フードストーリー
改めて掘り下げる〈ヨックモック〉の魅力。みんなに愛され親しまれる、ブランドの代名詞「シガール®」のこだわりや味わいの秘密も。
ギフトの定番にして王道〈ヨックモック〉。多くの人に愛される人気ブランドですが、おなじみすぎて詳しいことは意外と知らないのでは? 今回は、ブランドの歴史や「シガール®」誕生までのお話などを、株式会社ヨックモックの商品部商品開発グループでリーダーを務める濱さんに改めて教えていただきました。夏の時期限定となる「ドゥーブル ジュレ」や3種類のシガールが一度に味わえる「セットデリス」についてもご紹介します!
答えてくれたのはこの人
商品部 商品開発グループ
濱 大規さん
もくじ
01. 知っていましたか?〈ヨックモック〉の歴史や成り立ち 02. 「シガール®」誕生の背景とおいしさの秘密 03. おなじみのブルーの“シガール缶”は3代目 04. 3種のシガール®を一度に味わえるのは「セットデリス」だけ! 05. 夏限定の「ドゥーブル ジュレ」も登場 06. 青山本店で生まれた「南青山ロール」も特別にご用意 07. 意外な相性?おすすめのシガールの食べ方もご紹介知っていましたか?〈ヨックモック〉の歴史や成り立ち
―まずはブランドの歴史や成り立ちなどを改めて教えてください。
濱さん:ヨックモックは、東京青山に本店を置く1969年設立の洋菓子ブランドです。名前の由来はスウェーデンの小さな町「Jokkmokk(ヨックモック)」から。そこには自然の厳しさとは対照的な家庭の温かさがあり、その語らいを弾ませるホームメードのお菓子の真心こもったおいしさこそ洋菓子の真髄だと創業者の藤縄則一が感じ、綴りを日本人に馴染みやすい「YOKU MOKU」と変えて社名にしました。「お菓子は創造するもの」という創業者の想いをいまも変わらず継承し、心を込めてクッキーの製造販売を続けています。

―代表商品の「シガール®」が誕生したのはいつのことですか?
濱さん:シガール®の誕生とともにブランドが設立されました。ヨックモックの歴史はシガール®とともにあると言えますね。創業者の藤縄は中小メーカーとしてチョコレートの生産に奮闘していましたが、大手メーカーの量産体制の整備やスーパーマーケットの台頭に凌駕される形で業績が低迷する中、忘れかけていた菓子づくりの原点に立ち返るべきではと考え、できたてのおいしいお菓子を直接お客様に提供したいという想いで事業転換を決意しました。そこで試行錯誤の末に生み出されたのが「シガール®︎」です。時を同じくして、1969年8月にヨックモックが設立されました。
―シガール®はすぐに人気商品となったのでしょうか。
濱さん:百貨店などへの売り込みを始めたところ、なめらかな口当たりと口どけ、コクと風味、ユニークな形状など、どれをとっても従来のイメージを打ち破るものだったシガール®︎は、おかげさまで高く評価していただきました。1969年11月には日本橋に1号店を出店し、その後瞬く間に評判が広まって、展開店舗は1年間で17店舗へと増加しました。
―では、現在の青山本店ができたのはいつのことですか?
濱さん:1978年3月に社屋が完成し、4月末に直営店と喫茶室がオープンしました。「直営の店舗を設け、できたてのお菓子と真心こもったサービスを提供する」という、創業者の長年の夢が実現した形ですね。

濱さん:社屋と直営店を建てるにあたり、インスピレーションを得たのは欧州のカフェテラスです。中庭を持つ喫茶室を構想し、中庭をコの字型に囲むというアイデアを形にして設計され、いまもその形を留めています。そして中庭には、創業者が愛するハナミズキを植樹しました。数回のリニューアルを経た現在もなお、印象的な青いタイルとこだわりのコの字型、中庭のハナミズキはそのままに、ヨックモックの象徴として青山の地に大切に守り継がれています。


