2025.12.01 NEW

「おいしいクリスマス絵本」

● 子育て

5冊だけの本屋という女性向け選書サービスを行っておりますミホコです。

「寝る前に読んでもらう絵本のストーリーの終わりがあたたかいものだったら、子どもたちは一日をとっても幸福に感じるでしょう。そして心地よい眠りにつけるはずです」

これはミッフィーの生みの親でもあるディック・ブルーナさんの言葉です。毎日、大人も子どももいろいろあります。どんな一日でも、夜眠る前に心温まる絵本をゆっくりゆっくりと読んでいると、一日の緊張の糸がほどけて自然とリラックスしてきます。彼の言葉にあるように、それが幸福や心地よい眠りに繋がるのだと思います。この連載では、眠りにつく前にぴったりな心温まる絵本とそれにつながる5冊をご紹介します。

子どもが喜ぶおいしいクリスマス絵本

チキン、ミートローフ、ブッシュ・ド・ノエルにクリスマスケーキ。クリスマスは、華やかな料理の数々も楽しみのひとつ。クリスマスならではのごちそうに、子どもも大人も心が躍ります。そこで、今回はクリスマスに読みたいおいしい絵本をご紹介します。読めばお腹が空いてくること間違いなし。クリスマスパーティーが楽しみになる絵本です。


チョコレートとクリームがたっぷりとのったクリスマスケーキが出てくる絵本は、名作『ぐりとぐらのおきゃくさま』です。もりでゆきがっせんをしていたぐりとぐらが見つけたのは、いくつもの大きな長靴のあと。あしあとをつけていくと、なんとふたりのおうちへ。でも、あちこち探しても、おきゃくさまの姿が見当たりません。するとどこからかケーキのいい匂いがしてきました。台所に、ひげのおじいさんが焼き立てのケーキを持って立っていました。おいしい匂いがこちらまで漂ってきそうなケーキに、気分が上がる一冊です。

『ぐりとぐらのおきゃくさま』 なかがわりえこ 作 やまわきゆりこ 絵/福音館書店 対象:3歳〜

クリスマスケーキの絵本といえば、『100こめのクリスマス・ケーキ』。とっても可愛らしく、心温まるクリスマスケーキの物語です。クリスマスイブの朝。ケーキ屋さんは、ケーキを100個つくります。最後につくる100個目のケーキは、毎年楽しみにしているケーキ屋さんとねこのくろのための大きな大きなケーキ。大切に冷蔵庫に入れました。99個のケーキはすべて売り切れてしまいます。ケーキが買えなかった小さな女の子は泣き出してしまいました。コンパクトなサイズ感。刺繍で描かれたやさしい絵。心温まる小さな物語。子どものクリスマスプレゼントにもぴったりの絵本です。

『100こめのクリスマス・ケーキ』 長尾玲子 さく/福音館書店 対象:3歳〜

子どもも大人も心が躍るリアルでおいしいクリスマス料理

『はらぺこサンタのクリスマス』は、おいしい食べもののイラストとユーモラスな物語が魅力の絵本。クリスマスイブ。大忙しのサンタクロースは、はらぺこのまま飛び出します。「ジングルベルの すずが なる サンタクロースは おなか なる」。しばらくすると目の前にはシュトーレン。ところがそれは真っ白な雪が積もった山でした。しっかりしなくっちゃ!今度はコンソメスープ。それから、ミートローフにブッシュ・ド・ノエル。ローストチキンやクリスマスケーキまで。お腹を空かせたサンタクロースは見るものすべてが食べ物に見えてきます。ページいっぱいに広がるクリスマス料理の数々は、細部までリアルでおいしそう。子どもも大人も読めば食欲を刺激されるクリスマス絵本です。

『はらぺこサンタのクリスマス』 はらぺこめがね 作/ほるぷ出版 対象:3・4歳〜

頑張るママのためにおいしいご褒美小説

日頃から、家族の好きな料理や健康を考えた献立を考えているママは少なくないと思います。特にクリスマスは、子どもが喜ぶ顔を想像しているとたくさんの料理を作ってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分のことはさておき、家族ために日々頑張るママ。クリスマスは、家族に気兼ねなく自分の好きなおいしい料理を堪能したい。満たされたい。そんな頑張るママのためのおいしい小説を2冊ご紹介します。忙しいホリデーシーズンを乗り切る元気がもらえるような物語をお楽しみください。


おいしいご褒美本といえば人気シリーズ『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』。心身ともに疲弊してすっからかんになったときに、おいしいごはんでどんどん満たされていきます。今作は、チェーンレストラン「シリウス」を運営する株式会社オオイヌの製菓部である製菓工場を舞台にした物語です。癖のある上司と馴染めない製菓工場にやりがいを見失う主人公・かなめは、「キッチン常夜灯」に行くことをご褒美としてスイーツの商品企画に奮闘していきます。作中に登場するワーママたちの言葉に共感必至。仕事に対する情熱、家族や周りの人たちへの愛情が湧き上がります。タルトタタンを食べながらのワインで満たされた時間をご堪能あれ。

『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』 長月天音/KADOKAWA 角川文庫

大人気シリーズ「マカン・マラン」は、10周年にして最新作が刊行。『女王さまの休日 マカン・マランボヤージュ』は、かつて「マカン・マラン」に癒された方も、初めて読む方も、楽しめるおいしい物語です。今回は、「マカン・マラン」のお馴染みの面々が台湾へ。「足りなければ、満たせばいい。空っぽならば、埋めればいい―」。小籠包、ピーナッツ豆花、魯肉飯や台湾珈琲など、心身が満たされるおいしいごはんの数々。また、台湾の歴史や文化まで、余すことなく台湾の魅力が詰まった一冊です。本を開けば、湯気が顔にかかり食欲を刺激する匂いが漂ってきそう。こちらの本もタルトタタンをおともにお楽しみください。

『女王さまの休日 マカン・マランボヤージュ』 古内一絵/中央公論新社

子どもと一緒に考えるクリスマス料理

毎年、定番化しがちなクリスマスパーティーのメニュー。でも、子どもと一緒にクリスマスのおいしい絵本を読むと、子どもはママが気に留めなかった料理を食べてみたいと言ったり、興味を示したりするかもしれません。クリスマスのごちそうにマンネリ化している方は、子どもと一緒にクリスマスパーティーのごちそうを考え、作り、食べてみてはいかがでしょう。大切な人たちとお腹いっぱい食べて、幸せなクリスマスパーティーを過ごせますように。

メリークリスマス!



5冊だけの本屋 ミホコ

2015年に女性のための選書サービス「5冊だけの本屋」をスタート。お客様のSNSを拝見して、今のお客様にぴったりな5冊を選書している。本好きな女性にも、普段本を読まない女性にも、読書を楽しんでもらうために活動中。

「5冊だけの本屋」ミホコの今日もハッピーエンド。

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