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5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。
「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」
これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。
毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。
この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。
3、4歳くらいの男の子が、ひとりコンビニで買い物をしていました。レジのカウンターの高さにも届かない背丈の彼は、胸に抱きしめていた牛乳と手に握っていたお金をレジの店員に渡します。そして、小さな手に零れ落ちそうなほどのおつりとレシートを慎重に受け取り、牛乳を抱えて走って店を出て行きました。このような場面に遭遇すると、絵本『はじめてのおつかい』を思い出します。
そこで、今回ははじめてのおつかいの前に読みたいお買い物絵本をご紹介します。
今も昔も、おかいもの絵本の名作といえばやっぱり『はじめてのおつかい』。
ママにひとりでおつかいを頼まれた5歳のみいちゃんの物語。普段なら何でもない自転車のベルに驚いたり、お金を落としてしまって心配になったり、お店で「ぎゅうにゅう ください」と大きな声を出す時の恥ずかしさや緊張感だったり、はじめてのことに挑戦する不安が伝わってきます。
何度読んでも、気づくと手に汗握りみいちゃんを応援してしまいます。おつかいに限らず、子どものたくさんの「はじめて」は、不安がいっぱい。それは、きっとママも一緒。子どもも、大人も、勇気がもらえる名作です。
大人気ピヨピヨシリーズの『ピヨピヨ スーパーマーケット』は、とにかく面白いスーパーマーケット絵本。
おかあさんと一緒にスーパーにやってきた5匹のヒヨコたち。おかあさんが特売に夢中になっている間に、隙あらばチョコレートやプリンやアイスクリームなど、自分たちの買いたいものをいれてしまうピヨピヨちゃんたちがとってもお茶目。スーパーに並ぶ商品もリアルで、ピヨピヨちゃんたちのかくれんぼを楽しんだり、駄々をこねて寝転がっている子などスーパーでのあるあるに共感したり、家族の心温まるストーリー性など、子どもも大人も思う存分味わえます。
『おかいもの』は、赤ちゃんから楽しめるお買い物絵本。
見開き2ページで構成されており、左側のページには、バナナやお魚やパン、ビスケットなど子どもにとって身近なものが、大きくやさしいタッチで描かれています。
そして、右側のページには、それらがスーパーで並んでいる状態がリアルに描かれています。文章が短く、リズミカルなところもよいところ。ものの名前を覚えたり、指差しの練習をしたり、何度も読み返したくなります。親子で一緒にスーパーへ行くのが楽しみになる絵本です。
スーパーマーケットに行き、一人で買い物をしていると、妙に心身がリフレッシュされているときがあります。
イライラ・モヤモヤを吹き飛ばすような、生命力漲る新鮮な野菜や魚のせいでしょうか。それを家族に食べさせたい気持ちがきっかけとなり、家族のことを考えた献立が次々とひらめきます。家族と自分の食べるものを自分が責任持って選択しているということが、自信と自己肯定感を取り戻させてくれます。
たかが買い物、されど買い物。買い物を通して人生を考えさせられる2冊をご紹介します。
『かごにいっぱい詰め込んで』は、スーパーを舞台にしたやさしく心温まる物語。
専業主婦の美奈子は、子どもの手が離れ、一念発起してスーパーのおしゃべりレジ係に就職することに。彼女を奮起させたのは、「ママの頑張る姿が、子どもに勇気を与えます」という言葉。子どもに働く母親の姿を見せたいと明るく奮闘し、徐々に自信をつけていく様子に、明日も頑張ろうと背中を押してもらえます。
他にも、このスーパーで美奈子とのおしゃべりによって救われる五人を描いた物語を含む読みやすい連作短編集です。
『レシート探訪』は、著者が26名のレシートを見せてもらい、取材。そこに感じた暮らし、家族や仕事への思い、好きな気持ち、未来への希望を綴った一冊。
中でも、子どものはじめてのおつかいのエピソードを綴った「捨てられないレシート」は、何度読んでもホロリと泣いてしまいます。息子のはじめてのおつかいに「シワシワになったコンビニのレシート。いつもならすぐに捨ててしまうその一枚を、この日は大事に財布にしまった」というママの家族への思いが溢れています。そのママが、ひとりで買い物をする息子の様子を見て、絵本『はじめてのおつかい』を思い出すのも共感しかありません。
これらの絵本でスーパーマーケットでのお買い物をたっぷりイメトレしたら、子どもと一緒に買い物に行ってみませんか?
まずは、子どもと一緒に何を食べたいか、作ろうかを相談。そして、子どもと一緒にそのお料理に必要な買い物リストを作り、いざスーパーマーケットへ。子どもにゲーム感覚で食材を見つけてきてもらったり、選び取ってもらったりするのもいいかもしれません。
全部の材料をかごに入れたら、ミッションコンプリート!子もママもそれぞれ一つだけご褒美を。これらの絵本を読んで、子連れ買い物がちょっとでも楽しくなれば嬉しいです。
それでは、今夜もすてきな絵本時間をお過ごしください。
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