答えてくれたのはこの人
店主 村田明彦さん
日本料理店〈鈴なり〉とは、どんなお店ですか?
―お店のコンセプトやこだわりなど、まずは〈鈴なり〉の紹介からお願いします。
村田さん:2005年にオープンした日本料理店です。私自身、値段的にも雰囲気的にも、若い頃は和食のお店に行くことがなかなかできなかった経験があるので、いろいろな方に気軽に来ていただけるように、“和風モダン”なしつらえで堅苦しくないお店を目指し、料理もカジュアルな形の会席料理を提供しています。
―村田さんは「なだ万」で修業されたんですよね?
村田さん:13年ほど修業しました。実は「なだ万」も“THE和食”というお店ではなく、新しいことにどんどんチャレンジするお店だったので、そういった意味ではすごく勉強になりましたし、その影響も受けていますね。
―ちなみに〈鈴なり〉という店名の由来は?
村田さん:子どもの名前「すずか」と「なりあき」の頭の部分をつなげて名付けました。当初は、かっちりした「〇〇庵」とか、名字をそのまま店名にとかも考えましたが、そういう店名だとなんとなく入りづらいじゃないですか。なので、ちょっと店名もカジュアルな雰囲気に。
―なるほど。では、村田さんご自身の料理作りにおけるポリシーみたいなものは何ですか?
村田さん:当然ですが私の基礎はすべて和食です。そこを大切にしながら、洋の食材や海外の調味料を使ってみたりといったチャレンジやアレンジをしています。得意だし、好きなのは、煮物ですね。母親の実家が料理屋だったので、おじいさんの作る味がそもそものベースになっています。
―食べる側としても、体の中に刻み込まれているんですね。
村田さん:はい。でも…食べるのは中華が好きです(笑)
村田さん監修の3種のお雑煮セット。それぞれの特徴は?
―ここからは、村田さんが監修した東急百貨店限定のセットをご紹介いただきます!
村田さん:はい、こちらのお雑煮3種類のセットです!
村田さん: 中身は3種で各2個入り。ひとつがお椀1杯分で、汁も具材も全て入っているので、湯煎するだけで手軽に食べられます。
―お雑煮を贈り物にするというのも、なかなか珍しい気がしますが。
村田さん:お正月に食べるおめでたい料理なので、こんなギフトがあってもいいのではと。ひとくちにお雑煮といっても、日本には各地に様々な食文化がありますし、作るのに手間も時間もかかります。また、多様な生活スタイルのある時代なので、作ることもままならないご家庭もあると思います。そんな皆さんに手軽に食べられる本格的な味わいを届けたい、そして三が日お楽しみいただけるようにしたいと考え、3種を作りました。具材についても、黒毛和牛、うなぎ、そして高級魚のクエと、贅沢なものをメインに。私自身が「こんな具材だったらうれしい」と思うものばかりですね。調味料にもこだわって、お店で実際に使っているものを使ったりしています。
―では、3種それぞれの紹介をお願いします。
村田さん:まずこちらが「白味噌雑煮」。具材はクエをメインに、大根、人参、なると、椎茸、ほうれん草、そして焼き丸餅が1個入っています。
村田さん: 味の決め手となる白味噌は、京都の「山利商店」の白味噌を使っています。クエは白味噌に合うだろうなと思ってこの組み合わせを試しましたが、思ったとおりの相性の良さでしたね。鰹の香りがふんわり漂う、しっかり手間ひまかけて作られた、トロッと濃厚でコク深い味わいです。
―具材もしっかり大きめで存在感がありますね。
村田さん:人参と大根の紅白もおめでたいし、なるとは見た目もかわいいし。あと、お餅がしっかり焼かれているものポイントで。製造面では焼かない方がラクなんですが…味わいにこだわって焼き餅にしました。
―そのひと手間がうれしいです!
村田さん:続いてこちらが「黒毛和牛赤味噌雑煮」。京都の「石野味噌」の赤味噌と愛知の「まるや」の八丁味噌をあわせた独自のブレンド味噌を使い、黒毛和牛は食べやすいようにスライスしたものを入れています。その他の具材はこちらも同じく大根、人参、なると、椎茸、ほうれん草、そして焼き餅が2個。
―いわゆる赤だしと同じような味わいですか?
村田さん:はい。でも全然しょっぱくないですよ。赤だしってコクがあって少し酸味があるので、牛肉とよくあうんです。
村田さん:そしてこちらが「鰻すまし雑煮」。私が信頼している岩手の「浅沼醤油店」の醤油を使った、すっきりしていてコクもある深い味わいで、具材にはうなぎの蒲焼を入れました。
―うなぎ入りのお雑煮は、なんとも贅沢ですね!
村田さん:お正月にふさわしいですよね。塩だとカドが立ってしまってうなぎの蒲焼きにはあわないので、うなぎの蒲焼きとの相性を考えて、まろやかな醤油仕立てにしました。寒い日に飲むとホッとする味です。
村田さん:今回の3種類は、味わいはもちろん、具材の種類や量などすべてを監修させていただきました。特別な人に贈るもの、特別な日に食べるものにふさわしく、具材も調味料も私が本当においしいと思うものを使って。そういう意味でも、きちんと“鈴なりの味”に仕上がっています。
食べ方のアドバイスは?お好みのアレンジは大歓迎!
―もしお店で提供するとしたら、どんなお酒と合わせて、どんな料理を添えて、というイメージでしょうか。
村田さん:コースの一品ではなく、これ一品で完結できる味に仕立てているので、他の料理をあわせるなら、たとえば細巻きをつまみながらとか。お酒はやっぱり日本酒ですね。具材もたっぷり入っているので、おつまみにしながら。
―完成された料理なので、何かを加えたりといったアレンジはしないほうがいいですよね…?
村田さん:いえ、むしろアレンジは大歓迎です。ちょっと七味がほしいとか、柚子胡椒を添えてみようとか、そのあたりはお好みで、自由にお楽しみいただければと思います。もちろん、お餅を足してもいいですし。
―では、具体的にこれが合うといったアドバイスはありますか?
村田さん:白味噌に意外と合うのがカラシです。少し水で溶いてから垂らすと、甘さの中にピリッとアクセントが加わって、また違ったおいしさになりますよ。味の強い赤味噌は、柚子胡椒でも一味でも、けっこう何でも合いますね。すまし汁には、爽やかなゆずを添えてもいいかもしれません。いずれも、まずはそのまま味わっていただいて、途中で“味変”を楽しんでいただければと。
―ちなみにこの3種類の中で、村田さんのイチオシはどれでしょうか。
村田さん:選べないので3種類のセットにしました(笑)。どれもイチオシです!
―納得です!では最後に、お客様へのメッセージをお願いします!
村田さん:3種類のお雑煮の仕立てというのはなかなか珍しいと思いますし、三が日に毎日違った味を楽しめますので、ぜひこの機会に。私は和食の料理人として、日本の食文化を少しでも後世に伝えていけたらいいなと思っているので、この商品をきっかけに様々なお雑煮や各地のメーカーの調味料にも興味を持っていただけたらうれしいです!
〈鈴なり〉村田明彦監修 三が日楽しめるお雑煮セット 5,400円(税込)
お店はこちら!
和食割烹 鈴なり
〒160-0007 東京都新宿区荒木町7番地 清和荘1階
地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅 徒歩4分、都営新宿線曙橋駅 徒歩5分
TEL:03-3350-1178
【営業時間】月~土 18:00~23:00(LO 20:30)
【定休日】月曜・日曜・祝日