サカイ優佳子の食育のヒント
ひきたての刺激的な香り♪生胡椒飯
生の胡椒が流行りそうな予感
家庭でも黒胡椒のひきたての刺激的な香りを楽しむ人は増えたと思いますが、生の胡椒を家に置いている人はまだまだ少ないかもしれません。
ここ数年、セレクトショップなどで、時おり見かけていましたが、業務用とはいえ、とうとう大手のS社がこの夏発売を開始。これを機に、生の胡椒の美味しさが広く知られるようになりそうな予感です。
歴史で習った覚えがある叙事詩「ラーマーヤナ」の中にすでに塩と胡椒で食べる料理の記載があるとのこと。日本でも、奈良時代にはすでに胡椒が入ってきていたと言います。「胡椒飯」は江戸時代に流行ったと言われる料理。ご飯にダシを張って、黒胡椒を砕いたものをかけただけのシンプルさですが、これが今食べても美味しい!特にお酒のシメに最高です。
原産地はインド。生産しているのは、他に、マレーシア、インドネシア、ブラジル、そしてベトナムと言った国々です。ヨーロッパが東方へと進出したのも、一つには胡椒を求めたからと言われるほどに、まさに歴史を動かしたスパイス、胡椒。その香りや味わいもさることながら、防腐抗菌作用や、臭みを抑える効果があることから、冷蔵庫がない時代、肉の保存にとても大切だったのです。
そんな胡椒ですが、当時から世界を駆け巡っていたのは「乾物」。黒胡椒は、成熟しきらないうちに摘んだ実を乾燥させたもの。ちなみに白胡椒は完熟した実を水に浸し、柔らかくなった皮を取り除いてから乾燥させたもの。乾物だからこそ、世界中に広がったわけですね。
流通が発達したこともあり、上記のような国々を旅した時に出会った人が増えたこともあり、で生の胡椒の美味しさが知られるようになったことから、日本でも製品化されるようになってきたのでしょう。生、と名前はついていますが、実際は塩漬けです。
肉料理はもちろん、サラダなどさまざまな料理に最後に加えることで、黒胡椒ならではの刺激的な辛味と生だからこそのプチッと感で、美味しく食べることができます。今回は、江戸料理、胡椒飯をさらにお気楽にした料理にしてみました。お試しください。
#168 生胡椒飯 材料(1人分)
- ご飯 大きめの二口分ほど
- ほうじ茶 適量
- 黒粒胡椒(生) 6~7粒
- 青ネギ 小口切り少々
- パセリのみじん切り少々
作り方
- 器にご飯をよそい、ほうじ茶を端から注ぐ。
- ご飯の上に黒粒胡椒(生)と青ねぎを散らす。
教えてくれた人
サカイ 優佳子 サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事 外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
https://yukakosakai.com/