21.08.20

室内でも注意!赤ちゃん・妊婦さんの熱中症

Column

年々暑くなっている日本の夏。ニュースや新聞などでは「観測史上初」「100年に一度」というフレーズとともに「猛暑」の文字を目にすることが日常になってきました。その中で注意したいのが熱中症です。消防庁によると、熱中症の約4割が室内で起きているそう。思うようにお出かけできない日々が続く中、室内で過ごす時間にも注意が必要です。
また、特に気をつけたいのが、赤ちゃんや妊婦さん。その理由と予防法を探ります。

熱中症についておさらい

熱中症とは、主に初夏から夏にかけて、高気温・高多湿・日射などの環境に体が適応できないことで起こる症状です。

I度(軽症)では、主にめまいや立ちくらみ、こむら返りや足がつる、どんどん汗をかく、手足のしびれなどなどの症状が出ることが多いです。軽症では発汗はあり、平熱であることがほとんどです。

II度(中等症)になると、だるさや疲労感に加え、頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が出ます。中等症でも発汗があり、体温は正常〜40度未満である場合が多いです。

III度(重症)になると、IIに加えて、呼びかけへの反応がおかしくなったり、けいれんや発汗停止、異常な高体温などの症状が現れます。

熱中症、赤ちゃんは特に注意が必要なワケ

まず、赤ちゃんは体温調節機能が未発達なうえに、熱中症の初期症状であるのどの渇きを訴えることができません。そこで、熱中症になりにくい環境下で過ごすことを心がけるとともに、赤ちゃんの様子を注意深く見て、いち早くサインに気づくことが必要です。以下の症状があったときには、適切に対処しましょう。

〈赤ちゃんの熱中症サイン〉
○ 頬が赤く、体に触れると熱い
○ 母乳やミルクを飲む量がいつもより多い
○ なんとなく機嫌が悪い
○ 元気がない
○ おしっこの量が少ない

これらは熱中症の初期症状であることが考えられます。エアコンの効いた涼しい部屋へ移動し、衣服を1枚脱がせて風を送ります。
冷えたタオルや保冷剤で、太い血管が走る首まわりやわきの下、太ももの付け根を冷やすのも効果的です。意識があり、飲み込みがしっかりできれば母乳やミルク、ベビー用イオン飲料などで水分をとらせます。
泣き声に元気がなかったり、ミルクや母乳を飲みたがらなかったり、体温が高いのに汗が出なかったり、けいれんを起こしている場合は、首まわりやわきの下、太ももの付け根を冷やすなどの応急処置をしてすぐに受診してください。

赤ちゃんを熱中症から守るためのポイント

こまめに水分補給する
離乳食開始前であれば母乳やミルクを、離乳食後であれば、白湯や麦茶でこまめに水分補給をしましょう。

快適な温度を保つ
室温は26〜28度になるよう調整しましょう。お昼寝は風通しのよい場所で! 通気性のよい服を着せるのも大切です。

直射日光を避ける
外出時は、帽子やベビーカーのサンシェードを使って直射日光を避けましょう。ベビーカーは道路に近く熱を受けやすいので、タオルに巻いた保冷剤を背中に当てたり、ベビーカー用の保冷シートを使うといいでしょう。

妊娠中は熱中症になりやすい?

妊娠中は、熱中症になりやすいといわれています。
妊娠初期はつわりによる嘔吐により、妊娠後期は基礎代謝が高く汗をかきやすいため、それぞれ体から水分が失われやすいためです。
つわりがひどく水分の摂取も難しい場合は、脱水が進行する危険が。必ず医師に相談しましょう。

妊婦さんが熱中症を予防するためのポイント

1日1.5リットル前後の水分摂取を
むくみが気になって水分を控える妊婦さんは少なくないようです。しかし、水分が失われがちな妊婦さんに水分補給は不可欠。1日1.5リットル前後の水分摂取を心がけて。

エアコンや扇風機を適切に使う
温度計で室温をチェックするようにしましょう。28℃を超えたら注意が必要です。エアコンや扇風機を適切に使って、室温を28℃以下に保ちましょう。

気温が高い日の外出を避ける
天気予報などで公表されている全国の暑さ指数(WBGT)は、熱中症になるリスクを示す指標のひとつです。この暑さ指数をチェックし、「WBGT31℃以上:危険」のときは不要な外出は避け、涼しい室内で過ごすのがベスト。どうしても外出しなければならない場合は、日傘や帽子などで日差しを遮り、こまめに水分補給をしながら、無理なく行動しましょう。



異常な暑さが報道されている今年の夏。近年は9月頃になっても気温が下がらず、暑さが長引く傾向にあります。
自宅にいるからと安心せずに、適切な室温とこまめな水分補給で、熱中症から赤ちゃんや妊娠期のご自身の体を守りましょう。