濱さん:その後、1980年代前半には日本国内の店舗数が100に迫り、次なるステージとしてアメリカを皮切りに海外へと展開していきました。現在はアメリカやアジアを中心に世界約7地区で展開され、日本では全国約160店舗を展開しています。
「シガール®」誕生の背景とおいしさの秘密
―ブランド設立当初からの看板商品であるシガール®ですが、その誕生の背景を教えてください。
濱さん:当時のクッキーはショートニングやマーガリンを使ったものが主流で、バターは扱いが難しく高価な原料だったため「バターをたくさん使ったクッキーの量産や量販は難しい」というのが常識でした。しかし創業者の藤縄はそれを逆手に取り、百貨店を中心に膨大なギフト市場が形成されていた当時の社会情勢に目をつけ、バターをふんだんに使った高級クッキーの商品化にあえて挑戦しました。

―最大の特徴はどういった部分でしょうか。
濱さん:より高いコクと風味を得るために「これ以上入れるとお菓子にならない」というギリギリの分量までバターを入れています。実はシガール®︎に配合されている原料の中で一番多いのはバターなんですよ。そこは他のクッキーとは一線を大きく画すところですね。試作は難航したそうですが…当時もいまも基本的な配合や製法、味わいは変わっていません。
―では、このくるくると巻いた形状にはどんな理由が?
濱さん:サクサクの食感と繊細な口どけを実現するためには薄い生地作りがポイントでした。ただ、バターを多く使って薄く焼き上げられたラングドシャーは非常に壊れやすいものなので、その解決には頭を悩ませたそうで…
―行き着いたのが、この形状だったと。
濱さん:はい。解決のヒントを与えてくれたのは、17世紀のフランス人画家リュバン・ボージャンが描いた「巻菓子のある静物」でした。そこにはまるで紙のように薄く焼き上げられたロール状のお菓子が描写されていて、そこから生地を補強するために“ロール状に巻く”という発想が生まれ、ついに「シガール®︎」が誕生しました。

―なるほど。当初はどうやって巻いていたんですか?
濱さん:非常に薄く繊細な生地は人の手でなければ巻けなかったため、販売当初は1本ずつ手巻きしていました。ただ、手巻きでは限界があり、高品質なお菓子を手頃な価格でより多くの方々に提供するためにも機械化は必須で。
―機械化へはスムーズに移行できたのでしょうか。
濱さん:いえ。生地を巻く機械は当時も存在しましたが、世の中にある機械では生地が繊細すぎてきれいに巻くことができなくて。それならばと、機械を一から開発しようということになりました。
―既存の機械を使って妥協することはなかったと。
濱さん:はい。お菓子自体を変えることなく、1本1本真心を込めてという想いもそのままで。着手から約10年の歳月を要して、1981年に待望の巻き機が完成しました。諦めることなく「お菓子に合わせた機械を作る」姿勢を貫いた精神は、時代が変わってもヨックモックの作り手の心に受け継がれています。

おなじみのブルーの“シガール缶”は3代目
濱さん:いろいろな種類の詰合せがありますが、やはり外せないのはこちらの“シガール缶”です。

―ひと目見ればわかる、おなじみのブルーの缶ですね。
濱さん:このデザインは3代目で、1991年から採用しています。ちなみに初代の缶は唐草模様だったんですよ。

こちらが初代の缶シリーズ。現在のシガール®はフランス語の「Cigare」ですが、当初はローマ字読みで「SIGARU」と表記されていました。
―中にシガール®がぎっしりときれいに収められているのも印象的です。
濱さん:箱を開けたときの感動やワクワク感もお届けしたいので、整然と並べられた見た目の美しさも大切にしています。他にも様々なクッキーが入った詰合せがありますので、ご用途や好みにあわせてお選びいただければと思います!

3種のシガール®を一度に味わえるのは「セットデリス」だけ!
―3種のシガール®を一度に味わえる唯一の商品「セット デリス」。紅茶の「シガール オ テ」やチョコレートの「シガール オゥ ショコラ」についても教えてください!
濱さん:「シガール オ テ」で使用されている紅茶は、紅茶のシャンパンとも称されるダージリンに、繊細な香りのアールグレイをブレンドしたものです。ダージリンの繊細な香りと、アールグレイの、すっと鼻に抜けるベルガモットの香りがお楽しみいただけます。
「シガール オゥ ショコラ」は、通常のシガールよりも少し太めに巻いた生地の中に、ヨックモックオリジナルのミルクチョコレートが詰められています。チョコレートはバランスの良いカカオの香りと、濃厚なミルク風味で、バターがたっぷり入ったクッキー生地と相性が良いです。

