばして、うしろに まわして はんたいがわも ぐるんぐるん」短い手を精いっぱい伸ばし、コロコロと可愛い動きで体操をするパンダ。ページをめくると「すーいすい せおよぎのたいそう」と、水着にゴーグル姿のパンダが背泳ぎをしています。他にも、重量挙げやアーチェリー、サッカーなど、パンダと一緒に体を動かしながら、楽しくオリンピック競技を学ぶことができます。

『パンダ オリンピックたいそう』いりやまさとし/講談社 対象:2歳から


子どもも大人も思わず夢中になってしまう『ないしょのオリンピック』。
家の人たちが出かけたら、家中のあらゆる物によって開催されるないしょのオリンピック。台所で聖火が灯されオリンピックが始まります。ソファのくまのクッション、子どもの恐竜のおもちゃ、お風呂場のアヒル、それから歯ブラシにスリッパに輪ゴムまで、子どもにとっても身近な家にある物が動き出し、テーブルで新体操をしたり、ソファでトランポリンをしたりします。盛大な閉会式まで描かれており、おしゃべり人形によるテンポよい実況形式の文章。そして、ページの隅々まで目一杯描かれたカラフルな絵が楽しい絵本です。

『ないしょのオリンピック』もとしたいづみ 文 やまぐちかおり え/ほるぷ出版 対象:4・5歳から

国旗絵本をきっかけに子どもの世界を広げる

オリンピックを見ていると、随分知らない国と国旗があることに気づかされると思います。今回は、『完全版こっきのえほん』を読みながら、親子で一緒にオリンピックを見てみませんか。
一ページに一つの国旗が載っているシンプルなデザインで、子どもも大人も見ていて楽しく学ぶことができます。その国の歴史や世界地図での位置、首都名など、簡単な情報が国旗の下に記載されているのもポイント。国旗を知ることで、世界の広さを実感することに繋がります。表紙もシックなので、オリンピックが終わったらインテリアとして飾って楽しむこともできます。

『完全版こっきのえほん』企画・編集・制作/戸田やすし/戸田デザイン研究室 対象:8歳くらいから

無理せず、感性を大切に、でもやりたいことはやる。

オリンピックを見ていると、情熱が湧き上がり、何かにチャレンジしたくなります。
でも、いつだって効率よく完璧にと頑張りすぎているせいで、肝心なやりたいことがやれないってときありませんか?
そこで今回は、無理しているとき、頑張りすぎているときに、ふぅっと肩の力を抜いて、感性を大切に楽しもうと思えるパリのエッセイをご紹介します。パリオリンピックとパリエッセイで、パリ気分に。


『パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら』は、著者・中島たい子氏が四十代半ばで久しぶりにパリの叔父夫婦の家で過ごした日々を綴ったエッセイ。
叔母の四角いバゲット、余計なものがないキッチン、クローゼット、旅など、フランス人のリアルなライフスタイルに触れ、それまで興味がなかったフランスにすっかり魅了された著者。無理はしない、自由で柔軟。理屈ではなく感性を大切に、やりたいことをやりたいときにやる。子どもだけでなく、大人こそが「感性を優先する」ことの大切さを改めて痛感します。

『パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら』中島たい子/幻冬舎文庫


雨宮塔子氏によるパリでの食日記『パリごはん』。
お気に入りのレストランやビストロ、パリの食材と日本の食材で友人たちと作る料理の数々など、パリの美食がひっきりなしに登場します。著者の食欲と食への飽くなき追求には脱帽。多忙なパティシエの夫と二人の子ども、友人たちとの食事のひとときを中心に日常をざっくばらんに綴っています。「縁というものは、寝ていては生じない。強く願って自分から一歩進めない限り、生じるものも生じない」という言葉に、パワーをもらい行動したくなります。

『パリごはん』雨宮塔子/幻冬舎文庫 

親子で初めて見るオリンピックを絵本でもっと楽しく

もしかしたら、今回が子どもと一緒に見る初めてのオリンピックという方もいらっしゃるでしょうか。
子どもたちは、好きなスポーツとの出会いになるかもしれませんし、選手たちの戦う姿を見て「憧れ」を抱いたり、夢や目標を持ったりするきっかけになるかもしれません。これらの絵本を読み、オリンピックをより一層お楽しみいただけたら嬉しいです。

それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。


5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。