2026.08.31 NEW

防災の日に見直したい、子どもがいる家庭の備え。ママたちのリアル防災アイデア集【後編】

● 子育て

このたびの熊本地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。被災された方々が、少しでも早く安心して過ごせる日常を取り戻されることを願っております。

9月1日は「防災の日」。災害はいつ起こるかわからないからこそ、子どもがいる家庭では、日頃からどのような備えをしておくとよいのか気になるところです。そこで今回、渋谷エリアを中心に約270名のママたちが活動するコミュニティ「NPO法人tannely(タネリー)」でアンケートを実施しました。

後編では、その中から具体的な備えを実践している3名のママに追加でお話を伺い、それぞれの家庭の防災対策を実例としてご紹介します。非常食の見直し方や子ども用の備え、在宅避難を想定した工夫など、家庭ごとのリアルなアイデアをぜひ参考にしてみてくださいね。
記事の最後には、子どもがいる家庭で確認しておきたい防災対策チェックリストもまとめています。

前編はこちら>

実例1:防災は「日常の延長」で!家族を守るためのリアルな備え方

Oさんは、日常の中で備えを積み重ねているママ。消防士でレスキュー隊員だったというお父様の影響で、子どものころから防災の意識が身近なものだったそうです。さらに2025年の「7月5日問題」をきっかけに、“地震は必ず来る”という気持ちで備えを強化。 避難所生活は想定せず、「自宅が倒れるレベルなら避難所も機能しない」というリアルな視点で対策をされています。


■電気・ガスが止まっても使える「炊飯キット」
Oさんの防災グッズの中でも特におすすめは、電気・ガス不要で使用できる「炊飯キット」。必要なものはお米と水だけで、火加減不要の燃料(ジエチレン燃料)によりお米が炊けるというアイテムです。いざというときでも炊き立てのお米が食べられるという安心感は、何にも代えがたいものだそう。



■各部屋に笛とライトを配置
リビングや寝室はもちろん、玄関、洗面所、トイレ、子ども部屋など、家中にライトと笛を配置しているOさん。特におすすめは、100円均一などでも購入できる「COBライト」です。面で発光するため、小型ながらとても明るいそう。裏が磁石になっているものが便利とのことです。
また、笛も100円均一などで購入できますが、家の複数個所に常備しているそう。バレーボールが大好きなOさんは、枕元の笛だけは「バレーボールの審判用の良い笛」を用意しているのだとか。少しの楽しみを加えつつ、生活の一部として無理なく防災対策に取り組んでいる様子がうかがえます。

■普段から各自スリッパで生活
普段からスリッパで生活されているというOさんファミリー。 地震等で散らばったもので足を怪我しないためのものですが、息子さんは、特に夏場はあまり履いてくれないそう。ただし、息子さんのベッド脇にトレーニングシューズを置き、いざというときはそれで代用…としているそうです。

■外出時の0次の備え
外出時でももちろん防災の意識を忘れないOさん。出かける際は、笛・ライト・塩・常備薬・モバイルバッテリーを持ち歩くようにしているといいます。最近では笛とライトが一緒になった小型のキーホルダーなどもあるので、家族のカバンやランドセルにつけておくと安心ですね。

■自作「冷却パック」用の材料を用意
暑さ対策として、Oさんは「冷却パック」を自作できる材料も用意されています。これは水に溶けると冷たくなる尿素の性質を利用したもので、尿素をチャック付きポリ袋に入れ、水と反応させるだけとのこと。子どもと一緒に作れるほど簡単なので、時間があるときに一度親子で作ってみるのも防災の一環になりそうですね。Oさんが用意しているのは、顆粒タイプの尿素900g(1,000~2000円程度)とのことです。

化学だいすキッズ 冷却パックを作ろう!:日本化学会 化学だいすきクラブ


Oさんの備えは、どれも“今日からできる防災”。いざというときのための備蓄を用意するだけでなく、“家族を守るためのちょっとした習慣づくり”を意識してみるのも大切ですね。

実例2:子育てで磨かれた防災力!小さい子ども+赤ちゃんがいる家庭の備え

かつて不動産管理の仕事をしていたため、消防庁の防火・防災管理者講習に参加する機会が多かったというNさん。3.11ではボランティアに参加した経験もあり、防災への意識はもともと高い方とのことです。小学生と未就学児のお子さんがいて、現在3人目を妊娠中。家族を守るために、具体的にどのような対策をされているかご紹介します。


■防災グッズは“玄関+各部屋”の二段構え
避難するときに必ず通る場所であろう玄関には、すぐ持ち出せる防災リュックを配置。そして各部屋には、懐中電灯やヘルメット、水(飲料用でなくてもOK)を用意しているそうです。

■赤ちゃんや子ども用の備えをしっかり準備
普段から、子どもが食べ慣れている非常食やおやつ、飲み物、着替え、オムツ・おしりふきを備蓄しているNさん。年に2回程度行っているという防災点検では、 子どもの成長に合わせて中身を入れ替える習慣を続けているそうです。
現在、妊娠中のNさん。母乳育児予定のためミルクの大量備蓄はしていないものの、「災害時に母乳を必ずあげられるとは限らない」ということも想定し、液体ミルクも備えていく予定とのこと。両手を空けられる抱っこ紐や、さらし(抱っこ・怪我対応など多用途)など、赤ちゃん期ならではの備えも準備しているそうです。

