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男の子の健やかな成長を願う5月5日の「端午の節句」に向け、五月人形をお探しの方も多い時期。でも種類が多くてどのように選んだらいいか迷っていらっしゃる方も多いのでは。そこで、ひな人形に続いて今回も、老舗人形店〈久月〉にてお話を伺ってきました。
_ 林田さん、今回もよろしくお願いします。まずは五月人形の意味、歴史を教えてください。
林田:江戸時代、端午の節句に子どもたちが石を投げ合う「印地打(いんじうち)」や菖蒲の刀で戦う「菖蒲切(しょうぶぎり)」といった遊びが生まれました。これらは次第に姿を消しましたが、庶民の間では菖蒲刀や飾り兜、幟などを家の前に並べる風習が生まれたんです。
武家の家では、甲冑や刀、槍などの武具を屋敷の中に飾り立て、玄関の前には旗幟などを立てて、端午の節句を祝いました。
節句飾りが家の前にたくさん飾られるようになった頃、江戸にはたびたび大火がおこり、外の飾りは禁止され、屋内に飾られるようになりました。階級のはっきりしていた江戸時代、町家では、家の中でも武家のように本物を飾ることはできません。そこで、武者人形や玩具の兜、鎧を飾ったんです。
_ 甲冑や人形にもさまざまな種類があるんですね。それぞれの特徴を教えてください。
林田:京甲冑は京都の貴族社会の中で生まれ発展してきたもので、金属を多用したきらびやかな雰囲気が特徴です。装飾金具や金箔を随所に施し、龍頭と呼ばれる前立てが兜の中心に取り付けられた京甲冑は“雅”な気品を持ち合わせています。
江戸甲冑は武家社会の中で生まれ発展してきたもので、実戦用の甲冑をイメージして作られた重厚かつ力強い雰囲気が特徴です。装飾要素の強い京甲冑とくらべると落ち着いた印象ですが、シンプルだからこそ、洗練された美しさと“粋”があり、質実剛健かつ頑強な風合いの中に芸術性の高さが感じられます。
鎧飾りは、もともと持っている身代わり人形の意味合いとして、全身を守るという意味があり、兜飾りよりも鎧飾りの方が守るという意味は強いと言われています。高さがあるので見映えしますね。飾るスペースは兜飾りとあまり変わりません。
大将飾りに関しては、五月人形というくらいですから、古来から鎧を着た人形を飾る風習がありました。その流れを汲んで勇猛さと可愛さを同時に表現した大将飾りがございます。鎧兜ではなく、大将飾りもお祭りの中心体としてお飾りいただけますよ。
_ 家の中のどこに飾ればいいのでしょう?
林田:本来、お子様の無事な成長を願うお祭りですので、お子様と、そのお子様のお守りであるお人形が主役です。できれば家族が集う場所に飾り、節句の日が来るのを楽しみに待ってほしいと思います。当日は親しい人を招いてホームパーティを開き、お祝いをしてあげてください。ペットがいれば、一緒に集いの輪に入れてあげましょう。
_ 売れ筋やトレンドを教えてください。
林田:ひな人形と違って五月人形には急激なトレンドの変化というものがなく、比較的オーソドックスなスタイルが好まれます。金の小札に緋縅の鎧・兜が一番人気です。江戸甲冑を選ぶ際は、作りや時代考証を参考にされる方も多くいらっしゃいますね。大将飾りは可愛いらしい雰囲気のものが人気です。また、飾り箱の中にすべて収納できるタイプにも注目が集まっています。
_ 2人目の男の子にはどんなタイプがおすすめですか?
林田:1人目が鎧飾りなら、2人目は兜飾りや鎧着大将はいかがでしょう。大切なのは兄弟で差が出ないチョイスをすることです。
最近、お客様からよく聞くのですが、自分が子どものころは兄弟と共有で自分用の人形がなく、寂しい思いをしたと。なので、自分の子どもにはそういう思いはさせたくないと、兄弟それぞれのためのお人形を求められる方が増えています。
そういった意味では、お子様のお名前と生年月日を刺繍できる名前旗もおすすめしています。季節のしつらいを大切にされる方には鯉のぼりのお飾りも人気ですよ。
_ なるほど。家の中が華やかになり、飾る楽しみも増えそうですね。時期的にいつからいつまで飾り、何歳まで飾るのでしょうか?
林田:春分の頃から遅くとも4月中旬までには飾りたいものです。重要なのは、毎年お飾りすること。年に一度のお子様のお祭りですので、面倒くさがらずに飾っていただきたいですね。しまうのは、季節の節目という節句の由来を考えると、5月中旬までの天気のよい日がおすすめです。飾るのは七五三や成人するまでといろいろ言われていますが、特に決まりはありません。
_ ひな人形のように桃の節句が過ぎたらすぐに片付けるといった言い伝えはないのでしょうか?
林田:ひな人形の話も季節の節目を大切にという意味合いであり、そのような言い伝えは迷信と思われます。
_ 五月人形にもひな人形のように「厄除け」という役目があるのでしょうか?また役目を終えた人形はどうすればいいのでしょう?
林田:兜や鎧は身を守る道具であり、武家社会の男子にとって非常に大切なもの。やがて江戸時代に入り、泰平の世となってからは、子どもの身を守り、災いがかからないようにという願いを込めて、鎧や兜を飾る風習が広がりました。赤ちゃんがたくましく立派に育つようにという祈り、そして受験や就職、結婚など人生の幸福に恵まれるようにという気持ちを託して飾るのです。何らかの事情で人形を持っていられなくなった場合は、神社などで供養することをおすすめします。
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近年は住宅事情などで、屋外にこいのぼりを設置することは難しくなりましたが、室内に五月人形や兜を飾るご家庭は多いのでは。時代は移り変わっても、子どもを見守る家族の思いは変わりません。
東急百貨店では〈久月〉をはじめ、名匠や人気作家によるさまざまな五月人形を多数ご用意しています。いつまでも家の宝となる逸品を、店頭またはネットショッピングでお探しください。
取り扱い店舗:東急百貨店 渋谷・本店、吉祥寺店、たまプラーザ店、さっぽろ店
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