2023.09.15

[保育士監修]保育士さんに聞いた!|子どもの感性を育てる秋の外遊び

Column

35°cを超える危険な猛暑は落ち着き、朝晩は少しずつ涼しくなってくる秋。ようやく熱中症の危険性が和らいだ中で外遊びができる季節の到来です。秋といえば、芸術の秋。子どもの遊びに、豊かな感性や創造性を育む要素を取り入れてみませんか。
保育士の加藤沙織先生に、簡単なうえに子どもの感性を育てる秋遊びのヒントをお聞きしました。

秋の外遊び、おすすめ5つ!

色づく広葉樹に、どんぐりや松ぼっくりなどの木の実。秋の公園は、季節を感じられる自然の贈りものであふれています。
さっそく、落ち葉や木の実を使った、楽しい外遊びをチェック!

1. 落ち葉拾い・どんぐり拾い

「1〜3歳の子どもは、何かを拾ったり集めたりするのが大好きです。秋ならではの落ち葉やどんぐりは、他の季節には見られない自然の赤や黄色をしていたり、見た目がかわいらしいので、子どもにとっては宝物。
“拾う”というシンプルな動作ですが、お子さんはたくさん集めた色とりどりの落ち葉やどんぐりに大満足するでしょう。ぜひビニール袋持参で公園探検をしてみてください」
(保育士・加藤沙織先生、以下同)

2. お店やさんごっこ

「拾った落ち葉やどんぐりで、お店を開きます。地面に丸を描いてお皿に見立て、そこに落ち葉やどんぐりをディスプレイして遊びます。
『赤い葉っぱはここのお皿ね』『どんぐりはこっちだよ』こんなやり取りをすることで、仲間分けを楽しんだり、実際にお店やさんのように、売り買いをして遊ぶこともできます。『これください』『○○円です』のやり取りは、子どもが大好きなシチュエーション。1歳のお子さんなら、『どうぞ』『ありがとう(頭をちょっと下げる)』のやり取りを楽しむのもいいと思います」

3. お鍋でお料理ごっこ

「どんぐりはお豆、葉っぱは野菜、枝は麺、石はお肉などに見立てます。お鍋を上から見た絵を地面に描き、そこに葉っぱの野菜やどんぐりのお肉などを入れて、お料理を楽しむ遊びです。『一緒にまぜまぜして作ろう』『次はお野菜入れてください』と声をかけると、ママやパパがお料理をしているところを見ている子どもたちは、よろこんでお料理のまねっこ遊びをします。
お鍋じゃなくてもOK! フライパンを描いてお料理ごっこをしてもいいし、網をかいてバーベキューごっこをしても楽しいです。木の枝に葉っぱを刺して、バーベキューの串のできあがり(木の枝を持って動くと危ないので、そこには気をつけてあげてください)!
さまざまな色をした葉っぱを使うことで、この季節ならではの素敵なごちそうができます。」

4. 落ち葉の道とお山遊び

「落ち葉で道を作ったり、山を作って踏み歩く遊びです。秋の落ち葉を踏んだフワッ、パリッとした感触は、ほかの季節では味わえません。子どもにとっては聞きなれない音も新鮮で楽しいはず。
また、落ち葉のお山はたくさん落ち葉が出る季節だからこそ。この時期にしか作れません。お子さんは、落ち葉の音を楽しんだり、落ち葉のお山をくずしたり、そこでジャンプしたりと、葉っぱが散らばったり舞ったりする様子を楽しむでしょう。落ち葉を少しだけ、パラパラと雨のように落として遊ぶのもおすすめです」

5. お顔作り

「葉っぱやどんぐりを使って、顔を作って遊びます。地面に丸を描いてあげて、『ウサギさんの目は赤いから、赤い葉っぱにしよう』『耳は長いから、長い葉っぱがいいね』などとお話しながら顔を作ってみたり、3歳くらいになると、『目はどこに置こうか?』と問いかければ、自分で置くこともできるでしょう。『○◯ちゃんの目はクリクリまんまるだから、どんぐりを使おう』などと、秋の落ち葉やどんぐりを使って、自分で自由に表現することを楽しめます」

感性を育むサポートや声かけとは?

