サカイ優佳子の食育のヒント
梨とブルーチーズのサラダ
2年前の秋、アメリカの友人の息子夫婦が、新婚旅行で日本を訪れました。
息子くんは食での冒険も厭わないのですが、美人のお嫁さんはとても保守的。「日本に来て食べられないものが多くて困っている」と聞いたので、私が大好きなパリ発のモンブランを用意しておいたときのこと。息子くんもお嫁さんも「ごめんなさい、とてもじゃないけど食べられない」と一口食べて残してしまったのです。洋菓子だから食べやすいだろうとも、ちょうど栗は季節だしとも思ってのチョイスだったので、まさかそんな反応になるとは思わず、驚いてしまいました。
聞いてみると、実は彼らが住むアメリカ中西部には、栗は無いというのです。「聞いたことはあるけどね、もちろん」とはいうものの、生まれて初めて栗のペーストを口にして、慣れない味に拒否反応を起こしたというわけだったのです。
アメリカに栗がない?「大きな栗の木下で」って英語じゃなかったっけ?と思って調べてみたら、意外なことがわかりました。
アメリカにも、かつて栗の木がありました(でなければ大きな栗の木の下でなんていう歌は生まれませんよねw)。ところが、20世紀前半に大流行したクリ胴枯病(ドウガレビョウ)によって、50年で3億本以上のアメリカグリが枯死し、壊滅状態になったのだそうです。栗の木を復元しようというプログラムが立ち上がっているものの、まだ大きな成果は上がっていないようです。
焼き栗はニューヨークの冬の風物詩とはよく聞きますが、輸入の栗なんでしょうね。
そんな息子くん夫婦が二人揃って絶賛してくれた料理が、栗とは全く関係ないですが、うちの近くのフランス料理店で食べた洋梨とブルーチーズを合わせた前菜でした。
私もとても気に入って、家で真似して作っています。先日は豊水で作りました。料理といえないほど簡単ですが、お客様にお出ししても必ず喜ばれます。あ、ブルーチーズが好きなら、ですけれどね。
#217 梨とブルーチーズのサラダ 材料
- 梨
- ゴルゴンゾーラチーズ(なければ他のブルーチーズでも)
- オリーブオイル
- ホワイトバルサミコ酢(なければ白ワインビネガー)
- 胡椒
※あれば、生のディルやポワブルロゼ(ピンクペッパー)、くるみなどを散らすのもおすすめです。
作り方
- 梨は皮を剥いて5mm幅の薄切りにする。
- ゴルゴンゾーラチーズは手で適当にほぐす。
- 梨を皿に並べたら、ゴルゴンゾーラをふりかけ、オリーブオイル、ホワイトバルサミコ酢をかけ、胡椒をふる。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/