2023.08.11

暮らすなら子育てしやすい“まち”がいい!|子育て世帯にうれしい・やさしい制度のある自治体

Column

初めての出産やきょうだいが増えるとき、子どもの幼稚園・保育園入園や小学校入学のタイミングなど、ライフステージが変わるときに住まいを変える子育て世帯は少なくありません。このとき、独身時代の引越しとは異なり、子育てをする視点での住まい探しをする方もいるでしょう。
そこで今回は、東京23区の手厚い子育て支援をフィーチャー。自治体独自のママやパパにうれしい助成制度やサポートをチェックしましょう。

妊娠したらもらえる手当やプレゼント

妊婦健診をはじめ、赤ちゃんを迎える準備など、出産前から何かとお金はかかるもの。妊娠中からのサポートはうれしいですよね。
ここでは、妊婦さんを対象にしたサービスの一部をご紹介します。

◆45,000円の誕生準備手当を支給
千代田区では、妊娠20週以降から出産までの方に、一妊娠につき、一時金として 45,000円を支給されます。

◆最大10万円の助成金を支給
渋谷区では「ハッピーマザー出産助成金」により、1人の出産につき、限度額10万円の助成金が支給されます。

◆妊娠中に面接を受けると10,000円分の商品券
台東区では妊娠期に保健師による「ゆりかご・たいとう面接」を受けると、妊娠出産応援プランを作成してもらえるほか、面接終了後に「こども商品券10,000円分」を受け取ることができます。新宿区では「出産・子育て応援事業(ゆりかご・しんじゅく)」を実施。妊娠期に看護職と面談すると、後日、「ゆりかご応援ギフト1万円相当」が送付されます。

◆妊婦一人につき5万円相当のギフトカードを支給
世田谷区では、妊娠の届出を行い、妊娠中に区の「ネウボラ面接(妊娠期面接)」を受けると、出産応援ギフト(妊婦一人につき5万円相当のギフトカード等)が支給されます。

◆育児用品一式が届く
渋谷区では保健師による妊婦面接時に申請書を記入すると、肌着・ベビー服、スタイ、体温計、ガーゼ、バスタオル、おもちゃ、爪切りなど産後必要な育児用品が届きます。

◆5,500円分のマタニティパスを支給
葛飾区で親子健康手帳(母子健康手帳)の交付を受けて申請すると、5,500円分をチャージした交通系ICカードが支給されます。

◆マタニティフォトをプレゼント
豊島区では、妊娠期の「ゆりかご面接」を終了した妊婦の方にマタニティフォト撮影券かおくるみ2点セットのいずれかが贈られます。どちらか好きな方を選べるのだそう。

出産費用や産後ママのための助成や手当

出産費用の自己負担を抑えるために、国が行なっている助成制度として妊婦健診費用の助成や出産育児一時金、出産手当金などがありますが、これとは別に、各自治体では、さまざまな女性を独自で行なっています。

◆出産費用の助成
港区は出産にかかる分娩費・入院費など、区で定める助成金算出上限額または出産費用の実費額のいずれか低い額から、出産育児一時金等を差引いた全額を助成します。

◆出産児1人につき5万円の助成
世田谷区では出産の日から1年以内に申請すると、出産児1人につき5万円の助成金が支給されます。

◆第3子以降に誕生祝金を支給
練馬区では、3番目以降に出生したお子さん1人につき、第3子誕生祝金10万円が支給されます。

◆月額13,000円の養育手当てが12回まで支給
江戸川区では、0歳児を養育している方に月額13,000円が12回まで支給される「乳児養育手当」があります。※所得制限あり

◆産後ケア施設を実質無料で利用
世田谷区では、ネウボラ面接(妊娠期面接・産後面接)の際に配布される「せたがや子育て利用券」で、母子ショートステイや母子デイケアをはじめ、地域の産前・産後サービスが利用できます。

◆ベビーシッター利用時に受けられる助成
北区と葛飾区では、24時間 365日、0~5歳児クラス(未就学児)の児童一人あたり1時間 2,500円上限でベビーシッター利用料の助成を受けることができます。夜間(午後10時〜翌朝午前7時)はともに1時間 3,500円が上限です。
その他、利用時間によって上限額は異なりますが、荒川区、豊島区、千代田区、中央区、品川区、目黒区、足立区、文京区などでベビーシッター利用時の助成が受けられます。

