ナチュラルワインとオーガニックワインの違いって?
オーガニックワインは農薬を使わず育てたぶどうを使用し、醸造を助ける添加物を使用することもあります。ナチュラルワインは畑も醸造も自然にこだわり、酵母・亜硫酸塩・濾過も最小限。よりピュアで個性的なのがナチュラルワインです。
ナチュラルワインの定義とは?
政府による規定などはありませんが、少なくとも以下の基準は満たしているといえます。
1. 自然な農法で育てたぶどうを使う
・有機栽培またはビオディナミ農法がベース
・化学肥料・除草剤・農薬は不使用または最小限
2. 醸造中も人の手を加えすぎない
・培養酵母は使わず、自然酵母で発酵
・補糖・補酸などの添加はしない
・亜硫酸塩(SO₂)も無添加かごく微量
・清澄(ワインを澄ませる)や濾過(ろ過)もしないことが多い
3. 手作業が中心で、小規模生産が多い
ワインが濁っていたり澱(おり)があったりするのはなぜ? 飲んでも大丈夫?
ナチュラルワインは、ワインを濾過(ろ過)したり澄ませる清澄作業をしないことが多いです。そのため、ぶどう由来の成分や酵母の残りなどが自然とワインの中に残ります。また、生きた酵母や微生物が瓶の中に残っていて、瓶内発酵や熟成が続くこともあります。結果として澱がたまったり、少し濁ってくることがあります。 濁りや澱は“ナチュラルな証拠”!飲んでもOK、むしろ個性です。
ナチュラルワインを見分ける方法は?
ナチュラルワインには明確なラベル表示義務や統一マークがないため、ちょっとコツがいります。以下のポイントでチェックしてみて!
1. ラベルや裏ラベルに注目!
・「sans soufre(サンスフル)」→ フランス語で亜硫酸なしの意味
・「non filtré(ノン・フィルトレ)」→ 無濾過
・「levures indigènes(ルヴュール・アンディジェンヌ)」→ 自然酵母使用
2. 認証マークに注目!
・デメター(ドイツ):ビオディナミ農法の国際認証
・ABマーク(フランス):フランスの有機農法認証
・ユーロリーフ(EU圏):EU加盟国において生産・包装された食品の有機認証
ちなみにフランスでは2020年に「Vin Méthode Nature(ヴァン・メトード・ナチュール)」という認証制度も始まりましたが、まだごく一部に限られます。
認証マークを目印にすればいいのですが、あえて認証をとらない生産者もいるので、なかなか見分けはつかないもの。ナチュラルワインを買いたいときは、店員さんに教えてもらいましょう。
感性と個性があふれるナチュラルワイン4選
伝統的製法で造られる、辛口でやわらかな微発泡ワイン
オーストリア・ウィーンでいまも残る伝統的な“ゲミシュター・サッツ(混植混醸)”の手法で造られたワイン。ひとつの畑の中に複数品種を植えて同時に収穫・醸造したもので、通常のブレンドとは異なる、複雑でユニークな味わいが魅力です。〈ツァーヘル〉はこのゲミシュター・サッツを初めて市場にリリースし、「ゲミシュター・サッツの父」と称えられています。
「淡いレモンイエローの見た目どおり、すごくフレッシュで爽やか! リンゴや柑橘系のアロマで、絞りたて果汁のようなジューシーさと旨みがあります。酵母の香ばしさ、苦味も感じられて飲み飽きさせません。
ペアリングには、衣の質感が軽い魚介のフリットやハムのサラダがおすすめ。少しシュワっとした軽快なのどごしと相まって、グラスがすすむでしょう」(倉地八重さん、以下同)
〈ツァーヘル〉OMAペットナット(オーストリア・ウィーン/白・微発泡/750ml)(税込)3,740円
人工的な技術に頼らず、「ワインそのものが語る」スタイルが魅力
当主のダヴィッド・フベール氏は元新聞記者。たとえ無一文になっても夢だったワイン造りを学びたいと醸造家に転身したそうです。1998年から農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を使わない有機栽培の一種であるビオディナミ農法に則ってぶどう栽培をおこなっている畑を借り、手間もコストもいとわずに渾身のワインを造り続けています。
「青リンゴや柑橘、白い花を思わせるフローラルで華やかな香り。口に含むとレモンピールのようなビターさが現れます。ふくよかな洋梨の果実味に、酸や塩味が寄り添い、クリスピーな引き締め感も。白身魚のソテーやアクアパッツァ、鶏肉の塩焼きなど、食材をいかしたシンプルな料理とテッパンの相性です」
〈ラ フォルベルト〉アマンディエ(フランス・ロワール/白/750ml)(税込)3,850円
「自然と向き合い、土地と人を大事にする」スタイルのボルドー
〈ピエール アンリ コザン〉は2009年から有機栽培を、2018年にはビオディナミ農法を取り入れてデメター認証を取得。自然環境の保護に重点を置き、酸化防止剤も、酸化防止剤以外の添加物も不使用。ぶどうそのものにフォーカスした果実味あふれるワイン造りをおこなっています。
「こちらは本当にお値打ち品! 安定感とコスパの良さに驚かれると思います。熟したタンニンは見事に溶け込んでいて、シルキーでなめらかなテクスチャー。数日間はバランスの良い果実味が後口よく楽しめます。
合わせる料理は、煮込みやソースが濃厚なお肉料理がいいでしょう。ステーキや焼き肉より、ハンバーグやボロネーゼといった食感がやわらかいお肉料理。豚肉とも相性がいいですよ。おうちごはんと一緒に気軽に試してみて」
〈ピエール アンリ コザン〉オー ロレット プール アメリ(フランス・ボルドー/赤/750ml)(税込)2,970円
ナチュラルワインらしい一期一会の味わいを楽しんで
「Pépin(ペパン)」とはフランス語で「ぶどうの種」という意味。自然のままのぶどうから生まれたワインというコンセプトを表しています。有機農法またはビオディナミで育てられたぶどうを用いて、発酵は自然酵母のみ。味を人工的に整える補糖・補酸もおこないません。
〈ペパン〉のワインの最大の特徴のひとつが、1本1本にロットナンバーが付いていること。それは、「年ごとのヴィンテージ」にこだわるというより、“ロット(仕込み)ごとの違い”を大切にしているから。使用されるぶどうの品種や比率、収穫年、生産者、発酵のニュアンスが少しずつ変わることも。それを消費者に明確に伝えるためにロットナンバーが記されているのです。
「味わいはフレッシュでジューシー、自然な果実味がたっぷり。グイグイ飲める軽やかさがあります。ソーセージやベーコンを野菜といっしょに煮込んだり、グリルしたり、軽めのお肉料理が合いますね。ラベルはかわいくてポップなので、ナチュラルワイン初心者にも手に取りやすいのでは」
〈ペパン〉ペパン ルージュ lot No.12(フランス・アルザス/赤/750ml)(税込)4,620円
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