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女性の体にとって大きな変化が起きる妊娠期は、虫歯が悪化したり、頻尿や便秘に悩まされたり、むくみやすくなったりと、さまざまな不快症状(マイナートラブル)が現れやすくなります。
妊娠中は皮膚に変化が見られることも多く、シミ・ソバカスの発生や色素沈着、日光に対する過敏症などのトラブルのほか、かゆみを伴う皮膚疾患が起こりやすくなります。
そこで今回は、妊婦さんの2%に発症するといわれている妊娠性痒疹(ようしん)について、症状や原因、治療法などを産科医の坂本 忍先生に解説していただきました。
もくじ
01. 妊娠性痒疹とは、どんな疾患? 02. 何科を受診すればいい? 03. 妊娠性痒疹の治療方法は? 04. 予防法を知りたい! 05. 先輩ママ発! 私たちはこうして妊娠性痒疹を乗り越えました!妊娠性痒疹とは、妊娠中に湿疹のような発疹(ブツブツや赤み)が手足を中心に現れる疾患です。
皮膚がカサカサしてかゆみを伴い、おなかや背中など体幹部にも発疹が出ることがあります。発症しやすい時期は、おもに妊娠3カ月頃から妊娠中期にかけてで、出産まで症状が続くこともありますが、出産後には改善します。
初産婦よりも経産婦に症状が現れやすく、妊娠に伴う女性ホルモン「エストロゲン」の増加が発症に関係しているといわれていますが、原因ははっきりとはわかっていません。
ときとして、眠れないほどのかゆみを伴うこともある妊娠性痒疹。睡眠障害はお母さんにとって不快なだけでなく、その後の妊娠経過や、赤ちゃんの低出生体重といった出産のトラブルにもつながります。
また、激しいかゆみは集中力を欠いたり、大きなストレスになることも。かゆみに耐えきれずかきむしってしまうと、赤茶色の硬い発疹になって治りにくくなったり、ひどい場合には色素沈着を起こす場合があるので、早めの皮膚科受診が必要です。
妊娠性痒疹の治療には、主にステロイド外用薬を使用します。また、保湿剤が処方されたり、妊娠の時期と症状に応じて抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬を内服する場合もあります。
このように、妊娠の時期と症状に合わせて使用可能な薬を選んでいく必要があるので、産婦人科と連携している皮膚科を受診すると安心です。症状が出たら、まずはかかりつけの産科に問い合わせてみましょう。
妊娠性痒疹は発症の仕組みがはっきりとはわかっていないため、予防が難しいとされています。それでも、お風呂上がりにかゆみが出たり強くなる妊婦さんは少なくないので、入浴中と入浴後のケアが、ポイントとなります。
妊娠期の肌はとてもデリケートです。熱めのシャワーや長湯、ナイロンタオルなど
でゴシゴシこすり洗いをすることは皮膚への強い刺激となり、かゆみを引き起こす場合があるので、避けてください。
低刺激の石けんなどでやさしく洗い、38〜40度のぬるめのお湯に浸かるようにしましょう。
また、入浴後は十分な保湿が大切です。高保湿のクリームなどでケアしましょう。
ここでは、妊娠性痒疹を体験したママの声をご紹介します。
症状が出てすぐの受診で悪化を防げた
「ふたり目の妊娠中に、二の腕や太腿のつけ根など身体のやわらかい部分に赤いブツブツを発見。少しかゆみを感じたのでかいたら、どんどんかゆみが強くなり、その夜はほとんど眠れませんでした。翌日、すがる思いで皮膚科を受診。妊娠性痒疹と診断され、ステロイド軟膏を処方されました。かゆみは1日で落ち着き、ブツブツも1週間ほどで、ほとんど目立たなくなりました。1日でかゆみが治まったからよかったものの、これが何日も続いたら耐えられなかったと思います」
(M.Yさん/3歳の女の子と6歳の男の子のママ)
保湿ケア用ボディクリームが効いた!
「妊娠4ヵ月の頃、おしりや太ももの裏を中心に皮膚がカサカサし、乾燥肌のようになっていると思っていたら、かゆみのある発疹が広がりました。幸いかゆみはそこまでひどくなかったので、お腹まわりの保湿ケア用ボディクリームを塗ったところ、数日で症状が落ち着きました。治ってからも、入浴後の保湿ケアは欠かさないようにしました」
(C.Nさん/10カ月の男の子と3歳の女の子のママ)
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つわりに始まり、多くのマイナートラブルに悩まされる妊娠期。なかでもかゆみを伴う皮膚疾患は、多くの妊婦さんがかかりやすいといわれています。
強いかゆみはつらく、大きなストレスにもなりますから、気になる症状があったら、早めに皮膚科を受診しましょう。
教えてくれた人
坂本 忍先生
東京医科歯科大学医学部卒業。公認スポーツドクター(日本オリンピック委員会強化スタッフ)。日本医師会認定産業医。
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