2020.10.23

先輩ママ発! 「上の子かわいくない症候群」私はこう乗り越えました

Column

「上の子かわいくない症候群」という言葉をご存知でしょうか? 下の子が生まれてから、急に「上の子がかわいいと思えない」と感じる状態を指します。
多くの場合、上の子もまだ小さい時期(2〜5歳くらい)に起こり、ちょうどイヤイヤ期の手のかかる時期に重なっているご家庭も少なくありません。上の子をかわいく思えないことへの罪悪感と、イヤイヤ期の板挟みで、苦しむママも。
そこで、「上の子かわいくない症候群」を乗り越えた先輩ママたちの体験談とメッセージをお届けします。

「上の子かわいくない症候群」私の場合

まずは、3人の先輩ママが「上の子をかわいいと思えない!」と感じていたときの状況についてお話ししてもらいました。

「二人目は低出生体重児で、生まれつきの持病がありました。退院後しばらくはNICU*に母乳を届ける日々で、精神的にも体力的にも疲労困ぱい。
ある日、病院から帰ってくると、4歳の長女が背中に飛びついてきました。それを、私は反射的にふり払ってしまったんです。長女は驚いたのと悲しいのとで、大泣き。私も自分自身の行動に驚いて、大泣き。
以来、長女が甘えてくるたびにふり払いたくなるのをガマンする自分が心底冷たい人間に思えて、自己嫌悪しました」
(小学1年生の女の子と小学5年生の女の子のママ)
* 新生児集中治療室のこと。

「弟ができるのをずっと楽しみにしていた長男。でも、いざ生まれるといじわるや焼きもちがひどくて、本当に手を焼きました。しかも私や夫がいないところで次男の足をつねったり、顔に油性ペンで落書きをするんです。
その度に長男のことが憎たらしく思えて、しばらくは本気でかわいく思えませんでした」
(2歳の男の子と5歳の男の子のママ)

「上の子が女の子だったので、初めての男の子のかわいさにメロメロ。思い返せば、退院して自宅に戻った頃から、息子ばかりかわいがっていました。でも、自分ではそんなつもりはなかったんです。
一度、夫から、娘に厳しすぎると指摘がありました。そしてようやく娘をかわいくないと思っている自分に気づきました」
(3歳の男の子と6歳の女の子のママ)

「上の子がかわいいと思えない」に解決策はあるの?

続いて、「上の子をかわいいと思えない!」という感情とどう向き合い、どう乗り越えていったかをお聞きしました。

「NICUの看護師さんに相談しました。すると意外にも、NICUでは同じ悩みを抱えるお母さんが多いという話を聞きました。そのとき看護師さんがかけてくれた『ここ(NICU)を卒業するまでは、仕方ないよ。ママ、めちゃめちゃ頑張ってるもん!パパに助けてもらおう!ママの分も、お姉ちゃんのことをうーんと甘やかしてもらおう!』という言葉に号泣。夜中の搾乳や次女の体重がなかなか増えないことで、知らず知らずのうちにストレスを溜めて込んでいたのだと思います。
その日、時間をもらって初めてマッサージに行きました。体の凝りだけでなく、心の中に溜まっていたものも流れ出す感覚がありました。自分を大切にする時間を過ごしたら、長女にも以前のように向き合えるようになりました。
そして、特殊な環境の中で長女だって頑張っていることがわかり、いとおしさでいっぱいになりました」
(小学1年生の女の子と小学5年生の女の子のママ)

「弟へのいじめを、あるときいつも以上にすごい剣幕で怒ったんです。“なんでそうやって弟をいじめるの!まだ赤ちゃんなんだよ!かわいそうでしょ!”って。すると、長男は涙をポロポロ流し、“ぼくだってママ取られちゃって、かわいそうでしょ!”と。
その姿に、涙腺が崩壊。“そうだよね、さみしかったんだよね。我慢させちゃってごめんね”と、長男を抱きしめながら二人でわんわん泣きました。
以来、長男の次男へのいじめは激減。私も長男を以前のようにかわいいと思えるようになりました」
(2歳の男の子と5歳の男の子のママ)

「娘をかわいくないと思っている自分に気づいた後は、ひたすら自己嫌悪の日々。あるとき勇気を出してママ友に相談してみたら、“私もあるよー!だって、赤ちゃんかわいいじゃん”とあっけらかんと言われ、拍子抜けしました。
でも彼女は、上のお子さんをかわいく思えないと感じて少しして、上のお子さんが生まれたときの写真やムービーを見直したそうです。
すると、“こんなに小さかったのに、大きくなったなぁ”、“私、よく育てたなぁ”と、自分を褒めたい気持ちでいっぱいになったと言っていました。自分を肯定したとたん、4歳の上の子がいて、0歳の下の子がいるという今にとても幸せを感じたそうです。
私も同じことをしたら、長女も長男もかわいく思える自分に戻ることができました」
(3歳の男の子と6歳の女の子のママ)

同じ思いを抱えるママへのメッセージ

「上の子をかわいいと思えない!」ことに悩むママたちに向けて、同じ経験をした先輩ママからのコメントをお伝えします。

「“上の子かわいくない症候群”に悩むママは、真面目で頑張り屋さんが多いと聞きました。きっと、自分ひとりで抱え込んでしまい、余裕がなくなった結果、ふたりになった子どもたちに平等に愛情を注げないという状況になってしまうのだと思います。
だから、大切なのはひとりで頑張りすぎないこと!まずはパパに自分の気持ちを話し、協力を求めることが、解決の糸口だと思います」
(小学1年生の女の子と小学5年生の女の子のママ)

「上の子は下の子が生まれて、うれしさの反面、ものすごい葛藤を抱えているということを、まずは大前提にするといいのかなと思います。私自身、そのことがわかっていたら、長男をもっと抱きしめたり、気にかけたりしていたでしょうから、長男の次男に対するいじめもエスカレートしなかったはず。赤ちゃんと上の子を比べると、上の子はだいぶ大きく感じるけれど、世間的にはまだ小さな子どもだということを、ぜひ心に留めてもらいたいなと思います」
(2歳の男の子と5歳の男の子のママ)

「私は同じ経験をしたママ友に救われたので、同じ経験をした人の話を聞けるといいと思います。そのママ友は、下の子をおじいちゃんおばあちゃんに預けて、上の子とお出かけする時間を作ったのもよかったと言っていました。
あとは、何しろ自分を責めないこと!それに尽きます。“上の子かわいくない症候群”は一過性のものなので、必要以上に罪悪感に苛まれないでくださいね」
(3歳の男の子と6歳の女の子のママ)



「上の子がかわいく思えない」過去の経験を思い出すとき、思わず涙ぐむママの姿も。本当は上の子だってとってもいとおしい存在なのに、かわいく思えないのは、ママにとってもつらいことですよね。
どうか一人で悩まずに、周りの助けを借りたりアドバイスを得たりしながら、乗り越えていただきたいと思います。