2022.10.07

知っておきたい中学受験のこと vol.9 先輩ママに聞く、中学受験してよかった?

Column

9回にわたってお送りしたコラム「知っておきたい中学受験のこと」も今回で最終回。
そこで今回は、結局のところ「受験してよかった?」ということを、ご自身も双子の息子さんたちの中学受験を経験された中学受験アドバイザーの西 和美さんをはじめ、先輩ママたちにお聞きしました。受験を控えている保護者のみなさんへの西さんからのメッセージもぜひお読みください。

「受験してよかった」と言えるように! 後悔しないために大切なこと

親子で目標に向かって懸命に頑張る中学受験。最終的に「受験してよかった!」と言えるように、よく聞く後悔ポイントを西さんに聞きました。

後悔ポイント1:併願校の学校見学や説明会に行かない

「学校見学、説明会に第一志望校しか行かなかったために、受験の際に併願校や滑り止め校を偏差値と塾の勧めで学校を決めてしまうことがあります。お子さんが6年間も毎日通う学校です。大事な青春時代を充実して過ごせるか、たくさんの候補からより良い学校を選んであげてほしいと思います」

後悔ポイント2:受験勉強のスタートが遅れる

「通塾や通信教育など受験勉強のスタートが遅かったことを後悔するご家庭は少なくありません。受験勉強の準備が間に合わず、力を発揮できず悔しい思いをすることがあります」

後悔ポイント3:過去問に取り掛かるのが遅れる

「過去問をもっと早く解けば良かったという後悔も多々あります。学校によって問題傾向が合う、合わないなどが早い段階からわかっていたら、偏差値にかかわらず合格の可能性が高くなる学校もあります。逆に偏差値が届いていても苦手な問題が多く出る学校は可能性が低くなることもあります。第一志望校はもちろん、気になっている学校の過去問は遅くとも10月までに取り掛かりましょう」

後悔ポイント4:受験校選びで子どもの意思を尊重せず、親の意見を押し付ける

「第一志望に手が届きそうにないと保護者が先に諦めてしまい、受験前に急きょ一つ下のランクの学校へ進路変更。過去問など対策が間に合わない、お子さんのモチベーションも下がり結局不合格というご家庭が実際にありました。このため、滑り止めの学校へ進学することに。保護者は挑戦させてあげたら良かったととても後悔していました」

西さんに聞く!受験してよかったですか?

双子の息子さんの中学受験を経て、西さんが感じたこととは?

大学受験に役立った

「受験してよかったことは、まず、子どもたちに自分で計画を立てて学習する習慣がついたことです。これが後の大学受験に大きく役立ちました。また、受験は子どもの意思を尊重することが大切であることを中学受験の経験から学び、大学受験は親として応援、サポートすることに徹することができました。さらに、受験は心の準備、学習の準備ができていると、合格する確率が高くなることを親子で実感しました。 ほかにも、受験をきっかけに、子どもたちと将来の夢や目標などを話す機会が増えたこともプラスになりましたね。わが子の中学受験を経験した友人からは、“中学生2、3年の思春期に高校受験を考えなくて良いことは、親子喧嘩の火種がなくて良かった”“親子で中学受験という一つの目標に向かって頑張ったという大切な思い出ができた”“子どもが将来何になりたいか、何のために勉強するのか、深く考えるきっかけになった”という感想が聞かれました」

最後まで油断せずにサポートできたら良かった

「わが家は小4から入塾し、塾や模試での成績が良かったため、親が手伝わなくても自分ですべてできると思い、小6では丸つけなど手伝わないでいました。すると、少しずつ成績が下がってしまいました。自分だけではまだ管理できない小学生だということを忘れてしまっていたのかもしれません。最後まで油断せず見守りサポートしていたら、もっと良い結果が出せたのではないかと思いました。 また、受験校を決める際に、絶対に合格してほしい、不合格にならないでほしいと願う親心から、安全な学校への変更を勧めてしまいました。子どもを信じてもっと挑戦する気持ちを尊重してあげたら、悔いが残らず良かったなと思っています」

