2021.09.17

歯が1本でも生えたら考えたい!赤ちゃんの口腔ケア

Column

赤ちゃんの歯が生え始める時期には個人差がありますが、生後6カ月〜9カ月ごろが平均的だといわれています。下の前歯2本から始まり、次に上の前歯が2本生えてきます。多くの場合、2歳半ごろには奥歯が生えてきて、20本の乳歯が揃います(※)。
こちらの記事 でもご紹介した通り、口内環境と全身疾患には密接な関係があり、赤ちゃんの頃から口腔ケアを習慣化したいもの。そこで、今回は赤ちゃんの口内ケアの方法をチェックしていきましょう。
※乳歯の生える時期と順番には個人差があります。気になることがあれば、小児歯科に相談しましょう。

最初は慣れることからスタート

赤ちゃんの歯みがきは、歯が1本でも生えたら、スタートするようにいわれていますが、まだ歯が1〜2本しか生えていない時期は、唾液が歯の汚れを流してくれるので、虫歯にはなりにくい環境です。
「しっかりとみがかなきゃ!」と気負わなくても大丈夫。この頃は、赤ちゃんが歯みがきに慣れることが何よりも大切です。
まずはきれいに洗った指で赤ちゃんのお口の中に触れることから始めましょう。

〈お口の中に触れる手順〉
1. ママやパパの膝の上に赤ちゃんを寝かせる。
2. やさしく話しかけながら清潔な手で赤ちゃんの顔に触れる。
3. きれいに洗った指で赤ちゃんの唇にやさしく触れたり、お口の中をそっとなぞったりする。

〈ポイント〉
歯みがきは心地よい時間だと赤ちゃんに感じてもらえるように、リラックスできる環境を整えてあげましょう。赤ちゃんの目を見ながらニッコリほほえんだり、手足をなでながら行うと、赤ちゃんは安心します。

お口の中を触られることに慣れてきたら歯みがきスタート!

「歯みがきスタート!」といっても、いきなり硬い歯ブラシでみがくわけではありません。赤ちゃんのお口の中はとてもデリケートです。
そこで、最初は、小さくカットした綿100%のガーゼを使って「ガーゼみがき」をしていきます。

〈ガーゼみがきのプロセス〉
1. ぬるま湯でしめらせたガーゼを人差し指に巻きつける。
2. 歯の面と裏をやさしく拭き取るようにしてケアする。

回数の目安は、1日に5〜6回程度です。授乳後や離乳食後はもちろんのこと、就寝中は唾液の分泌が減ることで虫歯になりやすくなる就寝前も必ず行いましょう。
また、赤ちゃんが機嫌よくガーゼみがきをできたら、たっぷりほめてあげてくださいね。
「できた」→「ほめる」を繰り返すことで、赤ちゃんにとって、歯みがきが楽しい時間に。歯みがきが好きなお子さんに育つでしょう。

歯ブラシで歯みがきするタイミング

奥歯が生えそろってきたら、いよいよ歯ブラシに切り替えての歯みがきのスタートです。大人がみがいてあげるこの段階では、歯ブラシは大人がにぎりやすく細くて長いハンドルで、小さいヘッドに歯ぐきにやさしい毛のものを選びましょう。
ブラッシングは、虫歯になりやすい箇所を優先的にみがいていきましょう。
乳歯で虫歯になりやすい箇所は、上の前歯、歯と歯の間、奥歯の溝。みがき忘れのないように丁寧にブラッシングしていきます。

〈ブラッシングのコツ〉
1. 歯ブラシは歯の面に垂直にあてます。また、歯と歯茎の境目は45度の角度であてます。
2. 歯1、2本につき、歯ブラシを横に小刻みに動かしながら軽い力で手早くみがきましょう。裏側も忘れずに!
3. 上唇小帯に歯ブラシをあてないよう気をつけましょう。上唇小帯とは、上唇と歯茎の間にあるスジ。ここに歯ブラシがあたってしまうと痛みから歯みがきが嫌いになってしまうお子さんも。必ず上唇を少し持ち上げて、上唇小帯に当たらないようにみがいてあげましょう。

こんなときはどうしたらいい?

Q. 生まれたときから歯が生えています。
生まれたときからすでに生えていたり、生後1、2カ月で生えてきたりする歯のことを「先天歯」といいます。
先天歯があると、授乳の際に母親の乳首にあたって痛んだり、赤ちゃんの舌の裏が傷ついて潰瘍ができてしまったりすることも。
また、先天歯は通常の乳歯に比べると構造が不完全でもろいことが多く、自然に抜けて誤嚥する危険性もあります。
このため、先天歯を見つけたら、早めに小児歯科を受診しましょう。

Q. 歯がなかなか生えてこない
乳歯が生える時期には個人差があり、1歳を過ぎてからやっと生えてくる場合もあります。歯が生えてくる前ぶれは、歯ぐきが大きくふくらむこと。他の部分と比べて歯ぐきが膨らんでいれば、心配はありません。どうしても気になる場合は、小児歯科に相談しましょう。

Q. 1歳の娘が自分で歯をみがきたがります。
自我が芽生え、なんでも自分でやりたくなるのは成長の証です。その気持ちを尊重し、ぜひお子さん用の歯ブラシを一本用意してあげるといいでしょう。しかし、お子さんひとりでしっかりみがくのは難しいので、ひとりでみがけるようになるまでは、仕上げみがきをしてください。
また、お子さん用の歯みがきは、小さな手にフィットしやすいグリップで、のど突き防止のプレートの付いた安全性の高いものを選ぶようにしましょう。そして、お子さんが歯ブラシをくわえたまま歩くなどしないよう、注意して見てあげてくださいね。



赤ちゃんの頃から歯みがきの習慣をつけ、口腔の衛生状態を清潔に保つことがその後の健康にも大きく関わってきます。
まずはお口に触れることからスタートして、歯みがきが好きな子に育てましょう!