2020.04.24

脱水予防にはリンゴジュース!? 子どもの感染性胃腸炎のときの水分の摂らせ方

Column

嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状をきたす感染性胃腸炎。1年を通して発生しますが、特に10月から2月の冬季に流行します。乳幼児がかかった場合、特に気をつけたいのが脱水の予防です。ところが、何を飲ませていいのか悩むママは少なくありません。 そこで、上高田ちば整形外科・小児科 の千葉智子先生に、感染性胃腸炎の水分摂取として、押さえておきたいポイントをお聞きしました。

感染性胃腸炎とは、どんな病気?

「原因はノロウイルスやロタウイルスによるものが多く、秋口から2月頃までの流行の後、家族内や施設内の集団感染、6月から9月には食中毒などが散発するという状況です。
症状だけで、原因となるウイルスや細菌を特定するのは非常に難しいのですが、嘔吐や下痢症状の重症度や、血便や発熱を伴う場合などには、原因確定のための検査を行う場合もあります。ただ、たいていの場合は、脱水の予防が中心の対症療法を行うことになります」(上高田ちば整形外科・小児科の千葉智子先生、以下同)

脱水予防のための水分摂取のポイントは?

「水分はこまめに飲ませていただきたいのですが、嘔吐した直後など、吐き気の強い時に無理に飲ませるのは、嘔吐のリスクが高く逆効果です。嘔吐すると、飲んだ水分のみならず、胃液中のミネラルも失われ、脱水を悪化させることがあります。嘔吐直後は口をゆすぐ程度にして、少し落ち着いてから、一口ずつ水分補給を行いましょう」

感染性胃腸炎の水分摂取として、重要なことは?

「昔は、多くの家庭で胃腸炎のときに梅干しのおかゆなどを食べさせていました。これは、炭水化物で糖質を、梅干しで特にナトリウムなどのミネラルを摂取でき、しかも消化のよい食材であることで理にかなった方法であったといえます。
ただ、固形物よりもまずは水分を摂れるようにすることが先です。体内に効率よく水分を補給するには、浸透圧の高い、糖分、電解質を多く含んでいる水分であることが望ましいですね。
理想は、経口補水液ですが、実際に飲んでみると少し塩気を感じ、「おいしさ」の面では劣ります。おいしくないことにより水分摂取ができず、脱水が進行してしまうことを避けるためにも、普段から飲み慣れたものを継続的に摂取してもらうことの方が重要だと思います」

「胃腸炎のときはリンゴジュース」は本当?

「リンゴジュースは、身近で手に入りやすいため、お子さんにとって普段から飲みなれた飲み物といえるでしょう。経口補水液は子どもには飲みにくい場合もあり、継続して飲むのは難しいことが多いのは前述の通り。おいしくて飲みやすいリンゴジュースは、子どもの胃腸炎の脱水予防として適しているといえます。濃縮のリンゴジュースだと味が濃すぎるので、少し水で薄めてあげるとよいでしょう。ただし、あくまで軽い胃腸炎の場合です。重度の場合は、かかりつけ医と相談してください」

胃腸炎の水分補給で避けた方がいい飲み物は?

「吐き気の強い時に柑橘系のオレンジジュースなどは、吐き気を助長するため避けた方がよいでしょう。また、下痢のひどい時は冷たい飲み物や、牛乳は症状を増悪させる場合があるため、避けてください。ただ、軽度の胃腸炎であれば、水分はなんでも構いません。好きなものを少量ずつあげるようにしてください」

胃腸炎時の子どものホームケアで大切なこと

「まず、水分がしっかり摂れているか気にかけてあげてください。皮膚、唇、舌の乾燥は脱水のサインかもしれません。おしっこがしっかり出ていて、活気がある様子であれば心配ありません。
また、水分摂取ができるようになったら、消化のいい食材を少量ずつ摂取ください。脂分、肉類は避けましょう。
さらに、吐物や下痢便は強い感染力を持つため、しっかりした消毒が必要になります。次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用塩素系漂白剤を使用した消毒を行うのがベストです。約2mLの原液を500mLの水に溶かして使うといいでしょう*」
*消毒液を作る際は、ゴム手袋を使用し、消毒液の原液に触れないようにしましょう。



軽度の胃腸炎の場合、お子さんが飲み慣れたものであれば、水分は何でもいいとのこと。「こまめに少量ずつ」を意識しながら与えましょう。
感染性胃腸炎は、お子さんから始まり、ママやパパ、兄弟姉妹など家族みんなにまわることも。看病疲れをしないよう、ママやパパも適度に休憩をとりながら、乗り切ってくださいね。


教えてくれた人 千葉智子先生/小児科医
昭和大学医学部医学科卒業。東京、神奈川の病院、クリニック勤務を経て、整形外科医の夫とともに東京都中野区に「上高田ちば整形外科・小児科」を開業。各種メディアへの小児医療についてのコラム執筆や、保護者向けの小児科のかかり方、ホームケアについての講演にも力を注ぐ。3人のお子さんのママ。