茶色いはずのひじきが黒くなるのはなぜ?
ひじきは黒いもの、と思っている方も多いようです。でも実は、生のひじきは緑がかった茶色をしています。さっと茹でると鮮やかな緑色にはなるものの、わかめなどとは違って渋くて食べられたものではありません。タンニンの渋みなのだそうです。
ではどうやって渋みをなくしているのでしょう?なぜ黒くなるのでしょう?
黒くなるのは鉄の鍋で煮てから乾燥させているからと書いている人もいますが、日本では、鉄鍋で煮るところばかりではなくなっているので、鉄鍋が必須とは思えません。
静岡県の水産・海洋技術研究所の記事によれば、「ヒジキが黒くなるのは、干して乾燥させることによってヒジキに含まれるタンニンと呼ばれる成分が空気中で酸化され、褐色から黒色へと変化していたのです。また、海から獲ったままのヒジキは渋くて美味しくないのもタンニンの仕業です。」とあります。
https://fish-exp.pref.shizuoka.jp/04library/news/20040302.html
ひじきを柔らかくするために、4時間ほど煮沸してから20時間ほど冷ます間に水溶性のタンニンなどの物質が煮汁中に溶け出すからとしている論文を見つけました。またただ乾燥しただけのひじきでも黒くなるのは、タンニンが空気と光とによって黒色フェノール性重合物質が生成するからとあるのは上記と同様ですね。
「煮ひじきの食文化的考察」国立情報学研究所
https://hbg.repo.nii.ac.jp/record/3220/files/30-8.pdf
黒いひじき。店頭に並ぶ前に手がかかっているからこそ、戻すだけで手軽に食べることができるんですね。ひじき入りのポテトサラダ、マヨネーズは使わずにさっぱりドレッシングで仕上げています。
お試しくださいね。
#260 ひじき入りポテトサラダ
材料 (2~3人分)
乾燥ひじき 10g
じゃがいも 大2個 (380g)
ドレッシング [粒マスタード 小さじ1、 オリーブオイル 大さじ3、 米酢 大さじ1、塩 小さじ1/2、 こしょう 少々]
作り方
1. ひじきはたっぷりの水に約30分浸けて戻して流水で洗い(これによって無機ヒ素の含有量を減らすことができる)、熱湯をかけ回したら水を切っておく。
2. じゃがいもは皮をむき、適当な大きさに切って茹でる。
3. 2は湯を切ってつぶし、1とともにドレッシングであえる。
※あればポワブルロゼ(ピンクペッパー)を飾ったり、パプリカパウダーをふるなどするとおしゃれ。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。