2025.02.03

「チョコレート好き親子のための絵本」

● 子育て

5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。
毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。
この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

チョコレートが大好きな子どものための絵本

バレンタインシーズン。デパートなどのバレンタイン催事は、華やかでテンションが上がります。有名チョコレートブランドが軒を連ね、この時期限定の特別なチョコレートが並び、チョコレート好きな人は心ときめくはず。ナッツや白砂糖、合成保存料などが不使用のため子どもにも安心安全のチョコレートなど、親子でチョコレート選びを楽しむことが出来ます。
今回はそんなバレンタインチョコレートと共に読みたい絵本をご紹介します。


大人気シリーズから『おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく』は、チョコレートが大好きなジョージがチョコレート工場の見学に行く物語。
ジョージは長いコンベアから大好物のバナナ・クレームが出てくるのを発見。大好きなチョコレートがどうやって作られるか、気になって機械に近寄り追いかけていきます。すると…!ジョージがやらかしてしまうという展開。好きなものへの好奇心が突き動かす力の大きさを痛感します。
トリュフやマシュマロ、バナナ・クリームなど、チョコレートの形と中身を一つずつ描いたページは、まるでチョコレート店の商品を紹介するリーフレットのような忠実さで、「どれにする?」などと親子で選ぶ面白さもあります。

『おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく』 M.&H.A.レイ 原作 福本友美子 訳/岩波書店 対象:4・5歳〜

『こねこのチョコレート』は、四歳のジェニーが弟の誕生日プレゼントにチョコレートを買う物語。
弟を思いながらジェニーが選んだのは、自分の家で飼っている愛猫ティブルにそっくりなこねこのチョコレート。ジェニーは、自分の部屋のたんすのなかにそれを隠して眠ろうとしますが、気になって眠れない。一つだけ、もう一つだけ、と言い訳をつけては食べてしまいます。チョコレートのあまりのおいしさに魅了され、駄目だと分かっていてもつい食べてしまう。そして当日…。
ジェニーは落ち込みますが、でもチョコレート好きならそのおいしさに我慢できずつい食べてしまう気持ちもきっとわかるはず。

『こねこのチョコレート』 B・K・ウィルソン 作 小林いづみ 訳 大社玲子 絵/こぐま社

想像力と好奇心を刺激するユーモラスなチョコレート絵本

ユーモラスな絵本で定評のある長新太さんの『チョコレートパン』は、幼児から楽しめるシンプルなストーリーと想像力や好奇心を刺激する絵本です。
チョコレートの池に、パンがやってきて池に入るとチョコレートパンのできあがり。その後、ゾウや車などいろいろやってきて池に入ろうとします。そして、とうとう池が「パンだけです あとはいけません いけません」という場面は、子どもも大人も思わず笑ってしまいます。チョコレート好きなら、自分も思わず入りたくなってしまうかも⁉チョコレートが染み込んだチョコレートパンを想像するだけで食べたくなります。

『チョコレートパン』 長新太 さく/福音館書店

今年のバレンタインデーは、大切な人へ贈る?自分へのご褒美?

昨今では推しチョコなるものが流行っているようですが、チョコレートが好きなら、バレンタインチョコレートは自分へのご褒美にという方も少なくないと思います。
今年のバレンタインデー、あなたは大切な人へ特別なチョコレートを贈りますか?それとも自分へのご褒美にとっておきのチョコレートを贈りますか?
今回は、甘くて心ときめくバレンタインチョコレートの物語と自分だけのご褒美のボンボンショコラの物語をご紹介します。


大人気シリーズ『ものがたり洋菓子店 月と私 さんどめの告白』は、大切な人へバレンタインチョコレートを贈りたくなる甘い物語。
ストーリーテラーと美しいパティシエのいる人気洋菓子店「月と私」ではバレンタインシーズンに入り、「恋の叶うチョコレート」を求めてお店は大賑わい。三度目の正直でバレンタインチョコレートを贈る六歳下の男性に長年片想いしている夏名子。野球部の意中の彼にチョコレートを渡したいけれど学校で渡す気まずさから義理チョコを装うか本命で行くか悩む麦。果たして結果は。
大切な人に、特別なチョコレートを渡し自分の気持ちを伝えることのドキドキ。まるで恋愛をしているようにときめいてきます。

『ものがたり洋菓子店 月と私 さんどめの告白』 野村美月/ポプラ文庫

『ご褒美にはボンボンショコラ』は、自分へのご褒美にとっておきのチョコレートを贈りたくなる物語。
妻を亡くしシングルファーザーになった一歩夢。育児に悩む主婦のサエなど。ナッツアレルギーの息子のためにチョコレートを作りはじめた千代子のチョコレート専門店「サ・イラ」のボンボンショコラが悩める人たちの背中を押します。ボンボンショコラをはじめ、オランジェットやショコラギモーヴなど、できるだけ自然のものでつくられた安心安全のチョコレートと「大丈夫。うまくいく。なんとかなる」の言葉ががんばった一日を労ってくれます。

『ご褒美にはボンボンショコラ』 悠木シュン/宝島社文庫

大好きなチョコレートを贈る喜び、分かち合う楽しみを。

どうしようもなく疲れてしまったり、つらいことがあったりしたとき、一粒のチョコレートを食べただけで癒されて少し前向きな気分になることってありませんか。
もしかしたら、子どもも大好きなチョコレートがあるだけで、行きたくない習い事や嫌いな勉強を少し頑張ってみようと思えるかもしれません。そういう経験が、自分の好きなチョコレートを大切な人と一緒に分かち合う楽しみ、贈る喜びに繋がるのかもしれません。とっておきのチョコレートをご用意して、これらの絵本をお楽しみください。

それでは、素敵なバレンタインデーをお過ごしください。