振り返れば、私の妊婦生活はとても平穏で幸せでした。
つわりは一切なし。
食の好みの変化も特になく、体重増加も許容範囲。
普段は血圧が高いので妊娠高血圧をかなり心配していたのですが、妊娠してからはなぜかどんどん血圧が低くなっていき、理想の数値で安定。
「なんてママに優しい赤ちゃんなんだろう!」なんて浮かれながら、毎日平和にのんびりと過ごしていました。
そんな平和な日々は、出産予定日を過ぎても続きました。子宮口はなかなか開いてこないし、おしるしもなし。前駆陣痛も全くなく、唯一の症状は、寝ているときにとにかくトイレが近くなるという頻尿くらいでした。
予定日3日後に事態は急変!
予定日を3日過ぎた日、検診がありました。
いつものようにゆったりとした気持ちで赤ちゃんの心拍数を測ってもらっていたら、突然機械から謎の高音が診察室中に鳴り響きました。すると何人かの看護師さんたちがゾロゾロと慌ただしく現れて「すぐに四つん這いになって下さい!」と大慌て。ぽかんとしながら指示に従ったのを覚えています。そしてその後の診察で、「赤ちゃんがたまに苦しいサインを出しているようなので、今すぐ入院して下さい」と言われました。
「え?家でお留守番しているワンちゃんに『行ってきます』もちゃんと言っていないし、何も持って来ていないし、今すぐじゃないとダメですか?」なんてのんきなことを尋ねながら、結局その日から入院に。それでも、私が感じる症状は特になく、窓から見える夜景にうっとりしながら入院生活をスタートしました。
入院初日の夜、「明日陣痛促進剤を入れませんか?」と提案されたのですが、まだ心の準備もできていないし、なんとなく自然にお産できるだろうという全く根拠のない自信もあったので、「もうちょっと様子を見ます」と伝えました。
そして入院から2日目、退屈だしワンコにも会いたいし、病院だとあまり歩き回れないので余計にお産も遠のきそうだし…などなどと思い、「一度お家に戻りたいです」と伝えたところ、「では明日ほんの微量の陣痛促進剤を入れて、赤ちゃんの様子を見るモニターテストをしましょう。それで大丈夫そうであれば一度帰っても良いですよ」と提案されました。
モニターテストのはずが?!
入院から3日目の15時ごろ、帰り支度も万全にしてLDRに移動。モニターテストが終わったらお家に帰れると思うと気持ちはルンルン!
まさかここから怒濤の出産フルコースが待ち受けているとは…夢にも思いませんでした。
スタートした30分後くらいから軽い痛みが出始め、モニターテストの終わった16時を過ぎても痛みは続き、あれ?あれ?あれ?この痛み、いつまで続くのかな…そんな不安がよぎる中、痛みは6、7分おきにやってくるように。
え?もしかしてこれって陣痛じゃない?と、頭がパニックになり始めたころ、病院ではちょうど出産ラッシュの時期(?)を迎えていたようで、呼んでも看護師さんがなかなか来てくれませんでした。
骨盤を右から左、左から右へとブルドーザーが走るような痛みにずっと耐えながら、時刻は0時に。すでに痛みは激痛でしたが、なかなか子宮口が開いてきてくれません。「うんうん、私たち今日のつもりじゃなかったもんね」なんて妙に納得しながら、気がつくと3時過ぎ…。そもそも出産は和痛分娩でお願いしていたのですが、麻酔は子宮口がちゃんと開いてからと意気込みすぎてしまい、陣痛開始からすでに11時間経過。いよいよ痛みと疲れで意識が朦朧としてきたので、藁にもすがる思いで麻酔をお願いしました。
1時間だけの束の間の休息
ところが麻酔の先生も出産ラッシュであちらこちらに呼ばれて大忙し。結局4時過ぎにやっと麻酔をしてもらい、陣痛12時間を経て嘘のように楽になりました。ところが…
突然の帝王切開
その1時間後、先生から「赤ちゃんが苦しいサインを出しているので、このまま子宮口が開かないようなら帝王切開します」と伝えられました。
「えええええー!?」
お家に帰るつもりで始まったモニターテストから陣痛→そして帝王切開?何もかも予想外の展開で進んでいきましたが、全ては可愛い赤ちゃんに出会うため!
麻酔を入れてもらって私が楽になった一瞬のすきに近くの牛丼屋に消えた夫に慌てて電話を入れ、6時過ぎに一緒に手術室へ。
そして無事、元気な娘に会うことができました。
出産は何が起きるか分からないとは聞いていましたが、まさにその通りだなと身をもって実感した私の出産。
ただ、どんな形で産まれても、終わってしまえば感謝の気持ちしか出てこないのは変わらないと思います!
陣痛促進剤からの帝王切開までの出産フルコースのお話、誰かのお役に立てると嬉しいです。