サカイ優佳子の食育のヒント
旨みがしみ込んだ豚肉の昆布〆焼き
昆布はダシに使うだけじゃない
お正月料理には、「よろこぶ」の縁起から、昆布巻を作るお宅もあるかもしれません。また、昆布ダシがあるからこそ、お雑煮の美味しさも格別です。
和食の専門家からすると邪道かもしれませんが、我が家の冷蔵庫には常に昆布水があります。500mlの水に5g程度の昆布を入れて冷蔵庫に保存するだけの手軽さ。昆布に切り込みを入れておくとさらに良くダシが出ます。昆布のダシは、和食だけではなく、洋食など海外の料理を作る際にも、その味を邪魔しないだけでなく、深みを加えてくれるので、日々のお味噌汁作りにはもちろん、シチューやカレーを作る時にも使います。昆布水は、我が家の食卓になくてはならないものなのです。
そしてもう一つの昆布の使い方。折にふれて作るのが、昆布〆。昆布〆といえば、白身魚の刺身の昆布〆を思い浮かべる方がほとんどと思いますが、肉の昆布〆も負けていません。初めて食べる人の多くは、その美味しさに驚きの声をあげます。 乾物である昆布で挟むことで、その食材の水分が昆布に吸収されていきます。代わりに昆布の旨みが食材に染み込んでいくのです。
8時間ほども挟んでおくと、昆布の風味が肉にしっかりついているはず。こうなったら、ただ肉を焼いて、味付けはせいぜい塩・胡椒だけでシンプルに食すのがお勧めです。
残った昆布は生の肉に触れているので、必ず加熱して食べてくださいね。2cm角ほどに切って、スープや味噌汁、煮物などに入れてしまえば、肉と昆布の旨みが加わり、具としても食べることができて無駄がありません。 ぜひお試しを!
#184 豚肉の昆布〆焼き 材料
- 昆布(平らなものが使いやすいです) 30g
- 豚生姜焼き用肉 180g
- 油 適量
- 塩・胡椒 各少々
作り方
- 昆布は乾いた布で表面をさっと拭き、食べやすい大きさに切った肉を重ならないように並べたら、もう一枚の昆布で肉を挟むようにする。これを繰り返す。
- 1全体をラップで包み、冷蔵庫で8時間おく。
- 油をひいたフライパンで2の肉を焼き、塩胡椒で味を調える。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/