■子どもと非常食を試食
非常食としては、羊羹やパン・ご飯などを常備。定期的に子どもと試食してみると、「普段のご飯のほうがおいしい」といって食べてくれなかったり、「災害時にはこれを食べるんだよ」と伝える難しさに気付いたり、カップ麺や味噌汁は食べ慣れているけれど賞味期限が短いことがわかったり…と、さまざまな気付きがあるそう。非常食は備えるだけでなく、子どもが抵抗なく食べられるかが大切というNさん。揃えて終わりではなく、実際に食べてみたり、備蓄品を見直ししたりする習慣は、いざというときの安心材料になりそうですね。

■電車通学の子どもとの連絡をどうするか
日頃から防災意識の高いNさんですが、一番の不安は、電車通学をしている子どもが、通学途中に災害に遭った場合とのこと。
家庭で現在決めているルールは「学校に近い場合は、学校へ向かう」「途中なら、あらかじめ決めている大きな駅で合流する」ということ。ただ、本当に合流できるのか、迎えに行くなら誰がどこへ向かうかなど、パパとママの担当も含めてまだ十分に詰められていない部分もあるそうです。子どもが増えると、家族が別々の場所にいる可能性がさらに高まるため、 連絡が取れないという前提で、あらためて家族でルールを見直したいと話します。

特に子育て家庭は、子どもの成長にしたがって防災の方法が変化していくもの。Nさんのように、家庭の状況に合わせて柔軟にアップデートしていくことが理想ですね。

実例3:防災委員の視点!マンションで子育てする家庭こそ大切にしたい“ご近所力”

マンションの防災委員をされているというKさんからは、地域や住まいの防災について考える中で見えてきた、リアルな気づきも寄せられました。


■ご近所の子育て家庭とゆるくつながっておく
マンション防災で今すぐできる対策の一つが、 同じくらいの年齢の子どもがいる家庭と日頃から簡単なコミュニケーションを取っておくこと。災害時、電話やインターネットが使えないと、情報が入ってこないことも考えられます。 そんなときに役立つのが、ご近所とのつながり。最低限の情報共有ができたり、困ったときに物の貸し借りがしやすかったりするほか、災害時でも子ども同士が少し遊べるだけで気が紛れるといったメリットがあるそうです。

■「在宅避難」に備える
「災害時は必ず避難所へ行かなくてはいけない」と思っている人が意外と多く、驚いたと話すKさん。実際には、自宅の安全が確保できていれば、避難所ではなく家で過ごす「在宅避難」になるケースが多いそう。そのため、家で数日間過ごすことを前提に、水が使えない場合の衛生対策を考えたり、日頃から子どもたちを、電源を使わない遊び(カードゲームやボードゲームなど)に触れさせたりしておくことがおすすめとのことです。

■防災委員として感じた“住民のリアルな疑問”
マンションで防災イベントを開催した際、「電気が来ないとトイレが流れない」「夜は真っ暗になる」 という認識がない人が多いことに驚いたというKさん。イベントでは、なるべく具体的な状況をイメージしながら話し合うことが重要だったといいます。その中で、特に大きな課題として挙がったのがトイレとゴミの臭い問題。災害時にはしばらくゴミの回収が止まる可能性もあり、簡易トイレや防臭袋、ゴミの保管方法なども、家庭で見直しておきたいポイントです。

■ソーラーパネル付きバッテリーの活用

防災委員の中で「使える」と話題になったのが、ソーラーパネル付きのバッテリー。高額かつサイズも大きいため利用する人を選びますが、停電時のスマートフォン充電ができたり、電気ポットや扇風機といった小型家電が使えたりとメリットが多く、非常時用として準備している人も増えているそうです。

マンションにおける防災には、「人とのつながりと具体的な想像力が大切」と話すKさん。それぞれのマンションで防災設備や対策方法は異なりますが、人とのつながりを大切に、日頃から有事の際にどのようなものが必要かを具体的にイメージしておくことは、今すぐに自身で始められる防災対策といえそうです。

アンケートで見えた『子どもがいる家庭の備え』チェックリスト
アンケートで挙がった備えを、チェックリストにまとめました。皆さんの状況に合わせて、必要なものから少しずつ確認してみてください。

後編まとめ

完璧じゃなくても。大切なのはわが家に合った備えを少しずつ
防災は、「全部そろえなきゃ」と思うと、どうしてもハードルが高く感じてしまうものです。でも、常に完璧である必要はありません。各家庭の家族構成や子どもの年齢に合わせて、日々できるところから少しずつ整えていくことがポイント。お買い物に行った際にローリングストックについて思い出してみる、非常食を親子で試してみる、いざというときの家族間の連絡方法について話題に出してみるなど、小さな一歩が確実に「備えが進む」実感につながっていきます。

ママの毎日はあわただしく過ぎていきますが、「防災の日」をきっかけに、今からできることをひとつずつ始めてみるのはいかがでしょうか。

教えてくれた人

“はたらく” でつながるコミュニティ tannely

“はたらく”でつながるコミュニティ tannely
ママを “はたらく” でつなぐtannely(タネリー)は、地域のつながりを“はたらく”で育むコミュニティ。“はたらく”を通じて、ママと社会がつながるタネをまく。子育て世代が、地域に貢献する機会をつくる。ママのため、街のため、社会のために必要なコミュニティとなる。それが私たちの使命です。
NPO法人tannely(タネリー)

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