サカイ優佳子の食育のヒント
アサリ入り湯豆腐
チョイ足し湯豆腐
子どもの頃のお使いに、「お鍋を持ってお豆腐屋さんに行く」というのがありました。先日、久しぶりに生家の近くを散歩する機会があり、懐かしい路地を歩いてみたのですが、私が通ったそのお豆腐屋さんはさすがにもう無くなっていました。
昭和30年代には全国で5万軒あったお豆腐屋さんも、平成25年にはその1/4の約8,000軒まで減少。個人商店は激減し、多くの人にとって、お豆腐はスーパーで買うものになりました。
10年ほども前のことですが、会津で本当に美味しいお豆腐に出会いました。もう一度食べたいと思って後日送ってもらったのですが、たった1日経っただけでも味は随分と落ちてしまっているように感じられたものです。お豆腐は、やはり出来たてをできるだけ早く食べるのが美味しいものなのかもしれないと感じはしたものの、そんなお豆腐に出会える機会もすっかり少なくなってしまっているのでした。
この頃たまに車で通るようになった道沿いに、その場でお豆腐を作っているお店を発見。懐かしいような気持ちで店の暖簾をくぐり、いくつか買い求めてみました。どれもなかなかに美味しいお豆腐!なんだか嬉しくなりました。
江戸時代に「豆腐百珍」という料理本が出ているほどに、お豆腐料理のバリエーションは広いもの。でもこの寒い時期にはあたたかい料理がやはり美味しく感じられます。
私がよく作るのは、何かチョイ足しで作る湯豆腐。我が家の定番は、生牡蠣と豆腐とネギを昆布水をはった鍋に入れてコトコト煮たものを醤油とゆず果汁で食べるもの。今回はアサリが手元にあったので、お豆腐をコトコトあたため、アサリを加え、最後に万能ネギをたっぷりのせてみました。水ではなく、時間をかけて戻した昆布水だけは忘れずに加えることで、シンプルな料理の味わいがワンランクアップします。
豪華なお鍋もいいですが、こんなシンプルさもまたよし。ちょっと残しておいて翌朝にそのスープを口に含むと、これが絶品なのです。
ぜひおためしくださいね。
#172 アサリ入り湯豆腐 材料(2人分)
- アサリ 20個程度
- 豆腐1丁
- 万能ネギ 4本
- 昆布水 600cc(水に、昆布5gを入れて7時間ほど置いたもの)
- 醤油・ゆず果汁 各適量
- 好みで柚子胡椒
作り方
- アサリは砂抜きし、万能ネギは4cm長さに切っておく。
- 小さめの土鍋に昆布水を張り、食べ易い大きさに切った豆腐を入れて中弱火にかける。
- 2が十分に温まったら1のアサリを加えて殻があくまで加熱する。
- 1の万能ネギを刻んで散らし、醤油とゆず果汁、好みで柚子胡椒を添える。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/