小学校受験の合格に向けて、皆さんはどのような準備をしているのでしょうか?塾に通うべきか、家庭教師を頼むべきか、家庭学習はどこまでする?願書や面接対策は?
第2回では、先輩ママたちにお受験準備のリアルを語っていただきます。それぞれのご家庭の塾・お教室、家庭教師の先生との関わり方、家庭での工夫、そして本番に向けた夫婦の役割分担まで、リアルな体験談からヒントが満載です!
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登場人物
夢美さん
長男は都内私立共学校に在学、次男の小学校受験を控える。
トン子さん
長男は都内私立共学校に在学、次男の小学校受験を控える。
A子さん
長男がこの4月から都内私立共学校の一年生。
お受験準備はどう進めた?塾とお教室、それとも家庭学習?
司会: それでは次に、きっと皆さんが気になっているであろう具体的なお受験準備について伺います。お受験を決めてから本番までの間、どんな準備をしたり、どのような種類の塾やお教室に通ったりしましたか?
トン子: 我が家は年長の春になってから、先輩ママから家庭教師の先生を紹介してもらいました。先輩ママの娘さんが受験したのはだいぶ前なんですけど、「その時の先生でよければ…」ということでお願いすることに。それで来てくださった先生が、わりとテキパキした方で「早く!早く塾決めて!!」って急かされる感じだったんですよ(笑)。なので、塾選びにあんまり時間をかけられず、とにかく近所の塾にパッと入っちゃいました。ただ、そこは第一志望の合格者を多く出している塾ではなかったので、最初はちょっと不安でしたね。
でもその後、新たにまた別の先輩ママが、別の家庭教師の先生を紹介してくださったんです。最初の先生より私自身の相性が良さそうだったので、思い切って先生をチェンジしました。そうしたら最初に入った近所の塾の先生も、新しい家庭教師の先生と連携して一緒に進めましょうと協力してくださって。塾で足りないところを家庭教師の先生に補ってもらったり、塾の先生にもついていけていない部分を個別に補習してもらったりして、とても助かりました。
司会:具体的にどのような準備をされましたか?
トン子: 家庭では、毎朝プリント(問題プリント)を解くのを習慣にしていました。あとは願書に書くエピソード作りですね。願書に書けそうな体験を、子どもにバレないように(笑)、自然に経験させるといった働きかけもしていました。
司会: 願書に書けるエピソードというと、具体的にはどんなことでしょう?
A子: 息子がずっと小さい頃から続けている習い事があって、それで何かしらの形になるような方法を探しました。
司会: コンテストで結果を残す、みたいな感じですか?
A子: そうですね。もちろん本人も「やりたい!」と言ったものをさせたのですが、その習い事に一時期は全力で集中させました。あとは、たとえば息子が海外に興味を持ったときに、一緒にその国について調べて、「その国の子どもが困っているなら寄付をしてみようか?」と実際に息子と一緒に募金をしたり。そんなふうに、子ども自身の実体験となるような季節の行事や取り組みを色々行って、そのエピソードを願書に書きました。
司会: なるほど!普段のプリント学習とは別に、願書に向けた体験づくりも積み重ねていく、ということですね。
トン子: そうです。もう、いつも願書のことばかり考えてました(笑)。
夢美: 私は比較的、子どもが小さい頃から「小学校受験をするかも」と漠然と決めていたところがありました。なので、保育園選びをするときも、小学校受験する子が多い保育園を選んだんです。ちょうど引っ越しと重なって自治体が変わった関係で、保育園を探す必要があったんですが、どうせなら…と思って、お受験対応をしている認可外の保育園に入園しました。結局ずっとそこの保育園にお世話になりましたね。ただ、お受験対応を謳っている保育園が他にもいくつかあったので、念のためいろいろ見学しました。その結果、息子に合っているのびのびした雰囲気の、「え、みんな本当に受験するの?」って思うくらい元気で明るい保育園を選べました(笑)。なので、塾選びも含めて息子の個性を潰さないような場所を探しました。大手の受験塾に年中の頃から通っていたんですけど、そこも非認知能力(思考力や社会性など)を高めるような内容が中心で、ペーパー(筆記試験)をガツガツやらせない方針の塾でした。
司会: 受験塾でもいきなりお勉強漬けではなくて、まずは非認知能力を伸ばすような内容だったんですね。
夢美: そうなんです。でも年長さんになったらさすがにペーパーをしっかりやらなきゃいけないタイミングが来るので、そこはちょっと苦労しましたね。ただ塾の先生に相談すると「男の子は体を動かすとペーパーへの忍耐力も伸びますよ」というお話があって。それで朝7時に起きて縄跳びしたり、登園前にボールつき100回やったりと、家庭での朝活を頑張っていました。あとは志望校対策ですね。保育園も大手塾も、当時私たちが志望していた学校に特化した対策はあまりしていないところだったので、家庭教師の先生に朝来てもらって、朝7時半から登園前まで1時間くらい見てもらっていました。朝の時間を活用して、夕方以降はあまり遅くまでやらず早く寝かせる――そんな生活を心がけました。
司会: すごい!朝の時間を活用するのは盲点でした。そういう朝型の勉強法って一般的なんでしょうか?
