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妊娠中に気をつけるべきことのひとつに、妊娠糖尿病があります。
妊娠前は健康に過ごしていたのに、妊婦健診で毎回行われる尿検査で「糖が出ている」と言われて驚く妊婦さんは少なくありません。問題のないことがほとんどですが、妊娠糖尿病の疑いがある場合も。
そこで、そもそも妊娠糖尿病とはどのような病気なのか、検査方法や予防策までを、産科医の坂本忍先生に解説していただきました。
妊娠糖尿病とは、今まで糖尿病の診断を受けていないのに、妊娠の影響で血糖値が高くなり、妊娠中に初めて血糖値が高い状態が発見された場合に診断される、糖代謝異常のこと。
高齢出産の増加に伴い、近年、妊娠糖尿病は増加傾向にあります。自覚症状はほとんどなく、妊婦健診時の検査により発見されます。
妊娠糖尿病と診断されなかったり、診断を受けていても、適切な血糖コントロールがなされずに、症状が悪化してしまうと、下記のような合併症を起こすことがあるので、早期に発見し、早期に治療することが大切です。
ママ:
・糖尿病の合併症(糖尿病網膜症・糖尿病腎症の悪化など)
・妊娠高血圧症候群
・羊水過多など、羊水量の異常
・流産・早産
・巨大児に基づく難産 など
赤ちゃん:
・胎児仮死・胎児死亡
・先天奇形
・巨大児
・低血糖
・多血症
・黄疸 など
※妊娠糖尿病と診断されたママと赤ちゃんは、将来的に糖尿病、メタボリック症候群を発症するリスクが上昇すると言われている。
妊娠糖尿病に大きく関係しているのが、血糖値をコントロールする「インスリン」というホルモンです。
通常、食べ物は消化・吸収されると、ブドウ糖となって血液中に入るので、血糖値は上昇します。そしてブドウ糖は、すい臓で作られるインスリンの作用によって、細胞に取り込まれてエネルギーとなり、血糖値は低下します。
ところが、妊娠すると、インスリンの働きを抑えるインスリン拮抗ホルモンが胎盤から分泌されます。これにより、インスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。
さらに血糖値が一定の基準を超えたときに、妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠糖尿病になりやすいのはどんな人なのでしょう。妊娠糖尿病になりやすい体質が疑われる要因として、以下が挙げられます。
・肥満
・家族に糖尿病の人がいる(特に1親等以内はハイリスク)
・高年妊娠(35歳以上)
・妊娠中に体重が急増した人
・以前に大きな赤ちゃん(出生体重4,000g以上)を出産したことがある人
・原因不明の流産・早産・死産の経験がある人
・羊水過多
・尿糖の検査で陽性が続く場合
・妊娠高血圧症候群の場合
日本産科婦人科学会では、すべての妊婦さんを対象に、妊娠初期・中期に妊娠糖尿病のスクリーニング検査を行うことを推奨しています。
スクリーニング検査で陽性となった場合や尿糖の陽性が続いた場合、「75g経口ブドウ糖負荷試験」が行われます。
ここで、
(1)空腹時血糖 92mg/dL以上
(2)1時間後の血糖 180mg/dL 以上
(3)2時間後の血糖 153mg/dL以上
上記3項目のうち、1つでも当てはまると、妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠糖尿病において最も重要なことは、血糖を厳重に管理することです。妊娠中の血糖値をしっかりと把握し、食事療法・運動療法・薬物療法を行いながら、血糖は食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満、HbA1cは4.3~5.8%を目標にコントロールします。
最も重要なのは、発症のリスクを高める主な原因となる、過度な体重増加や急激な体重増加を防ぐこと。
そのためにも栄養バランスの良い食事を心がけましょう。極端に糖質やカロリーを制限する必要はありませんが、同じメニューでも、野菜→肉・魚などのたんぱく質→ご飯や麺類などの炭水化物といった順に食べると、血糖値の上昇を穏やかにすることができるので、日常的に食べる順番を意識するのはオススメです。また、ウォーキングやヨガなど、体調に合わせて適度な運動を心がけましょう。
食事や生活習慣についてわからないことがあれば、健診時に助産師さんにアドバイスを求めるのもひとつです。
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妊娠糖尿病は、出産後、胎盤が排出されることでインスリンの働きを抑えるホルモンがなくなるため、血糖値が落ち着き、改善することが多いです。
ただし、妊娠糖尿病は治っても、今後、糖尿病になるリスクは高まりますので、出産後6~12週の間にブドウ糖負荷試験を受けましょう。
新型コロナウイルスへの不安や外出自粛によるストレスなどもあり、落ち着かない日々が続きますが、過食や偏食に気をつけながら、少しでもリラックスして妊娠生活をお過ごしください。
教えてくれた人坂本忍先生/産婦人科医
東京医科歯科大学医学部卒業。公認スポーツドクター(日本オリンピック委員会強化スタッフ)。日本医師会認定産業医。