ソムリエが注目するネクストブレイクワイン3選
「甲州ワイン=軽い」のイメージを覆す抜群の飲みごたえ
甲州は日本の固有品種として長い歴史があるぶどうですが、クローン選抜や認定をするなど新しい動きが活発になってきています。生産者の優れた技術によって造り方のバリエーションも広がり、以前の「甲州ワイン=軽い」というイメージから進化しています。
甲州は近年、輸出量が増え、海外でも注目されつつあるワイン。F.O.S. とは、Fermented on Skins(果皮ごと醗酵)の略。この醸造法はオレンジワインと同様ですが、〈ココ・ファーム・ワイナリー〉ではオレンジワインという呼び名が出回る前から F.O.S. にトライしていたのだそう。
「みかんなどの和柑橘とあんずの香り、果皮によって引き出されるシナモンのようなスパイシーさが華やか。コシがしっかりしていて紅茶のような軽めのタンニンがあります。和食全般と相性がいいですが、魚はお刺身よりもマリネのほうが向いています。麹など発酵食品とも合うので、さわらの西京焼きや里芋の柚子みそ煮などもいいですね」(佐藤美也子さん、以下同)
〈ココ・ファーム・ワイナリー〉甲州 F.O.S.(日本・栃木/オレンジ/750ml)(税込)3,960円
近年、再評価のムーブメントが加速するアリゴテ
ブルゴーニュ地方の白ワイン品種、アリゴテ。同地方産のシャルドネとまったく異なり、長らく目立たない存在でした。変化がおこったのは1998年、ブルゴーニュの村名アペラシオン(法律に基づいたワインの原産地を示す呼称)の認定を受けてから。それでも一部の地域のみのワインと思われてきました。
しかしここ10年ほど温暖化の影響が強くなり、もともと酸がしっかりと出るアリゴテは注目の的に。「アリゴター」というアリゴテの地位向上をめざす生産者グループも誕生するほど盛り上がりを見せています。シャルドネにくらべ、まだまだ価格も抑えられているアリゴテは、これから先もしばらく注目を集めるはず。
「さわやかな酸のなかに、ほんのり塩味を感じます。冷やしすぎると余計な酸が出てしまうので、“キンキン”より“ひんやり”ぐらいで。白身魚のてんぷらやフリットと合わせると、酸のキレが油っぽさを洗い流してくれます。チーズなら、ほどよい酸味があるヤギのチーズやクリームチーズがおすすめ」
〈ミシェル ラファルジュ〉ブルゴ-ニュアリゴテ レザン ドレ(フランス・ブルゴーニュ/白/750ml)(税込)4,180円
コスパ&品質◎のピノ・ノワールならこれ一択!
ドイツワインといえば、白ワインのみ。赤はあっても認知度も人気も今ひとつでした。それが温暖化の恩恵を受け、凝縮感のある高品質なピノ・ノワールが育つようになったのです。
10~15年ほど前から高級ピノ・ノワールは存在しましたが、一般的に手の届く価格ではありませんでした。また、ピノ・ノワールではなくドイツでの名称の『シュペートブルグンダー』と呼ばれていて、フランス語で「ピノ・ノワール」とラベルに表記されるようになったのも近年のこと。今、高品質でコスパの良いピノ・ノワールを見つけるならドイツは最適な国なのです。
「いちご、ブルーベリーなど赤系果実のニュアンスが前面に出てチャーミング。透明感がありながら骨格もしっかり。非常にバランスのいいワインです。
鴨のローストやハムのステーキなど脂のきつくない肉料理、トマトの酸味と好相性。赤ですが夏はちょっと冷やしてもおいしいですよ」
〈ベルンハルト・コッホ〉シュペートブルグンダー フォン レス(ドイツ・ファルツ/赤/750ml)(税込)2,860円
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いずれも人に教えたくなる“ネクストブレイク必至”なワイン、いかがでしたか? ワイン会に持っていくと一目置かれるかもしれません!