サカイ優佳子の食育のヒント
今が旬の「スプリングラム」を楽しむ。孜然羊肉
今が旬の「スプリングラム」を楽しむ
ラム肉は、羊肉の中でも、生後1年以内の羊の肉をさします。そんなラム肉の旬は、2月下旬から4月とされています。
農水省が出した「めん羊・山羊の改良増殖をめぐる情勢」(2019年) によれば、羊肉の国内生産量は140トンほどに過ぎず、輸入量は2万トン、うちオーストラリア産が6割、ニュージーランド産が4割です。
オーストラリア、ニュージーランドは、ともに南半球にあるので、日本の秋から冬にかけてが春から初夏に当たります。栄養価が高いこの時期の牧草を食べて育つ羊はスプリングラムと呼ばれ、2月下旬から4月ごろにかけて肉として売られます。臭みも少なく、羊肉のクセが苦手な人でも美味しく食べられるのではないでしょうか。
羊肉料理をよく食べる地域の一つに、中国の北部があります。北京で羊肉しゃぶしゃぶを食べたことがある方も多いと思います。
2014年に訪れた内モンゴルで食べた羊肉の美味しさは、いまだに忘れられません。そのトップはなんと言っても茹でただけの骨つきの大きな塊肉だったのですが、それはさすがに再現できません。そこで、最近は我が家の近くでも手に入るようになったジンギスカン用より厚く切ったラム肉を使って作る孜然羊肉のレシピをご紹介しますね。
孜然というのはクミンのことです。クミンと赤唐辛子粉と塩で味をつけるのが中国の羊料理の定番の一つで、羊肉串 (羊の串焼き) もこの味付けがほとんどです。この料理は内モンゴルの他、新疆 (ウイグル) でもよく食べられているそうです。
この時期美味しいスプリングラムを使って、ぜひ挑戦してみてくださいね。
#222 孜然羊肉 材料
- ラム肉 200g
- 醤油 大さじ1/2
- 紹興酒 (なければ酒) 大さじ1/2
- 片栗粉 大さじ1/2
- 生姜みじん切り 小さじ2
- ニンニクみじん切り 1かけ分
- 玉ねぎ 薄切り 1/2個
- 赤&黄パプリカ 薄切り 各15g
- 青菜 適量
- 赤唐辛子粉 (韓国産など辛味が少ないもの) 小さじ2
- クミンパウダー 大さじ1
- 油 適量
- 塩・胡椒 各少々
作り方
- ラム肉を食べやすい大きさに切り、醤油と紹興酒で1時間ほど下味をつけて、片栗粉をまぶす。
- フライパンに油をひき、肉を重ならないように並べて中火で焼く。しばらくは動かさず、焼き色がついたら裏返し、また動かさないで焼き色がついたら裏がえして皿に取る。(ここで完全に火を通さなくてもよい)
- 2のフライパンに必要なら油を足して、生姜とニンニクを弱火で炒めて香りを引き出す。
- 玉ねぎとパプリカを加え、火が通るまで中火で炒めたら、2の肉を戻し入れて炒め合わせる。
- 赤唐辛子粉とクミンパウダーをふり、青菜を加えてひと炒めし、塩胡椒で味を調える。
【青菜について】
好きな人は、香菜 (パクチー) を2cm長さに切って加えるのがおすすめです。 写真は茹でた菜花を使っています。
小松菜も茹でてからがおすすめです。 水菜など火が通りやすい青菜であれば、直接加えて構いません。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/