―ギフトの王道として、シガール®が誰にでも親しまれ、愛される理由はどこにあるとお考えですか?
濱さん:いい意味で素朴なところですね。原材料はとてもシンプルで、お客様が聞いたことがないようなものは使っていません。そういう安心感みたいなものが、お子様からご高齢の方まで、皆様にご愛顧いただけている理由なのかなと思います。
夏限定の「ドゥーブル ジュレ」も登場
―夏の時期だけの限定商品も登場するんですよね?
濱さん:ふたつのフルーツを二層にかさね合わせた、色鮮やかな「ドゥーブル ジュレ」です。ひと口、ふた口と食べ進むうちに、上のフルーツと下のフルーツがミックスされ、新しい風味や食感を楽しんでいただけます。

―「ドゥーブル ジュレ」のそれぞれの味の特徴を教えてください。
濱さん:「パイナップル&マンゴー」はパイナップルの果肉入りの、夏らしいトロピカルな味わいが特徴で、「レモン&ラ・フランス」はラ・フランスの果肉入りのすっきりと豊かな味わいが楽しめます。「レッドグレープフルーツ&パッションフルーツ」はレッドグレープフルーツの果肉入りのすっきりと瑞々しい味わいが特徴で、「グレープフルーツ&オレンジ」はオレンジの果肉入りで、柑橘の風味が引き立ち、さっぱりとした味わいです。「ピーチ&チェリー」は白桃の果肉入りで、なめらかな口当たりと上品な甘みの優しい味わいが特徴です。

濱さん:二種類のフルーツを使用しているので、味わいだけではなく目でもお楽しみいただける色鮮やかなゼリーです。ゼリーは二層になっているので、混ぜることで新しい風味や食感をお楽しみいただけます。

青山本店で生まれた「南青山ロール」も特別にご用意
濱さん:今年は、前回東急百貨店さんのお歳暮ギフトで好評だった「南青山ロール」もお中元でご用意しました。

濱さん:「南青山ロール」は、バターのコクや味わい、口どけのよさなど、“シガールをロールケーキに”というイメージのもとに作られた、青山本店発祥のプレミアムロールケーキです。
―仕上がりがとても美しいですね!
濱さん:生地の表面に押された「YOKU MOKU」の焼印がおいしさの証しです。くるくると巻かれたスフレ生地は、キメ細やかでしっとりふわふわな食感。なめらかな口どけのクリームとの贅沢なハーモニーが幸せを運びます。

―通常、青山本店以外では限られた店舗や通販サイトでしか購入できない商品なんですよね?
濱さん:はい。今回、東急百貨店さんのお中元アイテムとして数量限定でご用意しました。シンプルだからこそ伝わる上質なおいしさを、心ゆくまでご堪能いただければと思います。
意外な相性?おすすめのシガールの食べ方もご紹介
―シガール®のおいしい食べ方やアレンジ法なども教えていただけますか?
濱さん:手軽にできるアレンジとしては、アイスクリームをディップする食べ方ですね。チューブタイプのアイスクリームをシガール®の空洞部分に直接入れるのもおすすめですよ。

濱さん:ドリンクに浸すのもおすすめです。定番だとホットミルク。ちょっと大人の愉しみ方であれば、お酒とも相性がいいのでラム酒やブランデーに軽く浸すのもおいしいですよ。あとは意外かもしれませんが、あんことの相性も抜群です。ぜひ一度お試しください!
―あんこ、たしかに意外で気になります!
濱さん:でもやっぱり本当は…そのまま味わっていただくのが一番です(笑)

―それでは最後に、東急百貨店のお客様にメッセージをお願いします!
濱さん:お菓子があることで、その場の空気が和んだり、やわらかな雰囲気が生まれたりするものです。そういう場にヨックモックのお菓子を選んでいただけるのは非常にありがたいことなので、その期待にお応えできるようにこれからも努めてまいります。より多くの方々に、改めてヨックモックの魅力を実感していただければと思います!
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