夢美: どうなんでしょう。息子の場合、朝がそれほど弱くなかったのもありますし、朝のダラダラした時間を勉強に充てたかったので、我が家には朝活が合っていたんだと思います。逆に息子は夜はすぐ眠くなっちゃうので、あえて手先を使う制作などの活動に切り替えていましたね。本当にその子のリズムがあると思います。ただ小学校受験の本番は朝に行う学校もあるので、塾では「生活リズムを朝型にしましょう」とよく言われていました。
司会: なるほど~。少しずつでも朝型に慣らしておくと良さそうですね。A子さんはどのように準備されていましたか?
A子: うちは私自身が「小学校受験ってどんなもの?」って興味を持ったのが、息子が3歳ぐらいのときなんです。それで情報収集はその頃から結構していました。いろんなサイトで調べたり、色んなママに話を聞いたり、先輩にも聞いてみたり…。実際に受験塾に通い始めたのは年長の夏からなんですけど、幼児教室というか知育系のお教室にはもっと小さい頃からずっと通い続けていました。お勉強面はそんな感じです。でも小学校受験のテストってペーパー以外に行動観察(集団遊びの中での行動を見るテスト)とか体操みたいな運動テストもありますよね。そちらはそれ専用の教室にお願いしました。行動観察と体操は同じお教室で年長の夏から習い始めて、そこで「THE・お受験!」という世界に入ってビシビシ鍛えてもらったな〜って感じです。
お受験準備はいつから始める?「新年中」が基本?
司会: ところでお受験の準備は一般的にいつ頃から始めるものなのですか?
夢美: だいたい年長の春(4~5月)が、中学・高校受験でいう夏休み(追い込み期間)みたいなイメージだとよく聞きます。小学校受験の本番は11月なので、半年前にあたる年長の春が「天王山」。ただ、最近では、トン子さんのように春に決意してからガガッと畳みかけるケースも、周りでは少なくないように思います。
司会: じゃあ、年中さんの春以降に「やる!」と思い立って準備を始めても可能性はあるってことですね。
夢美: はい。でも、迷っているなら正直一日でも早く始めた方がいいと思います!迷っている時間がもったいない!一般的には「新年中」と呼ばれる年少の11月から受験塾に通い始める人が多いようですね。
司会: 年少の11月ですか…!
夢美: はい、年少の11月は受験界では「新年中」と呼ばれるんですけど、塾によってはその時期より前から名前をウェイティングリストに入れておかないとクラスに入れないこともあります。人気の塾だともっと前、新年少から入塾しているケースもあるようですよ。
司会: すごい世界ですね…!遅めのスタートだったお二人は、焦りなどなかったですか?
A子: めっちゃ焦りましたよね~(苦笑)。
トン子: 焦りました(笑)。
司会: 特に幼ければ幼いほど、一ヶ月の成長差がすごく大きいこともありますよね。
トン子: ですね。そして生まれ月も結構影響ありますね。うちは12月生まれで決して早い方ではなくて…。でも先輩ママに言われたのは、「たとえ生まれが遅くても、本番が近づくにつれてものすごい勢いで成長する」って。なんでしたっけ?「子どもの一日は大人の~」みたいな言葉もありますよね(笑)。
夢美: ありますね!受験界でよく言われる話です。私たち大人はもう何十年も生きていて、一日の重みが薄れていますけど、子どもにとっての“一”は分母が小さい分とっても大きい。一週間でぐんと成長するから、もう子どもを信じるしかないっていう話を塾の先生もよくおっしゃっていました。
司会: なるほど。そうしてお子さんの成長を間近で見られるのも、お受験の良いところなのかもしれませんね。
受験当日の服装&身だしなみはどうする?
司会: ところで、服装についてはどのような点に気を付けましたか?普段からこういう服装で慣れさせていたよ、とか、本番はこんな服装・髪型にしたよ、というエピソードがあれば教えてください。
夢美: 子どもの服装に関しては、幼児教室に通うときと本番と同じような服でした。うちは男の子なので、白のポロシャツに半ズボン、そしてハンカチとティッシュをポケットに入れる、というスタイルです。そうすることで「これからお勉強の時間」というスイッチが入るよう意識していましたね。私自身も、バタバタ動いていると髪の毛がパサついてくるので、面接前はトリートメントをしっかり行うとか、とにかく身だしなみをきっちり整えることを意識しました。そこも必要な部分だなと思って、忙しくても時間をかけてケアしていました。
それから試験当日は、子どもの服の予備を持って行きました。特に雨など悪天候だと、靴下が濡れて子どもの集中力を削いじゃう可能性がありますから、靴下の予備を2足持って行くとか。小さい子の白い靴下って、ちょっと歩くだけですぐ裏が黒く汚れちゃうので、そういったところも気にしていましたね。
司会: なるほど。ちなみに「○○というブランドじゃないとダメ」みたいな決まりはあるんですか?