「子どもの“やりたい!”に共感して、大人も一緒に楽しむことが一番大切です。1〜3歳は、楽しそうと感じる小さなきっかけから、遊びにのめり込んでいきます。どんぐりというものが、なんだか楽しそうだから集めるのに夢中になる。
でも、それを使って“どう遊ぼうか”に発展させるためには、ママやパパがちょっとお鍋を描いてお料理してみたり、落ち葉で山を作ってみたりするなど遊びのきっかけ作りをしてあげると、子どもの想像力が広がり、もっと遊び込むことができるようになります。
また、遊びのきっかけ作りのために、『お鍋に葉っぱのお野菜入れて、ジュージューしようか?』と誘う声かけをしたり、『○○円です』『どうぞ』など楽しめる声かけをしたりすると、子どもの気分も上がり、遊びの世界に入り込みやすくなります。
さらに日常の会話で使っている言葉をごっこ遊びの中で使ってあげると、子どもは遊びを日常の出来事からイメージしながら遊びを楽しめます」

安全に遊ぶために注意したいこと

楽しい外遊びですが、子どもたちが安全に遊ぶためにも、大人は細心の注意を払う必要があります。保育のプロが外遊びのときに注意するポイントを教えてもらいました。

1. 誤飲に注意!

「1〜3歳では、何でも口に入れてしまうことが考えられる年齢です。特にどんぐりは、“食べれるかも”と子どもが思ってしまいがちなので、口に入れないように気をつけてあげてください。
同様に、空き缶・タバコ・ガラスなども、子どもは危険なものとはわかりません。触ると危ないものはゴミ箱に捨てたり、少し離れた場所で遊んだりするようにしてください」

2. 子どもから目を離さない

「決してお子さんから目を離さないようにしましょう。1〜3歳は、大人が想像していないような動きをします。前を見ずに走って木にぶつかりそうになったり、危ないものを持っていたりするなど、大人はヒヤッとすることも、子どもにはわかりません。防犯も意識しながら、楽しく遊ぶ中にも、緊張感は持つようにしましょう」

3. 危険なキノコや虫に注意する

「都市部の公園でも、猛毒キノコ『カエンタケ』の自生が確認されるなど、公園だからといって安心ではありません。毛虫・スズメバチは、秋にもいるので気をつけておきたいです。ゲジゲジした虫や、トゲトゲした植物は、保育中、触らせません。
また、キノコも害があってもなくても触らせません。『さわっちゃダメだよ』の声かけは、言葉がわからない年齢でも必要です。言葉がわからなくても、ママやパパの言い方や雰囲気で、子どもはダメなことを察します。
どうしても興味を持ってしまったら、『さわったら危ないから見るだけね』と、一歩下がった所で一緒に見るなどの対応をしてあげると、お子さんの好奇心も大切にしつつ、危ないことも伝えられます」

4. 動きやすい服装で遊ぶ

「どんぐりや落ち葉を拾う動作は、立って座っての繰り返しです。しゃがみやすいかな? 腕は曲げ伸ばししやすいかな? という点に注意しながら、元気いっぱいに動ける服装で楽しんでください」

虫がいないどんぐりの見分け方

「おうちに持ち帰ったどんぐりから虫が出てきたら、ショックですよね。どんぐりの中にはハイイロチョッキリというゾウムシの仲間が小さな穴を開けて入ってくるので、見た目で判断するのは難しいです。
どんぐりに虫がいるかどうかは、水につけて調べることができます。沈むどんぐりには虫がいません。自宅で遊びや工作に使う場合は、水に沈んだどんぐりをよく乾かしてから使いましょう」



「秋は、今まで緑だった葉っぱが赤や黄色に変わり、落ち葉を踏むと初めての感触や音が楽しめます。そして、そこから得た気づきが遊びにつながっていきます。音が楽しいから、もっと落ち葉の上を走ってみよう! どんぐりや赤い葉っぱでお料理したら、おいしそうなご飯が作れそう! そんなワクワクした気持ちが、自由に表現する事を楽しむ気持ちや、次はこうしてみようと考える力になりますよ」と、加藤先生。
この時期ならではの新しい経験を、ママやパパも子どもと一緒に楽しみましょう。心から楽しむママやパパの笑顔も、お子さんの豊かな感性を育むうえで欠かせません。

教えてくれた人

加藤沙織さん╱保育士、ライフオーガナイザー

聖学院大学人文学部児童学科を卒業。幼稚園に9年間勤務した後、歯科医院や美容院のキッズルームで働く。結婚後に保育士免許を取得し、保育園で働きながらライフオーガナイザーとして、片付けサービスを提供中。小学2年生のママ。 Instagram



文/羽田朋美(Neem Tree