高野豆腐と春菊のクリーム煮

高野豆腐と春菊のクリーム煮

高野豆腐ってすごい!

冷蔵庫がいらない、軽いので輸送の際のCO2が削減できる、食べものを無駄にしない知恵、もしもの時にも安心、実は時短料理になる、など、「乾物といわれる食材の現代的意義は大きい!」と思い、2011年から乾物の新しい食べ方の普及に取り組んできています。

そんな乾物の代表選手の一つ、高野豆腐。「戻して絞ってという作業を、その絞った水の濁りがなくなるまで繰り返すのが面倒」という昔ながらのイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。でも最近は、数分水につけるだけで戻るものがほとんどで、中には戻さないで使えるものもあり、随分と使いやすい食材になっています。

先日、某国営テレビで高野豆腐の料理をご紹介させていただく機会があり、その際にご一緒させていただいた栄養士の先生にお話を伺って、高野豆腐のパワーについて認識を新たにすることになりました。

高野豆腐たった1枚に、白ごま300g分ものビタミンE、カルシウムは牛乳100ml分、たんぱく質が卵1個半分、鉄はほうれん草65g分、マグネシウムは乾燥ワカメ18.2g分などが含まれるとのこと。

また、28日間毎日1枚を食べ続けると、善玉コレステロールが増え、悪玉が減ることで動脈硬化指数が有意に下がることが確認されたというデータも番組内で紹介されていました。

高野豆腐といえば、すぐにダシを含んだお煮しめを想像するほど、私たちはともすれば固定観念にとらわれがち。でも、江戸時代に「豆腐百珍」という100種もの豆腐料理が紹介された料理本が出されているほどのアレンジができる豆腐が原料なわけで、それを乾燥させたものと捉え直すことで、もっといろいろな料理法を考えることができそうです。これを機に高野豆腐の美味しい食べ方をいろいろ研究してみようかと思います。

その日、私がご紹介したレシピについては、「免疫力を上げる、体を温める、粘膜を強化する素材と調理法!インフルエンザが流行るこの時期にぴったりですね!」と栄養士の先生にも太鼓判を押していただきました。そのレシピをちょっとアレンジしてみました。ぜひ作ってみていただけたらと思います。

#173 高野豆腐と春菊のクリーム煮 材料

  • 高野豆腐 2枚
  • プレーンヨーグルト(無糖) 120g
  • ホタテ水煮缶 70g(固形量 40g入り)
  • しめじ 40g
  • 春菊 60g
  • 酒 大さじ1
  • 鶏がらスープ 100ml
  • 牛乳 300ml
  • 生姜(すりおろし) 小さじ1
  • 水溶き片栗粉(水と片栗粉は2 : 1) 大さじ4
  • 塩・胡椒 各少々
  • 油 適量

作り方

  1. 密閉袋に高野豆腐とプレーンヨーグルトを入れたら、ヨーグルトが高野豆腐全体を覆うように袋の上からもみ、冷蔵庫に8時間置いて戻す(これは1週間保存可能)。
  2. 春菊は4~5cm長さに切る。1は5㎜厚さに切る(ヨーグルトは洗い流さない)。しめじは小房に分ける。
  3. フライパンに油をひき、弱火でしょうがを炒める。
  4. 香りがたったら、酒、帆立貝柱(缶汁ごと)、鶏がらスープを加え中火にし、高野豆腐としめじを加え蓋をする。
  5. 牛乳と春菊を加え、沸いたら塩・胡椒で味を調える。
  6. 水溶き片栗粉を回し入れ混ぜ、とろみをつける。

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教えてくれた人

サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。

https://yukakosakai.com/

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