夢美: いえ、基本どこの物でも大丈夫ですよ。ただ、よく見かけたのは、とある老舗の子ども服ブランドとか…。
司会: なるほど。
夢美: でも実際は本当にどこのでも大丈夫と言われていますし、受験服の専門店もあります。女の子の方がバリエーション豊かなので、ぜひトン子さんのお話も聞きたいです。
トン子: そうですね。私の住んでいる地域には受験服を扱っているお店が何か所かあって、小物も含めてそこで買えたのは便利でした。あとネットショップにも受験用の服があるので、娘本人が気に入ったものを選びました。夏は洗い替え用にワンピースを2枚用意して、夏期講習ではそれをローテーションで着せたりもしました。家庭教師の先生が来るときも、本当は何を着ていてもいいんですけど、お勉強モードにスイッチを入れる意味で、塾に行くときと同じワンピースを着せるようにしていました。髪の毛も夏前くらいから前髪を伸ばし始めてオールバックにして、いつも決まった髪型で結ぶように。ヘアスタイルは、本番まで固定しちゃった方が楽だったので、本番も同じ髪型で臨みました。
司会: 着心地とか、娘さんのこだわりは特にありませんでしたか?
トン子: そうですね、うちはあまり神経質じゃない子なので、靴も含めて、着心地・履き心地をあまり気にしないタイプで助かりました(笑)。ちなみに併願校の受験日は雨だったので、受験用の長靴を履いて行ったんですよ。
司会: 受験用の長靴なんてあるんですね!
トン子: そうなんです。シンプルな長靴ですけど。滅多に履かなかったので、その長靴が少し合わなかったみたいで。実は靴ずれしちゃっていたんですけど、本人は全然気にしていない様子でした!
司会:それは頼もしいですね! ちなみに女の子の髪型はポニーテールが多いんですか?ハーフアップとか?
トン子: そうですね~、ハーフアップにして後ろをちょっと三つ編みにするとか…。基本は編み込みとか三つ編みで、前髪も落ちてこないようにするタイプの髪型が多いかもしれないですね。
A子: 男の子は、上はポロシャツ・下は半ズボンが鉄板ですよね。塾に行くときもそれでOKなので意外と楽でした。親(保護者)は紺色が基本で、さっき夢美さんもおっしゃっていましたけど、お受験が気になり始めた段階で一通り揃えておくといいかもしれませんね。私も受験するか迷っていた時期は、説明会にどういう格好で行けばいいのか全然わからなくて困ったんです。でも今はネットショップでもそれなりに見栄えのする紺スーツがお安く売っていますから、そういうので一式揃えてしまうのもよいのではないでしょうか。親の「お受験スタイル」といえば、紺のスーツに紺のバッグ、紺の傘…と、とにかく紺色!「必要そうかな?」って思うものは紺色のものを事前に買っておくのがおすすめです。
夢美: そうそう、ちょうど4~6月に小学校の学校説明会が毎週のようにあるんですが、受ける受けない関係なく、最初はいろんな学校を研究しに行くんですね。この時期、意外とじめじめしていて、時には汗だくになるので、最初は安めで洗えるスーツを用意しておいて、本番が近づいたら面接用の本命スーツを新調する…というパターンもおすすめです。
A子: わかります、6月の説明会は汗かきますよね。私も洗えるスーツを重宝していました。そしてやっぱり本番(試験当日)は、また別のものを着ました。
司会: ちなみに紺以外のスーツを着ている保護者の方ってほとんどいらっしゃらない?
夢美: 紺以外で行ったらかなり目立っちゃいますよね。
A子: 実はうち、夫が紺のスーツを持ってなかったので夏に慌てて作りました(笑)。
夢美: 聞いた話では、両親のお受験スーツを同じ素材で作るために、奥様が生地を持ち込んで「同じもので作ってください」ってオーダーする方もいるとか…。
司会: まるで結婚式みたいですね!
夢美: そうですね(笑)。生地までお揃いだと、家庭の雰囲気がより良く見えるといった理由からだと思います。
司会: 統一感が出そうですね。
夢美: そこまでする必要があるかはわかりませんが、そういう方向に力を入れる方もいらっしゃいますね。
お受験ママたちの美容事情は…?
司会: ではママの身だしなみについても少し。髪型なんかは、試験が近づくにつれて皆さん暗めのカラーにされたりするんですか?たとえば「カラーリングの髪色◯番まで」みたいな決まりがあるとか…。
トン子: やはり本番が近づくにつれてだんだん暗くなっていきましたよね~(笑)。
夢美・A子: そうそうそう!(笑)
司会: そういうものなんですね!他に美容系で気をつけたことはありますか?
夢美: 私は眉毛を整えるサロンに行ったりもしました。やっぱり面接では第一印象や表情も大事ですし…身だしなみの一環として。細かいところですけど、意外と侮れないですよ。
まとめ
司会: 塾や家庭教師の使い分けから、家庭でのエピソード作り、そして本番を見据えた服装・美容の対策まで…皆さんそれぞれ工夫を凝らしたお受験準備をされていたのが印象的でした。どのご家庭も「子どもに合った方法」を模索している姿が伝わってきます。
次回は最終回、試験直前~当日の様子や、終えてみて「やってよかったこと」についてお話を伺います!お楽しみに。