サカイ優佳子の食育のヒント
米粉のケークサレ
甘くないケーキ、ケークサレ。
焼いておくと、朝食や軽食にも、白ワインのお供にも重宝。持ち寄りパーティーに手土産として持参したり、屋外での食事が楽しい季節にピクニックに持って行ったりしてもまた便利なのがケークサレ。
小麦粉で作るのが普通ですが、米粉でもとても美味しく作ることができます。
〈米粉の長所って?〉
米粉には、小麦粉に含まれるタンパク質グルテンがないため、くっつきにくくダマになりにくいので、ふるう必要がありません。そして使ったボウルを洗う時にも小麦粉とは違って、ベトつかずスルッと落ちて、洗い物のストレスも少ないのです。
パンなどにすると、劣化が早い(早く硬くなってしまう)のが欠点と言われる米粉ですが、油脂分多めのケークサレだとそういうこともありません。
〈米粉を使う社会的な意味〉
米粉を使う人が増えれば、田んぼを残していくことができるかもしれません。
粒で食べる一人あたりの米の消費量は昭和30年代の半分にまで落ち込んでいます。一人一年に60kgを割るというその数字は、でも計算すると1日1合程度。朝はパンやシリアル、昼や夜も麺類を食べる日もあると考えると、これ以上増やすのはなかなか難しいようにも思うのです。でも、粉で美味しく食べる方法が広まれば、米消費量は増えるかもしれません。
〈春を感じるケークサレ〉
春ならではの味覚、筍、そしてグリーンピース。今回はこれらを具にして作ってみました。昨年秋に千葉県の大多喜町に古い家と土地を購入したら、庭に筍がたくさん出てくることがわかりました。大多喜町は筍の産地としても有名。大多喜の家の庭で掘り上げてすぐに茹でた筍の食感が、ケークサレの生地の柔らかさといい対比になりました。
このケークサレは、基本の生地の分量を覚えておけば、中に入れる具は季節に応じて替えるだけ。身近な旬の野菜を具に、お気に入りのケークサレ、米粉で是非作ってみてくださいね。
#176 米粉のケークサレ 材料 (スリムパウンド型 1台分)
- ハム塊80g
- 茹でた筍 80g
- 茹でたグリーンピース 30g ★A
- {細切りチーズ 100g
- 米粉120g
- ベーキングパウダー小さじ2弱
- 塩少々
- 白ワイン80cc
- オリーブオイル大さじ3
- 卵 2個
作り方
- 筍とハムは1cm角に切る。
- Aをよく混ぜたら、1とグリーンピースを加え混ぜ合わせ、パウンド型に流し入れて180度に予熱したオーブンで35分ほど焼く。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/