【#7119】と【#8000】の使い方
スマホやプッシュ回線の固定電話で【#7119】もしくは【#8000】をプッシュすると、住んでいる都道府県の相談窓口に自動転送され、専門家から症状に応じた対処方法や受診する病院の案内などのアドバイスを受けられます。
【#7119】は全年齢対象ですが、【#8000】は子どもが対象です。患者がお子さんの場合、実施時間内であれば、【#8000】を利用するとよいでしょう。
【#8000】は全国どの地域からも利用できます。一方の【#7119】は、消防庁が全国普及を進めていますが、現在は利用できる地域が限られています。お住まいの地域が利用可能かどうか、ぜひ調べてみてください。
救急電話相談窓口
【#7119】 (救急安心センター事業) |
【#8000】 (こども医療電話相談事業) |
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利用できる地域 | |
利用できる地域が限られる 都道府県内全域:19地域 宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、長野県、岐阜県、京都府、大阪府、奈良県、鳥取県、山口県、徳島県、愛媛県、高知県、福岡県 都道府県内一部:5地域 札幌市周辺、横浜市、神戸市周辺、田辺市周辺、広島市周辺 ※令和6年1月現在 |
全国で利用可能 |
受付時間 | |
原則24時間 365日利用可能 |
おもに 19:00~翌朝 8:00 |
対象年齢 | |
全年齢対象 | 小児(おおむね15歳以下) |
症状と相談例 | |
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出典:総務省消防庁「救急車の適時・適切な利用(適正利用)」厚生労働省「上手な医療のかかり方.jp 」
【#7119利用体験:1】深夜に歯の激痛! 救急車を呼ぶべき?
筆者も【#7119】を利用したことがあります。同居の父が真夜中、突然の歯の痛みに襲われたことがありました。これまで経験したことのない痛みだったようで、心配した母からSOSを受けましたが、救急車を呼ぶべきか迷い、ひとまず【#7119】に電話することにしました。
◆つながるまでの時間
番号をプッシュすると、10コールほどで、女性の声の応答がありました。「救急電話相談」か「医療機関案内」、どちらを希望するか質問がありました。「救急電話相談」と回答すると、患者の年齢、性別、症状、患者との関係性について聞かれました。
◆症状を伝える
痛みはいつから続いていて、痛む箇所や痛みの強さなどは父に確認しながら伝えました。症状を的確に伝えることが大切なので、患者の様子をしっかりとチェックしておきましょう。症状をつぶさに伝えられるように、患者のすぐ近くで電話することをおすすめします。
◆医療機関を案内してもらう
電話で話しているうちに父の歯痛が少しずつ和らいできたので、そのことを伝えつつ、父の意向も聞いて、受診可能な医療機関を案内してもらうことに。自宅から車で30分程で行ける病院を3ヵ所ほど紹介してもらいました。このとき、メモする必要があるので、あらかじめメモ帳と筆記具を用意しておきましょう。
◆電話口の対応
電話を切ったあと、幸いにも症状が治まったので、翌日かかりつけの歯科を受診するということでその晩は休むことにしましたが、とても丁寧に対応してくださったので、電話を切るころには気持ちが落ち着いていました。当初、父はとても苦しそうな様子だったので、【#7119】をプッシュするときは、私の心臓はバクバクし、緊張状態にあったのです。
電話口の専門家の方の対応は、毎回電話をかけてきた人の心情を察して、寄り添うような対応を心がけているのだろうなと感じるものでした。
症状の聞き取りを細かくしてくださり、「痛みがどんどん強くなる、顔が青ざめてくる、呼吸が苦しくなるなどの症状があったら、すぐに救急車を呼んでください」といった具体的なアドバイスをいただけたことも安心材料につながりました。利用してよかったと思いました。
【#7119利用体験:2】夫不在時に子どもがけいれん(痙攣)!
長女が1歳の時、夜9時頃に自宅で熱性けいれんを発症しました。
その日は発熱のため、保育園も休み小児科をかかってから自宅で診ていたときでした。
初めてみる子どもの突然のけいれん状態にものすごく慌てたのと、その時主人はまだ仕事から帰宅しておらず、私ひとりで直面したので、頭の中はどうしようかとパニックでした。
◆目のつくところに#7119のパンフレットを
幸い、区役所で【#7119】のパンフレットを健診の際にもらっていて、何かあった時用にと冷蔵庫にはっておいたのをすぐに思い出して、すぐに電話をすることができました。
【#7119】という番号の存在を知っていたのはとてもよかったと思います。
◆症状を伝える→119番につなげてくれた
子どもがけいれんをしているときに【#7119】に電話をしたところ、すぐに女性のオペレーターの方が出た記憶があります。
聞かれた内容は「年齢」「症状」「いつから」などだったと思います。子どもが1歳くらいだったのと、すでに39度以上の熱が朝からあると伝えたところ、即、救急車を呼びましょうと判断してくれて、そのまま119番につなげてくれました。
【#7119】経由の救急だったからか、住所を聞かれて3分後には救急車が到着していました(消防署がすぐ近くというのもありますが……)。
結果的には、高熱だったため救急病院でけいれん予防の点滴をして、再発がなかったので帰宅しました。実際には病院で熱を測ってみたら40度を超えていて、点滴を打てたのは非常に助かりました。
自分の判断では救急車が必要かわからなかったときに、優しい女性のオペレーターの方と話すことによって少し落ち着けたのと、オペレーターの方の判断で呼んでいただけたのは心強かったです。
緊急・重症の場合は迷わず119番へ!
<救急車を呼ぶ手順>
1.「火災」か「救急」か聞かれるので、「救急車が必要です」とはっきりと伝える
2. 救急車が来て欲しい場所をはっきり分かりやすく伝える
3. 通信指令員の指示に従って、患者の症状・年齢・性別などを伝える
4. 救急車の到着前に応急手当てが必要な場合は方法を聞き、それに従って可能な限り実施する
<ためらわずに救急車を呼んでほしい症状>
子ども(15歳以下の場合)
顔
・くちびるの色が紫色
・顔色が明らかに悪い
頭
・頭を痛がってけいれんがある・頭を強くぶつけて、出血が止まらない、意識がない、けいれんがある
おなか
・激しい下痢や嘔吐で水分が取れず食欲がなく意識がはっきりしない
・激しいおなかの痛みで苦しがる
・嘔吐が止まらない
・便に血がまじった
胸
・激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう
・呼吸が弱い
手足
・手足が硬直している
そのほか、意識がない(返事がない)、もうろうとしている、けいれんが止まらない、けいれんが止まっても意識がもどらない、虫に刺され全身にじんましんが出て顔色が悪くなった、生まれて3カ月未満の乳児の様子がおかしいなどの症状がある場合も、すぐに救急車を呼びましょう。
出典:消防庁「救急車を上手に使いましょう〜救急車 必要なときはどんなとき?〜 」
「救急車を呼ぶほどではないかもしれないけれど、ちょっと心配」「今すぐ受診しなくても大丈夫かな」……そんなときに助けとなってくれるのが、「救急安心電話相談 #7119」と「こども医療でんわ相談 #8000」です。 実際に【#7119】を利用した筆者も、専門家に相談したことで、最適な選択をすることできました。何よりも、不安感が解消されたことが大きかったです。いざというときのために、覚えておくことをおすすめします。
文/羽田朋美(Neem Tree )