先輩ママ発!受験してよかったこと&よくなかったこと

受験のサポートや合格までの道のりを振り返って、受験してよかったですか?実際のところをお聞きしました。

よかった派

「合格発表の日、親子で抱き合って喜んだときのことは生涯忘れません。家族一丸となってやりきって達成感を得られた、何ものにも代え難い経験でした」(R.Yさん/中2の男の子のママ)

「友だちや先生に恵まれ、充実した中学校生活です。公立の学校であれば受験生ですが、一貫校なのでこの夏もエンジョイ。楽しそうな姿を見ていると、受験してよかったなぁとしみじみ」(K.Tさん/中3の男の子のママ)

「模試の後に一緒に食べたスウィーツや息抜きで遊んだクレーンゲーム。思い出すのはそんなことばかりですが、受験したことで、娘とたくさんのかけがえのない時間を過ごすことができました」(R.Nさん/高1の女の子のママ)

よくなかった派

「志望校には入れましたが、塾代、受験代、授業料……負担が大きすぎました。もう少し金銭面についてもっと調べておくべきでした。次男は公立確定です」(N.Nさん/中1の男の子のママ)

中学受験をサポートする保護者の方へ

最後に、お子さんの中学受験を控えるすべてのママやパパに、西さんからメッセージをいただきました。

「中学受験は、親子で臨む初めての大きな挑戦だと思います。年単位での心、体力、学力、すべての準備が必要になり、小学生のお子さんにとっても、サポートする親御さんも大変な努力をされてきたことは、先輩ママとしてよく理解できます。
受験勉強は、結果にすぐ結びつくと楽しさに変わりますが、なかなか結果が出ないと、イライラしたり、努力が足りないのでは、と不安に思ってしまうこともあると思います。

そんな時は、お子さんが結果を出せるか出せないかより、お子さんが必要としているサポートや応援する言葉がけを親御さん自身ができているかどうかを、まずご自身に問いかけてみてください。
わが家の息子たちも机に向かうことを苦しんだり楽しんだりしながらも、受験勉強を続けてきました。私も必要なサポートは何か、悩んだり迷ったり試行錯誤した日々でした。今、息子たちが小学生の頃からなりたかった未来の姿に近づいているのは、好きなサッカーも尊重して、子ども時代や青春時代を過ごせたことも大きな要因だと考えています。心身の健康をバランスよく成長できたことで、夢や目標も諦めず、勉強も続けられたのだと思います。

大きな挑戦をするお子さんはまだ小学生ということを常に心に留めて、勉強時間、遊び時間や好きなことをする時間がバランスよく持てる工夫をしてあげてください。バランスがとれていれば、努力もできるし、結果も次第についてきます。焦らないでください。

受験勉強は辛いことだけではなく、学校の授業よりさらに多く、深く知ることの楽しさ、わかることの楽しさを味わうことができます。お子さんには、たくさん知るチャンスがあることを楽しんでいただきたいと思います。

子どもはあっという間に大きくなって、親元から羽ばたいていきます。お子さんの挑戦をそばでサポートでき、応援できる幸せを常に感じ取ってください。ただし、出過ぎず、引き過ぎず、お子さんに合ったちょうど良い距離を保ってください。いつかお子さんが、ご両親の応援に応えてくれる日が来ます。

最後に、受験生、ご家族の皆さん、受験という経験を楽しみ、合格を勝ち取ってください!応援しています!ここまでお読みいただき、ありがとうございました」

教えてくれた人

西和美さん

中学受験アドバイザー

双子の母。長男次男とも中学受験をし、別々の私立中高一貫校へ進学。その後、大学受験で国立大学へ(東京大学 / 東京医科歯科大学)。受験は親子関係が大切であり、ママの負担も大きい。自身の経験から中学受験のサポートに悩むママたちの心に寄り添ったサービスを提供している。
サポート詳細や受験期ママへのヒントはブログにて

知っておきたい中学受験のこと