◆産後ドゥーラ利用時の助成
品川区では、生後1歳になるまでの乳児を育児中の方が、品川区と提携している産後ドゥーラの家事・育児支援サービスを利用した場合、プランニングは1,000円(1回限り)、支援サービスは利用時間1時間につき2,700円の助成を受けることができます。産後ドゥーラの利用料金は1時間につき3,000円程度なので、実質1時間300円ほどで利用できることになります。

◆助産師さんによる産後ケアやアドバイスを助成
板橋区では、助産師が自宅に訪問し、育児相談やママの体調管理、乳房ケアや授乳のアドバイス、沐浴指導(生後28日以内)を1回につき600円で受けられます。板橋区独自の子育て世代を応援する利用券「すくすくカード」の利用で2回まで無料。
大田区では訪問型産後ケアが1回500円(3回まで)で受けられます。

◆宿泊・日帰り・訪問すべての産後ケアを助成
荒川区では、宿泊型・日帰り型・訪問型の3つの産後ケア事業を展開。住民税課税世帯は、宿泊型は実質5,000〜8,000円、日帰り型は実質4,000〜6,000円、訪問型は実質1,000〜2,500円で利用することができます。

子育て世帯の家賃や家の購入費の助成

家計の中でも大きな割合を占める住居費や家の購入費の助成があったら、子育て世帯としては大きなメリットです。区が行う住宅助成の一部を紹介します。

◆ファミリー世帯転居費用助成
北区では、18歳未満の子どもがいるファミリーが、子どもの成長にあわせて区内の広い部屋に転居した場合の助成制度があります。ただし、北区に住民票があり、1年以上住み続けている、親子以外の同居人がいないなどの条件があります。

◆最長5年間、最大3万円の家賃助成
新宿区は、ファミリー向けの家賃補助制度が充実。民間賃貸住宅に住むファミリー世帯が対象の「民間賃貸住宅家賃助成」は、一年に一度、毎年10月に申し込みを募集しています。家賃最大3万円の助成を最長5年間受けられます。
新宿区はほかにも、義務教育修了前の子どもがいる世帯が区内の別の部屋に転居した際、引っ越し費用最大10万円、転居前後の家賃差額最大3.5万円の助成が受けられる「次世代育成転居助成」を年3回募集しています。

◆別の区からの転居者が対象の家賃助成制度
豊島区は、別の区から豊島区に引っ越しして子育てをする世帯を対象とした助成制度があります。助成金額は転居前の家賃との差額の一部。月額2.5万円までが上限です。

◆1年目は世帯人数×1万円の助成
千代田区の「次世代育成住宅助成」は、千代田区内の民間賃貸住宅またはマイホームへの住み替えをする世帯のうち、区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯または子育て世帯か、区内に引き続き1年以上居住している子育て世帯を対象にした制度です。
1年目は、世帯人数×1万円の助成を、2年目以降は1年目の助成額から1割ずつ減額されますが、最大8年間助成を受けることができます。

◆フラット35子育て支援型
台東区では、台東区三世代住宅助成(要件あり)を利用する方が【フラット35】にて融資を受ける場合、補助金の交付と合わせて、当初5年間の借入金利を年0.25%引き下げる優遇があります。

子どもの医療費の助成

近年、子どもの医療費助成制度は、全国的に対象年齢が拡大する傾向にあります。東京23区では、2023年度から、医療費助成の対象が、中学生から高校生まで拡大されました。
所得制限もなく、実質東京23区では、高校生までの子どもは医療費が一律無料となっています。

学校給食費無償化

区立の学校給食無償化は、2023年度4月から葛飾区、品川区、北区、世田谷区、荒川区、台東区、中央区、足立区(小学校は10月から)が実施。6月からは大田区も無償化となりました。
このほかに板橋区、豊島区、杉並区、文京区、千代田区、港区、墨田区、江東区、江戸川区が今年度の途中から導入を決めたり、導入の意向を示しています。来年度以降は葛飾区、北区、江東区が続ける方針を示していますが、未定としている自治体も多くあります。




同じ東京都でも、区によって助成にさまざまな違いがあることがわかります。子育て世帯にやさしいまちは、みんなにとってやさしいまちでもあります。引っ越しを考えている方は、気になる区の子育て支援制度についてじっくり調べてみるといいでしょう。



文/羽田朋美(Neem Tree