2023.01.27

子育てと仕事を両立するママの働き方事例集

Column

出産後も仕事を続ける女性の数は増加しています。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(2021年)によると、第1子出産後も就業を継続した女性は約7割に。この数は長年4割ほどにとどまっていましたが、ここ10年で変化。「仕事と子育てを両立したい」と考える女性が増加していることがうかがえます。
同時に、出産・育児は働き方を見直すきっかけにもなっています。
今回は、子育てのことを考えて働き方を変えた先輩ママの声を一例としてご紹介します。

産後、働き方をどう変えた?

お話を伺ったママは、現職場にいながら働き方を見直したという方が大多数。一方で、転職や離職をし、仕事を変えたというママも。

◆ 働く時間や業務量を減らした

「時短勤務を利用しました。職場から保育園まで電車で1時間半かかり、定時まで働くと保育園のお迎えに間に合いません。時短勤務が終わる2歳以降は延長保育を考えています」(R.Yさん/1歳の女の子のママ)

「第二子出産を機に、残業の多い部署から定時で帰れる部署に異動願いを出しました。残業代の分、収入は減りましたが、ゆとりをもって育児ができるようになりました」(A.Kさん/2歳の女の子と4歳の男の子のママ)

「業務量を減らしてもらうよう上長にお願いしました。結果的に過重労働気味だったチーム全体の業務量が減り、同僚からも感謝されました」(S.Yさん/3歳の男の子のママ)

「リモート勤務の日数を増やしてもらいました。ちょうど新型コロナの感染拡大でリモートを推進していた時期と重なり、希望はすんなり通ってありがたかったです」(R.Iさん/2歳と3歳の男の子のママ)


◆ 働く時間を変えた

「通常は9時〜18時勤務ですが、就業時間を1時間前倒しさせてもらいたいと直談判。定時退社できるようにしました」(C.Kさん/2歳の女の子のママ)


◆ 仕事を変えた

「出産をきっかけに条件の合った業種に転職した後輩がいます。パートナーは平日遅くワンオペが確実、さらに両家の実家も遠方なため、自身の仕事を変えるしかないと妊娠中から職探しをしていました」(A.Kさん/2歳の女の子と4歳の男の子のママ)

「出版社に勤めていましたが、長男が2歳のときにフリーランスに転向しました。自分の裁量で勤務時間を調整できていた担当雑誌が休刊になったことが最大の理由ではありましたが、その後、子育てしやすい部署に異動できるかどうかも不明だったため、思い切って独立。今では最良の選択だったと思っています」(T.Mさん/6歳、小学2年生、小学6年生のママ)

「コロナ禍で会社が副業を認めるようになり、副業について調べていたところ、一人起業という働き方を知りました。育休中に起業塾で学び、その後コーチングの資格を取得。現在、ライフコーチとして生計を立てています」(S.Hさん/3歳の女の子のママ)

働き方を見直したタイミングや理由は?

「育休明け直前に人事と面接したとき、仕事のアドバイスをたくさんもらったことが、働き方を見直す機会に。時短勤務を利用することはもちろん、時短終了後のことまで視野に入れながら今後の働き方について考えることができました。人事担当者は3人のお子さんを育てあげた50代の女性。親身になって話を聞き、助言をもらえたことに感謝しています」(R.Yさん/1歳の女の子のママ)

「妊娠7カ月頃に産後の役割分担を夫と話し合ったとき、職業柄、平日の夫の協力は期待できないとわかりました。これがある意味、働き方を見直したというか、腹を括った理由です」(C.Kさん/2歳の女の子のママ)

「妊娠中、2人の小学生のお子さんがいる会社の先輩からワーママの実態を聞いたことが働き方を見直すタイミングとなりました。今の仕事量ではとてもじゃないけれど子育てできない!と思いました」(S.Yさん/3歳の男の子のママ)

「第一子のときはかなり無理をしながら働いていたため、イライラが募ったり、体調を崩したりしていました。第二子妊娠中もマイナートラブルが続出。本気で働き方を見直そうと思いました」(A.Kさん/2歳の女の子と4歳の男の子のママ)

「雑誌編集者という仕事柄、残業は当たり前。校了前は、深夜帰宅になることもありました。仕事には誇りを持っていたし大好きな仕事でしたが、このままの働き方では子どもと向き合う時間を取れないと思ったことも、フリーランスの道を選んだ理由の一つです」(T.Mさん/6歳、小学2年生、小学6年生のママ)

「会社員時代から、自分の好きなことや得意なことを生かして働きたいと漠然と思っていましたが、育休中に起業塾で学んでその思いが大きくなりました。育休中の学びが、働き方を見直す大きなきっかけとなりました。また、あっという間に大きくなる子どもとの時間を大切にしたいと思ったことも、働き方を見直した理由です」(S.Hさん/3歳の女の子のママ)

◆ 働き方を見直して良かった?

今回お話を伺った8人のママは、みなさん口を揃えて「働き方を見直して良かった」とおっしゃっていました。その理由の多くは、「仕事も育児もよいバランスでできるようになったから」ということでした。ほかにも、「気持ちにゆとりが生まれた」「子どもとの時間を持てるようになった」という声も聞かれました。



妊娠・出産を機に働き方を見直すというと、以前は「キャリアをあきらめる」「仕事をがまんする」など、マイナスなイメージを持つ人も少なくなかったでしょう。ところがママたちが働き方を見直した理由は、「理想のワークライフバランスを実現するため」「子育ても仕事も、どちらも心地よく向き合えるように」などとポジティブな理由がほとんどでした。
今回のインタビューで、仕事のために大切な何かを犠牲にするのではなく、仕事にも育児にも自分らしく向き合っていきたいと考えるママたちの姿と、生き生きと働き暮らすための働き方が垣間見えました。