2020.03.27

プログラミング教育の小学校必修化、家庭でできるフォローは?

Column

いよいよこの4月から、全国の小学校でプログラミング教育が必修化されます。しかし、どんな目的で必修化され、実際に何を学ぶのかわからない保護者は多く、戸惑いの声も聞かれます。
そこで、プログラミング教育のねらいや授業の内容、保護者がサポートできることなどを見ていきましょう。

プログラミング教育の必修化は、何のため?

そもそも、プログラミング教育は、なぜ小学校に導入されることになったのでしょうか。

小学校プログラミング教育の導入は、中央教育審議会における学習指導要領の改定に向けた議論の中で検討されました。文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引」の内容を要約すると、導入の理由は以下の通りです。


〈プログラミング教育導入の理由〉

●急速にデジタル化が進み、コンピュータをより適切に選択し、活用して問題を解決していくことが不可欠な社会が到来しつつある。コンピュータを効果的に活用していくためには、その仕組みを知ることが重要である。

●コンピュータは人が命令を与えること(プログラミング)によって動作するわけだが、自分が求める動作をさせる方法とコンピュータの仕組みの一端を知ることにより、より主体的にコンピュータを活用することができるようになる。

●こうしたプログラミング教育は、子どもたちの可能性を発掘し、将来の社会で活躍するきっかけとなりうる。プログラミングの能力を開花させ、想像力を発揮して企業する若者も増えている。

●このように、コンピュータを理解し積極的に活用していく力を身につけていくことは、これからの社会を生きていく子どもたちにとって、将来どのような職業に就くとしても、極めて重要なことである。

こうした理由と、諸外国においても初等教育段階からプログラミング教育を導入する動きが見られることもあいまって、今回の学習指導要領改定において、小学校のプログラミング教育必修化が決定しました。

どんな授業になるの?

プログラミングの授業と聞いて、コンピュータでプログラミング言語を覚えて文字の入力などを学ぶと思われる方は少なくないでしょう。しかし、前述の「小学校プログラミング教育」の手引きにも、「子どもたちがおのずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりするといったことは考えられるが、それ自体をねらいにしているわけではない」と書かれているように、「プログラミングのスキル」を身につけることが授業の目的ではありません。
小学校でのプログラミング教育の最大のねらいは

プログラミング的思考(論理的に考える力)を身につけること

です。プログラミング的思考とは、簡単に言えば、物ごとを順序立てて正しく分類・分析し、実行に移す力のこと。

プログラミング教育の授業内容については、新学習指導要領では、特に「算数」「理科」「総合的な学習の時間」において、プログラミングと関係した学習活動を行うことが例示されています。
しかしながらこの時間のみならず、さまざまな教科・学年・単元で取り入れたり、企業や大学、市民ボランティア、NPOなどと連携したりして、子どもたちがプログラミングを体験しながら論理的思考力を身につけるための学習活動を行う必要があるとしており、授業内容も各学校の教育目標や学校の実態によってさまざまとなりそうです。

親のフォローは? 家庭でできることはある?

小学校でプログラミングの授業が始まるにあたり、気になるのが、親として、どんなサポートをしてあげられるか。実際に、プログラミングに親しめる環境を用意している3人のママの声をご紹介します。

「昨年から始めた幼児向けの通信教育で、この春からプログラミング的思考を学べるプログラムがスタートします。紙の教材とデジタルゲームが連動していて、キャラクターを実際に動かしたりできるそう。フォローというほどではないかもしれませんが、幼児期からプログラミング的思考を学べるのは良いことだと思っています」
(R.Hさん/5歳の男の子のママ)

「聞かれても親が教えられないので、プログラミング教室を検討しましたが、高額なので断念。そこで、無料アプリを使わせてみることに。『プログラミングゼミ』という、ブロックをつないでキャラクターを動かして遊ぶアプリを使っています。自分だけのプログラム作品が作れるのが楽しいようで、すっかりハマってしまいました。ゲームとは違うと思いつつも、何時間もやらせるのはどうかと思い、今は1日1時間とルールを決めて学習(?)しています」
(T.Tさん/4歳と8歳の女の子のママ)

「楽しいだけではなく、ためになるものをあげたいと思った結果、昨年のクリスマスプレゼントはプログラミングトイに。パソコンやタブレットの画面を見せるのは抵抗があったので、高価ですが、aliloという知育ロボットにしました。パネルを組み合わせてコースをつくり、ボタンを押してプログラミングしたアリロをゴールまで走らせて姉弟なかよく遊んでいます。初めてのプログラミングに自然と親しむことができてよかったです」 (R.Kさん/3歳の男の子と5歳の女の子のママ)



「プログラミング教育」と聞いて、「どんなことを学ぶのか想像がつかない」「いろいろと対策を練らなくては!」と、保護者は心配になりますが、次世代を生きる子どもたちは、そんな心配をよそに、すんなりと適応していくのかもしれません。
幼児期からプログラミング学習を始めるなら、まずは自宅でママやパパと楽しみながら取り組めるプログラミングトイや教材がおすすめです。
道筋を立て、考え、ゴールを目指すというプログラミングの一連の流れを一緒に行う時間は、きっと楽しい親子時間となることでしょう。