サカイ優佳子の食育のヒント
「アチク・チュチュク」風サラダ
「味付けは塩だけ」 なのにサラダがここまで美味しいとは!
あるカフェで出していただいたサラダの味付けが塩だけと聞いて、実はあまり期待せずに口にしました。
ところが。
美味しい!いくらでも食べられるくらいに美味しいのです。前日にそのカフェで開催されたイベントで、ウズベキスタンの方が作ったものだといいます。名前はアチク・チュチュクサラダ。ちょっと舌を噛みそうな名前です。
ウズベキスタン。訪れたことはありませんが、私にはちょっと懐かしい響き。18年ほど前、ジェンヤさんというウズベキスタンの男性が我が家に泊まったことがあるのです。JAICAのプロジェクトで日本に滞在中に、「日本の普通の家庭のことをもっと知りたい」とホームステイ先を探していたとのことでした。
ウズベキスタンってそもそもどこにあるの?
ロシアから独立した「なんとかスタン」のうちの一つくらいの知識しか持たない私だったので、ウズベキスタンの知識人は英語、ロシア語、ウズベク語の3つを話すのは当たり前なこと、日本が好きな人がとても多いこと、アフガニスタン紛争の時は、国境近くのオフィスで働いていて爆発の振動でガラスが全部割れて怖かったことなど、ジェンヤさんの話はとても興味深いものでした。
その後、奥様と5歳のお子さんが来日したときに、私の子どもたちも一緒にピクニックに出かけたのも楽しい想い出です。奥様の愛読書は源氏物語とのこと。外国の方から源氏物語についての話を聞くのは不思議な気がしたものです。
ウズベキスタン人が日本を好きなのは、戦時中に捕虜として強制労働につかされていたにも関わらず、その捕虜たちが作った建物の出来上がりが強固で優れていることからきていると、その時に知りました。明日の命もわからない中、そんなものづくりができる日本人の精神性の高さをその建物が体現しているとウズベキスタンの人たちは思っているといいます。当時2万人以上が今のウズベキスタンに抑留され、日本に帰らぬまま命を落とした人も少なくなかったのだそうです。
そんなことを思い出していたところ、近々参加するある会でウズベキスタン人の女性がランチを作ってくれるという話になりました。私にとっての第二のウズベキスタンブーム到来?日本に住んでいる彼女の目に、私たち現代の日本人はどう映っているのでしょうか?ウズベキスタン料理を教えているという彼女と話すのを楽しみにしているのです。
#191 「アチク・チュチュク」風サラダ 材料
- 玉ねぎ 1/2個
- きゅうり 1本
- トマト 1個
- 塩 小さじ1/2
- 生のディルの葉 適量
作り方
- 玉ねぎは薄切り、キュウリは薄い小口切り、トマトは1/4に切ってから薄切りにする。
- 1に塩を加えてよく混ぜる。
- 5分ほど置いてから2cm程度に切ったディルの葉を加え混ぜる。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/